これがマジのラストモデルだった…特別仕様のホンダ「S660 モデューロX Version Z」は315万円【今日は何の日?3月12日】

ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月12日は、ホンダの軽オープンスポーツ「S660」の2022年生産終了を記念した「S660 Modulo X Version Z」が発売された日だ。2015年の発売以来、2シーターのオープンモデルとしてミッドシップならではの高いハンドリング性能と軽快な走りで人気を獲得していたが、このモデルがラストモデルとなった。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・ホンダ S660のすべて、ビートのすべて

■S660最後のモデルは、コンプリートモデルのModulo X Version Z

ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ・S660 Modulo X特別仕様車の開発アドバイザーは、ドリキンこと土屋圭市氏

2021(令和3)年3月12日、ホンダは「S660」の2022年での「S660」生産終了を記念した特別仕様車「モデューロX Version Z」を発売。2015年にデビューしたS660は、2018年にコンプリートカー「S660モデューロX」を追加、最後の特別なモデルとしてモデューロX Version Zが投入された。

ホンダSシリーズの継承車は軽オープンスポーツS660

ホンダ「ビート」
1992年にデビューしたホンダ「ビート」。軽2シーターMRオープン

1991年にデビューした2シーターミッドシップ(MR)オープン「ビート」の生産終了から19年経った2015年に、ビートを継承するかたちでデビューしたのがS660である。

ホンダ「S660」
2015年にデビューしたホンダ「S660」。軽2シーターMRオープン

低重心、低慣性のMRレイアウトを採用したS660は、ボディ全体の60%以上に高張力鋼板を採用して、強靭かつ軽量なボディを実現。スタイリングは、ワイド感を強調したフロントマスクやシャープなウェッジシェイプ、リアフェンダーの張り出しなどで軽ながらダイナミックさをアピールした。

ホンダ「S660」
ホンダ「S660」のエンジン

エンジンは、最高出力64ps/最大トルク10.6kgmを発揮する660cc直3 DOHCターボエンジンと6速MTおよびCVTの組み合わせ。6速MTは軽としては初であり、CVTには力強い走りのスポーツモードと標準モードの切り替え機構が装備された。

曲がる楽しさを追求し、高いコーナリング性能にこだわっているのがS660の特徴だ。MRレイアウトと低重心で理想的な前後重量配分45:55を実現し、さらにアジャイルハンドリングアシストも採用。これは、横滑り防止システム(ESC)を応用して、コーナリング中にブレーキ力を制御して安定させるシステムである。

車両価格は、標準βグレード198万円、快適装備を追加したαグレードが218万円。久々の軽オープンスポーツということもあり、発売当初は1年以上の納車待ちとなる人気を獲得した。

走りや居住性、デザインに磨きをかけたモデューロX

ホンダ「S660 Modulo X」
2018年にデビューしたホンダ「S660 Modulo X」

S660の誕生から3年後の2018年にS660モデューロXが投入された。モデューロXシリーズは、「N-BOX・モデューロX(2012年~)」、「N-ONE・モデューロX(2015年~)」、「ステップワゴン・モデューロX(2016年~)」、「フリード・モデューロX(2017年~)」と投入され、S660モデューロXはシリーズ第5弾だ。

モデューロXは、ホンダの純正部品を手掛ける子会社「ホンダアクセス」が手掛けるコンプリートカーで、ホンダアクセスはベース車両の走行性能、居住性、デザインに「匠の技」を注いで完成させることを主にしたブランドである。

ホンダ「S660 Modulo X」
2018年にデビューしたホンダ「S660 Modulo X」

パワートレインは、ベースのS660と同じ設定。グリル一体型のフロントバンパーにエアガイドフィンを採用するなどの空力改善、リアのアクティブスポイラーにガーニーフラップを装着、さらに5段階の減衰力調整機構を備えた専用サスペンションやドリルドタイプのディスクローター、スポーツブレーキパッドなどによる足回りとブレーキも強化された。

車両価格は、βグレード198.1万円、αグレードが218.6万円に設定された。

最後の特別仕様車モデューロX Version Z

ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
2021年にデビューしたホンダ「S660 Modulo X VersionZ」

モデューロX Version Zは、モデューロXをベースにして機能美を突き詰めたコンプリートカーである。特別色としてソニックグレー・パールを設定したほか、特別感を演出するインテリアの加飾アイテムを装備し、持つ喜び、走る歓びを向上させた。エンジンは、モデューロX同様に特別なチューニングはしていないが、トランスミッションは6速MTのみの設定となっている。

ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」

具体的には、下記のような追加装備や変更を行なった。

ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
2021年にデビューしたホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
2021年にデビューしたホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」のリアビュー
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X Version Z」のアルミホイール(ステルスブラック塗装)
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X Version Z」のアクティブスポイラー

・エクステリア:ボディカラーは、プレミアムパールホワイトに加えて専用色ニックグレー・パールを設定。エアロパーツはモデューロXと同じだが、エンブレムをブラッククローム調へ変更し、専用アクティブスポイラー(ガーニーフラップ付)をブラック塗装へ変更、アルミホイールの塗装をステルスブラックへ変更など。

ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」のインパネ
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」のインテリア
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X Version Z」の インテリアパネル(カーボン調・メーターバイザーパネル部)

・インテリア:シートは、赤黒ツートンのレザー張り。メーターバイザーパネル部や助手席エアアウトレットパネル部、センターコンソールパネル部にカーボン製のパーツを装着。専用シートセンターバッグにモデューロXのロゴ、アルミ製コンソールプレートには専用Version Zのロゴ入りなど

車両価格は、315.04万円で、ベースのモデューロXよりも100万円近く高額になっている。発売月の3月末までに約2000台の注文が殺到して、オーダーストップとなった。

ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」
ホンダ「S660 Modulo X VersionZ」

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S6660モデューロX Version Zで、S660は終焉を迎えた。ホンダの走りの象徴Sシリーズは、長い歴史の中で何回も途絶えながら復活してきた。S660も何年か先に、復活を望みたいものだ。
今日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…