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FCEV仕様のみとなって2年ぶりに日本で販売再開

CR-Vは1995年に初代を発売して人気車になったが、その後は北米指向を強めてボディも拡大された。売れ行きが下がり、2016年に4代目の時点で国内市場から撤退した。その後「ヴェゼルよりも上級のSUVが必要」という理由で18年に5代目を復活させたが、販売が伸び悩んで22年に再び撤退した。それが24年に6代目であらためて復活している。ホンダの販売店では「車種を廃止するとお客さまは裏切られた気分になって離れていく。復活しても戻らない」と言う。
エクステリア




ただし6代目の現行型は従来と異なり、国内では燃料電池車のe:FCEVのみだ。2本の高圧水素タンクを搭載して、水素と酸素を反応させて電気を取り出し、モーターを駆動して走る。1回の水素充填で走行できる距離は約621㎞だ。しかもCR-Vのe:FCEVのリチウムイオン電池(17.7kWh)は普通充電もできるため、水素ステーションが近くになくても満充電で約61㎞走れるのがユニークだ。
乗降性


ボディサイズは5代目の先代型に比べて全長が200㎜、全幅は10㎜拡大され、フロントマスクも精悍になって存在感が増した。内装は先代型では木目調パネルの質に不満を感じたが、現行型はインパネの中央から助手席に掛けて、シビックのようなメッシュ状の装飾を装着する。スポーティで質感も満足できる。前席は身体を確実に支えて、腰の張り出しを調節する電動ランバーサポートも備える。車内も広く、身長170㎝の大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先に握り拳ふたつ半の余裕がある。背もたれの下側が硬めで骨盤の支え方も良好だ。
インストルメントパネル

荷室には高圧水素タンクを収める張り出しがある。自転車など大きな荷物は積みにくいが、専用のボードを使うと荷室を上下2段に分割できて、上段は平らな空間になる。後席の背もたれを前側に倒すと、平らなスペースがさらに広がる。運転感覚は基本的に電気自動車と同じだ。水素と酸素の反応では、振動やノイズは生じない。モーターは瞬時に高い性能を発揮できるため、発進加速、街中での走り、高速道路の巡航では扱いやすい。動力性能をガソリンエンジンに当てはめると3.5ℓに相当する。乗り心地は低速域では少し硬いが粗さはなく、角が丸い印象で突き上げ感を抑えた。乗り心地に配慮されているため、カーブを曲がるときにはボディの傾き方が拡大するが、リチウムイオン電池を床下に搭載して重心が下がった。そのために挙動の変化が穏やかで不安を感じない。ステアリング操作に対する車両の反応も正確で気持ち良く運転できた。
居住性


水素を充填する水素ステーションの数は、24年4月現在で全国に約170ヵ所だ。給油所の約2万7000ヵ所に比べて大幅に少ない。しかも水素ステーションには、営業時間の短い拠点も多い。水素充填に手間を要する現実を考えると、日常的には充電された電気で移動して、水素を温存できる機能は便利だ。
うれしい装備





フルモデルチェンジ発表 24年7月18日
月間販売台数 11台(24年7月~11月平均)
一充填走行距離 621km

ラゲッジルーム


燃料電池車の欠点を補う効果的な手段になる。また新型CR-Vは、デザインや走行性能の水準も高い。ハイブリッドのe:HEVも導入して、長く大切に販売してほしい。

