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■フィットベースのステーションワゴン、エアウェイブ
2005(平成17)年4月7日、ホンダがスターションワゴン「エアウェイブ」を発表(発売は翌日)。「オルティア」の後継であり、フィットをベースにホイールベースを100mm延ばした低床フラットフロアに、広い室内、荷室空間を確保したコンパクトなステーションワゴンである。

エアウェイブの前身はオルティア
エアウェイブの前身は、1994年にデビューした「オルティア」である。当時は、1992年にトヨタ「カルディナ」、1993年には大ヒットしたスバルの2代目「レガシィツーリングワゴン」、1996年に三菱「レグナム」と日産「ステージア」が登場し、ステーションワゴンブームが巻き起こっていた。

そのような状況下で登場したオルティアは、6代目「シビック」のシャシーをベースに開発されたステーションワゴン。開発コンセプトは、スポーツ・ユーティリティ・ワゴンで、ワゴンらしく優れた使い勝手を生かして、レジャーにも日常ユースにも使える便利な一台という位置付けだった。
スタイリングは大型ヘッドライトによるクリーンなフロントフェイスが特徴で、パワートレインは最高出力140psの1.8L、145psの2.0L直4 DOHCの2種エンジンと5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFとホンダ独自開発のデュアルポンプ式リアルタイム4WDが用意された。
オルティアの持つファミリー志向ワゴンのイメージが、当時人気のハイパワーのスポーティなステーションワゴンとは異なり、またデザインが全体的に地味だったこともあり、ステーションワゴンブームには上手く乗れずに2002年に販売を終えた。
多彩なシートレイアウトとスカイルーフが売りだったエアウェイブ

2005年4月のこの日にデビューしたエアウェイブは、短いノーズのシャープなスタイリングを採用。フィットをベースにしたセンタータンクレイアウトで、ホイールベースをフィットから100mm延長してステーションワゴンに仕立てられた。5ナンバーサイズながら快適な室内空間を確保し、さまざまなシートアレンジを活用することで荷室空間を拡大し、背の高い荷物や長尺物でも収納できることが特徴だった。

パワートレインは、最高出力110ps/最大トルク14.8kgmを発揮する1.5L直4 VTECエンジンとCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意された。


そして、エアウェイブ最大の訴求ポイントが、一部グレードに設定された“スカイルーフ”と名付けられた大型ガラスルーフである。1110mm×770mmのフロントシートからリアシートまでをカバーする大型ガラスルーフと電動サンシェードの組み合わせで、ガラスこそ固定式ながら圧倒的な開放感を実現したのだ。

車両価格は、FFの標準グレードが149.9万円、スカイルーフ仕様が160.4万円に設定。エアウェイブは、リーズナブルな価格で使いやすいステーションワゴンだったが、ステーションワゴンブームもこの時期には下降傾向になり、期待したほどの人気は得られず2010年に生産を終えた。

続いたシャトルを最後に、ホンダのステーションワゴンは終焉を迎えた
エアウェイブに続いたのは、2代目フィットの派生車として2011年にデビューした「フィットシャトル」。ハイブリッド車を用意して、燃費の良さがアピールポイントのひとつだった。

そのフィットシャトルは2015年に生産を終え、2ヶ月後に登場した「シャトル」にバトンを渡した。広い車室と荷室を持ち、それでいて扱いやすいマルチユースのコンパクトステーションワゴンとして、また300万円を切るリーズナブルな価格も支持され、シャトルは堅調な販売を記録した。
しかし、この頃になると日本市場はミニバンやSUVの台頭によってステーションワゴンの人気はさらに低迷し、シャトルも2022年8月に生産を終了した。

シビックカントリーに始まり、シビックシャトル、オルティア、エアウェイブ、フィットシャトル、シャトルと続いたホンダのステーションワゴンの歴史も、ここで完全に幕を下ろしたのだ。

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エアウェイブの人気が伸びなかった理由として、ステーションワゴンの人気が下降していたことを上げたが、もうひとつの理由としては、ワンランク上のストリームの存在があったと考えられる。フィットとストリームの中間に位置したエアウェイブは、ホンダのラインナップの中で上手く差別化できなかったのではないだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。