「世界最高峰の電動レースの舞台で我々の技術を高めていけることを、とても誇らしく、楽しみに感じています」(ヤマハ発動機・丸山平二取締役常務執行役員)
ヤマハ発動機は昨年3月に、フォーミュラEのレーシングチームに車体を供給するローラと、フォーミュラEの第3世代マシン「GEN3EVO」における技術提携契約を結んだ。今シーズン(シーズン11)から両社が協力して開発・供給した電動パワートレイン(動力ユニット)を搭載したマシンで、ドイツに拠点を置くレーシングチーム、ABT(アプト)とともに「ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム」としてレースに参戦している。

ローラは英国の老舗レーシングカー開発会社で、数々の国際自動車レースへマシンを送り出してきた。同社はサステナブル・モータースポーツを掲げ、電動レース技術獲得を目的に、シーズン11(2024-2025年)から、フォーミュラE規格に準拠した車体パッケージの開発・供給を行っている。
フォーミュラEでは、2026-2027年に開催されるシーズン13から第4世代マシン「GEN4」が導入され、テクニカルレギュレーションが変更となる。最高出力は600kW(816ps)、回生量は最大700kW(952ps)に引き上げられ、これまで以上に進化したエネルギー効率を実現する技術が求められる見込みだ。

このたびの発表に際し、ヤマハ発動機の丸山平二取締役常務執行役員はこのように述べている。
「ヤマハ発動機は、お客さまに感動を提供し、サステナビリティに寄与するための新たなコア技術の獲得・強化に向けて、さまざまな技術の研究開発を行っています。そのひとつが、まさにフォーミュラEで磨かれるであろう、高度なエネルギーマネジメント技術の獲得です。私たちはローラのテクニカルパートナーとして、GEN4シーズンにも引き続き挑戦します。心強いパートナーであるローラと、世界最高峰の電動レースの舞台で我々の技術を高めていけることを、とても誇らしく、楽しみに感じています」
ローラのティル・ベクトルシャイマー会長はこのように述べている。
「ヤマハ発動機と協力して開発したパワートレインを使い、ローラ・ヤマハABTチームがフォーミュラEで戦っていることは、お互いに有益で素晴らしい経験となっています。当社もGEN4への参加をすでに決めているため、ヤマハ発動機がともにこの取り組みを継続してくれることを非常に嬉しく思います。持続可能なモビリティの推進に対して豊富な経験とコミットメントを持つヤマハは、ローラにとっての理想的なパートナーであり、今後もモータースポーツを通じて革新を進めていくことを楽しみにしています」
ヤマハ発動機は全社環境目標として、2050年までにスコープ3(※)におけるカーボンニュートラルを達成することを掲げている。また、技術戦略のうえでも新たなコア技術の獲得強化を設定。そのひとつが高度なエネルギーマネジメント技術だ。フォーミュラEへの挑戦を通して同社は、世界最高レベルの出力密度・効率を含めた究極のエネルギーマネジメント技術の獲得を目指し、引き続き技術開発に取り組んでいく方針だ。
※事業所や工場、エネルギー購入を含む企業活動における排出(スコープ1.2.)以外での、製品使用や原材料調達を含むその他の排出