目次
■ホンダ最後のステーションワゴン「シャトル」公表
2015(平成27)年4月17日、ホンダが5ナンバーのステーションワゴン「シャトル」の情報をオフィシャルWebサイトで公開(発売は5月15日)した。シャトルは、「フィット・シャトル」の後継モデルだが、本格ハイブリッド車も投入して燃費の良いステーションワゴンをアピールした。


シビック・カントリーから始まったホンダのステーションワゴン
1970年代後半に日本でちょっとしたアウトドアブームが起こったことから、ホンダは2代目シビック・バンをベースにしたステーションワゴン「シビック・カントリー」を投入した。

・シビック・カントリー(1980年~)
アウトドアを楽しむクルマらしく、米国で定番となっている木目調のサイドパネル、サイドプロテクションモール、大型カラードバンパーなどを装着し、アメリカンな洒落たステーションワゴンとして人気を獲得した。

・シビック・シャトル(1983年~)
バンタイプのスマートなステーションワゴンとはちょっと異なる、セミトールワゴンタイプのステーションワゴンとして登場。ファミリー志向のユーティリティに優れたシビックシリーズの定番モデルとして、1996年まで販売が続けられた。

・オルティア(1994年~)
2代目「レガシィツーリングワゴン」が火付け役となったステーションワゴンブームの中でデビュー。6代目シビックベースのコンパクトサイズのステーションワゴンだったが、ブームの中では存在感を示せなかった。

・エアウェイブ(2005年~)
フィットをベースにした、低床フロアの広い室内、荷室空間を確保したコンパクトなステーションワゴン。最大の訴求ポイントが、“スカイルーフ”と名付けられた大型ガラスルーフで、圧倒的な開放感で注目を集めた。

・フィット・シャトル(2011年~)
2代目フィットをベースに、やや落ち着いたオーソドックスなファミリーカーとして登場した。フィットと同じハイブリッド(IMA)車を用意して、燃費の良さと広い荷室がアピールポイントだった。
●その他のホンダの人気ステーションワゴン

・アコードU.Sワゴン(1991年~)
米国生産の4代目アコードベースの「アコードワゴン」を、日本で「アコードU.Sワゴン」を名乗って輸入販売された。アメリカンなスタイリッシュさが人気を呼び、日本ブランドの輸入車としては異例のヒットになった。

・アコード・ツアラー(2008年~)
従来のアコードワゴンが、モデルチェンジで「アコード・ツアラー」を名乗るようになった。ツアラーは、全幅を広げたワイド&ローのスタイリッシュなデザインと上級な雰囲気が特徴で、今でも根強いファンが多い。
本格ハイブリッド車を投入したシャトル
2015年4月のこの日に発表されたシャトルは、フィット・シャトルの後継としてフィットの冠が取れてシャトルの単独ネームとなった。

フロントグリルと左右のヘッドランプが一体型の“ソリッド・ウィング・フェイス”のスタイリングと、ラゲッジスペースの広さと使い勝手の良さ、走りと燃費の両立というフィット・シャトルの強みをそのまま引き継いだ。



パワートレインは、1.5L直噴VTECエンジンと7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせたハイブリッド“i-DCD”の2種とCVTの組み合わせ。i-DCDシステムは、それまでのマイルドハイブリッドIMAに代わって、DCTに高出力モーターを内蔵した本格ハイブリッドシステムで、優れた燃費とDCT特有の俊敏な変速が特徴である。

また安全運転支援技術として、自動ブレーキと誤発進抑制機能を装備して、2017年にはマイナーチェンジで全車「ホンダセンシング」が採用された。

シャトルは、標準グレードでエンジン車169万円、ハイブリッド車が199万円で販売され、年間販売4万台を超えるペースで滑り出し、その後も3万台近い販売台数を堅持したが、2022年に生産を終えた。

・・・・・・・・・
1990年代に市場を席巻したステーションワゴンブームも、2010年を迎える頃にはミニバンやSUVにその座を奪われた。そのような中でもフィット・シャトルとシャトルは、比較的善戦したステーションワゴンと言えるが、市場の動きに逆らえず、シャトルを最後にホンダのステーションワゴンの歴史も幕を下ろしたのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。