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2020年に続いて、2021年もコロナ禍に翻弄された一年でしたが、クルマ業界に限ってみれば、東京モーターショー開催年であったことから、新型車が多く発表された年でした。そのなかでも、筆者が特に印象に残っている3台は、日産ノート オーラと、トヨタ・カローラクロス、そしてホンダ・レジェンドです。
1台目:日産ノート オーラ
「想像を超えた内外装クオリティ!」
2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞を受賞した日産ノート、その中でも、いい意味で裏切ってくれたのがノート オーラでした。「所詮はノート、お茶を濁すような中途半端な出来だろう」と、勝手な想像をしていたのですが、試乗会で実車を見て、驚きました。
5ナンバーサイズのノートのボディを拡大して3ナンバーサイズへ変更し、質感の高い内外装を与え、パワートレインもパワーアップしたことで、「想像を超えた内外装クオリティ」となっており、まるで別物の出来に仕上がっています。日産車のインテリアはイマイチと思い込んでいたのを反省しています。「こんなにコストをかけたクルマに顧客はついてくるのか」という、筆者の稚拙な分析も大きく外れ、ノート オーラの人気は上々。特に、女性人気が高いと聞き、やはりインテリアって大事なんだなと再認識しました。
実は筆者も現在、買い替え先のコンパクトカーを探している真っ最中。欧州で人気のルノー・ルーテシアかプジョー208あたりを狙っていましたが、最近真剣にノート オーラを検討し始めました。いま最も欲しいと思っているクルマです。
2台目:トヨタ・カローラクロス
「広くて荷物がたくさん積めて、199万円からの低価格に驚き」
2021年9月14日に発売となったトヨタ・カローラクロスも驚かされた一台でした。タイ市場では2020年より販売が始まっていましたが、日本向けではフロントデザインを大改修。スマートな顔つきとなり、別のクルマのように進化しました。
ボディサイズはCセグメントSUVに近く、車内も広くて、荷物もたくさん詰めます。しかも、ベースグレードでも、電動パーキングブレーキは標準装備、全車速追従式ACCやLTA(レーントレースアシスト)、オートマチックハイビームを含むトヨタセーフティセンスも、7インチのディスプレイオーディオまでも標準装備、という、他社では高額オプションとなる装備も含まれています。
それでいて、ガソリン仕様が199万円(2WD、G“X”)からという低価格。これは、ヤリスクロスのガソリン仕様189万6000円(2WD、X)に対し、たったプラス10万円。ハイブリッド仕様だと、カローラクロス ハイブリッド(2WD、G)は259万円、ヤリスクロスハイブリッド(2WD、HYBRID X)は228万4000円と、その差は30万円に広がりますが、それでも十分に安く、この異次元ともいえるコスパには、トヨタの底力というか、「絶対失敗させない」という執念さえ感じました。
ライズからランドクルーザーまで、隙間なく張り巡らされたトヨタのSUV包囲網、カローラクロスまで詰め込んで、「共食い」は当然起きているでしょうが、「そんなの関係ない」のでしょう。他メーカーにとっては「脅威」でしかありません。
3台目:ホンダ・レジェンド
「もっと評価されても良いはずなのに…!」
世界初の「レベル3」自動運転技術である、渋滞運転機能「トラフィックジャムパイロット」を含む「ホンダセンシングエリート」を搭載して登場した、ホンダ・レジェンド。これこそが2021年で最も驚いた一台です。3次元高精度地図や全球測位衛星システムのデータに加え、自車位置や先の道路状況を正確に把握し、かつ、外界認識用センサーで自車周辺360度を検知、ドライバーの状態も常時モニターしています。
今までに、運転中によそ見をすると怒ってくれるクルマは多くありましたが、運転中によそ見が許可されるのはこのレジェンドが初めてです。世界中のメーカーが他社をけん制していたこのタイミングで、世界で初めて実現できたのは、ホンダと、そしてそれを認可した国土交通省の努力の賜物です。
ホンダセンシングエリートを搭載したレジェンドの車両価格は税込1100万円。しかも100台限定のリース専用販売ですので、ごく限られたオーナーのみが対象のモデルです。おそらく、ホンダ関係者や関連会社の役員、他メーカーのリサーチ用などに使われるはずなので、市場に出回ることはほとんどないでしょう。ホンダ自身も、このモデルで儲けるつもりは毛頭ないとのこと。
それよりも、未知のゴールであった「どこまで安全を証明したら売っていいのか」を解決するため、前例のないなか幾度も国土交通省と論議し、合意したうえで証明するという経験をホンダのエンジニアが経験したことで、人が育ち、開発環境を整えられたことが大きな財産となったそう。
同じく、車両開発エンジニアだった筆者としては、「世界初の自動運転レベル3」を実現したこのレジェンドこそ、今年もっとも衝撃を受けたモデルでした。
2021年に買って良かったモノ:タミヤ 電動RCカーキット「TA08 PRO」
子供のころからRCカーが趣味の筆者、タミヤの最新作「TA08 PRO」が、2021年に買って一番良かったアイテムです。2021年前半はRCカーレースがほぼ中止となってしまいましたが、後半より再開したレースへ仲間内で参戦したことが、非常に思い深いです。結果のほどはイマイチですが、2022年は良い結果になるよう、修行の一年としたいです。筆者のタミヤ愛は不滅です。