時ならぬ大雪、オールシーズンタイヤで対応できたか? 凍結路は? トーヨータイヤCELSIUS(セルシアス)+BMW320d 

トーヨータイヤのオールシーズンタイヤ「セルシアス」を装着したBMW320d。2018年F30型セダンである。大雪となった東京都内。オールシーズンタイヤを装着していたので、問題なく走行できた。
オールシーズンタイヤとは、夏期のドライ/ウェット路面から冬期の雪道まで走行できる四季を通じた全天候型タイヤのこと。高速道路等のチェーン規制の下でも走行可能である。マイカーBMW320dにオールシーズンタイヤを履いているMF編集長が、時ならぬ東京の大雪ドライブをレポートする。

オールシーズンタイヤの性能は?

筆者のクルマはBMW320dセダン(F30型2018年モデル)である。現在、オールシーズンタイヤ、「TOYO TIRES CELSIUS(セルシアス)」を装着している。装着したのは、2021年4月。すでに雪の季節は過ぎたあとのことだった。

BMW320dに装着したトーヨータイヤCELSIUSのサイズは「215/55R17」

セルシアスはトーヨータイヤが2019年から日本市場に投入したオールシーズンタイヤである。当初は165/60R15~225/65/R17の計6サイズ展開だったが、2020年11月から165/70R14~225/55R18の計13サイズを追加。全19サイズのラインアップで、より多くのクルマで装着可能になった。

2022年1月6日午後から関東地方にも降った大雪。ご存知の通り、東京都内で積雪するのは、年に2、3回。その2、3回のためにスタッドレスタイヤに換装するのは、筆者にとってはちょっと負担が重い(タイヤの購入費だけでなく、換えたタイヤを保管しておく場所も)。そこでオールシーズンタイヤを選んだというわけだ。

路面適合表 ◎もっとも適している ◎適している △走行可能 ×推奨せず ※全車チェーン規制時はどんなタイヤ(スタッドレスタイヤも含む)もチェーン装着が必要となる。全車両チェーン装着規制に備えて冬期はタイヤチェーンを携行したい。

じつは、現在の愛車BMW320dの前の320i(同じF30型)もオールシーズンタイヤを装着していた。だから、そのメリットはすでにわかっていた。今回は、いわば「復習編」である。

さて、朝の天気予報では、都心での積雪はなさそうとなっていたのが、お昼頃には「積雪、アリかも」と予報は変わっていた。この時点で都内の気温は(クルマの外気温計で)1.5℃。粉雪が舞い始めていた。

それでも、クルマで出かけようと思えたのは、オールシーズンタイヤを履いていたからだ。


タイヤを履き替えた直後に、雪を求めて東京~山形を一気乗りした(けれど、4月には山形にも雪はなかった)筆者にとっては、ある意味「念願の雪」だったのである(雪で大変な想いをされた方、申し訳ありません)。雪・凍結路でのタイヤテストができるからだ。

トーヨータイヤCELSIUS(セルシアス) には、ASTM(世界最大・民間・非営利の国際標準化・規格設定機関)に認証されたスノーフレークマーク、日本で冬用タイヤであることを示すスノーマークが付いている。

高速道路の冬用タイヤ規制の際も、スタッドレスタイヤと同様、通行できるのもオールシーズンタイヤのメリットだ。ちなみに、「全車チェーン規制」がかかったら、スタッドレスタイヤもオールシーズンタイヤもチェーンを装着しないと通行できなくなる。

BMW 320dが履くCELSIUS(セルシアス)は、215/55R17サイズ。履いたのが2021年4月だから、すでに9カ月8000kmほど走行している(つまり、新品ではない)。

編集部がある東新宿周辺の明治通り。通行量はいつもよりグッと少なかった。

さて、東新宿の編集部を出たのは18時頃だった。都内明治通り新宿付近も、歩道や中央分離帯にはかなり積もっている。とはいえ、明治通り、環七、環八などの幹線道路はさほどの積雪ではない。しかし、ノーマルタイヤでは、走れないのだ。走り始めてすぐに、タクシーがブレーキでスリップして前のクルマに衝突したと思われる事故現場を目撃した。上り坂で激しくタイヤを空転させているトラックも見た。そんな状況を尻目に、BMW320d+CELSIUS(セルシアス)は、まったく問題なく快適に安心して走れた。「おおっ、普通に走れるじゃん!」とあらためて感心した。もちろん、スタッドレスタイヤと同等というわけではない。イメージ的にはスタッドレスタイヤの8割くらいの走行性能、グリップ性能という感じだろうか。走る・曲がる・止まる、どれもOKだ。

ステアリングフィールもしっかりしている。もちろん、いつもより丁寧な運転を心がけた。

320dは、後輪駆動(FR)である。オールシーズンタイヤで、走行に支障はないとはいえ、アクセル操作もステアリング操作もいつもより丁寧に行なった。ドライブモードはノーマル(コンフォート)のまま。この程度の雪では、タイヤが滑ってESCの介入することもない。幹線道路から一本横に入ると、そこは別世界になる。さらに、自宅の前の道路(住宅街)になると積雪量はグッと増える。サマータイヤで幹線道路をなんとかやり過ごせたとしても、「ラスト100m(かどうかはわかりませんが)」の自宅前の雪はなんともできないだろう。ここで立ち往生するか、諦めてチェーンを装着するかの二者択一になるところを、オールシーズンタイヤなら、何事もなく帰り着けるわけだ(筆者のクルマにはチェーンも積んである)。


自宅前の道路は、とてもサマータイヤでは走行できない状態だった。翌朝の予想気温は−2℃。これが凍結するわけだ。

オールシーズンタイヤの威力をすでに知っている筆者にとっても、実際に体感できるのは、年に1度か2度だ。やはりそのありがたみを痛感した。そういうドライバーには、オールシーズンタイヤはなかなか有望な選択肢であると、再確認した。

翌朝8時の裏道の状況。完全に凍結している。ツルツルだ。ノーマルタイヤでは車庫から路上まで出ることもできないだろう。

翌朝、東京の最低気温は予報より低くて-3.5℃だった。
幹線道路ではない裏道(自宅前)の道路は、完全に凍結。前夜よりも路面のコンディションは悪化していた。
朝8時、出勤のために320dのイグニッションをONにしたところで外気温は1℃。ガレージからソロリソロリを前進する。

オールシーズンタイヤ、CELSIUSで、問題なく走行できた。が、体感的に雪の路面がスタッドレスタイヤの8割くらいだとしたら、凍結路面は6割くらいな感じだ。より慎重にステアリング、アクセル、ブレーキ操作をしても、裏通りや幹線道路でも日陰のコーナーなどでは時折、ESCの介入を示すランプが点滅した。

それでも、前に乗っていたBMW320i(F30前期型)+オールシーズンタイヤの組み合わせより、今回の320d(F30後期型)+CELSIUSのほうが格段にESCの介入回数が少なかった。これが前期/後期の違いなのか、オールシーズンタイヤの進化のおかげなのかは不明だが、今回のような都会での急な積雪時にオールシーズンタイヤが充分な性能を持つことは確認できた。

とはいえ、自分は走れても周囲のクルマも同様とは限らない。慎重なドライブを心がけたい。

キーワードで検索する

著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…