新型トヨタ・ノア/ヴォクシーが4代目にフルモデルチェンジ。「GA-C」プラットフォーム採用で全面的に進化したその中身は…?

新型トヨタ・ノア/ヴォクシーが4代目にフルモデルチェンジ。「GA-C」プラットフォーム採用で全面的に進化したその中身は…?

トヨタのミッドサイズミニバン・ノア/ヴォクシーが8年ぶりにフルモデルチェンジ。1月13日、新型となる4代目がついに発売された! 見た目以上に中身が大きく変わったその真価とは?

REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO●遠藤正賢、トヨタ自動車
エアロ仕様・ノアS-Z(ハイブリッド車)のリヤまわり
エアロ仕様・ノアS-Z(ハイブリッド車)のリヤまわり
エアロ仕様・ヴォクシーS-Z(ハイブリッド車)のリヤ回り
エアロ仕様・ヴォクシーS-Z(ハイブリッド車)のリヤ回り

先代の3代目は、カローラ店扱いの「ノア」と、ネッツ店扱いの「ヴォクシー」に加え、トヨタ店およびトヨペット店向けに作られた高級路線の「エスクァイア」がラインアップされていたが、2020年5月より全販売店で全車種併売体制に移行したことに伴い、新型ではエスクァイアを廃止。ノアとヴォクシーの2車種体制に回帰した。

標準仕様・ノアG(ハイブリッド車)のフロントまわり
標準仕様・ノアG(ハイブリッド車)のフロントまわり
標準仕様・ノアG(ハイブリッド車)のリヤまわり
標準仕様・ノアG(ハイブリッド車)のリヤまわり

その中で新型のノアは「堂々・モダン・上質」を突き詰めた標準仕様と「王道・アグレッシブ」をキーワードにしたエアロ仕様の2種類、ヴォクシーは「先鋭・独創」をコンセプトに独自の個性的な外観をまとったエアロ仕様のみを設定している。

新旧パッケージング比較図。全長・ホイールベース・前後オーバーハングは先代と変わらず
新旧パッケージング比較図。全長・ホイールベース・前後オーバーハングは先代と変わらず

そして新型ではついにプラットフォームが一新され、現行プリウス、カローラなどと共通の「GA-C」に。ノアの標準仕様を含む全車の全幅が3ナンバーサイズ、具体的には先代の標準仕様より35mm広くエアロ仕様より5mm狭い1730mmとなった。と同時に全高がシャークフィンアンテナ50mm分を含めて70mm(実質的には20mm)拡大され1895mm、室内高は5mm高い1405mmに。これらの変更点は特に2列目の居住性に大きく影響しており、左右方向のヘッドクリアランスが各35mm、左右Cピラー間距離が75mm拡大している。

2列目キャプテンシート。写真は最後端にセットした状態
2列目キャプテンシート。写真は最後端にセットした状態
2列目シートヒーターのスイッチはルーフ部に設置
2列目シートヒーターのスイッチはルーフ部に設置

さらにキャプテンシートは、シート骨格の刷新も相まって、横方向のスライド機構が廃止されながら前後745mmの超ロングスライドが可能に。カップルディスタンスが大幅に拡大し、折りたたみ式サイドテーブルがいつでも使用できるようになった。加えてシートヒーターやオットマンが上級グレードにメーカーオプション設定されている。

8人乗りの6:4分割チップアップシート。写真は上級ファブリックのフロマージュ内装
8人乗りの6:4分割チップアップシート。写真は上級ファブリックのフロマージュ内装

3人掛け仕様の6:4分割チップアップシートもまた、705mmの前後スライド量を確保。そのほか8人乗り仕様のレスオプションとして、手すり付きの専用2人掛けベンチシート「7人乗りユーティリティパッケージ」を新たに設定。左側に乗降スペースが常に確保されるため、2列目にチャイルドシートを装着しても3列目にアクセスしやすい仕様となっている。

左右Bピラーに標準装備されるロングアシストグリップ
左右Bピラーに標準装備されるロングアシストグリップ

リヤスライドドアまわりの乗降性の進化も目覚ましい。2列目のフロア高を先代より20mm高い380mmとして前方の見晴らしを改善しながら、上下2段式のロングアシストグリップを左右Bピラーに標準装備。最下端の地上高を895mmに設定して、子供から高齢者まで掴みやすくした。


パワースライドドアの開閉に連動して機械的に展開・格納される「ユニバーサルステップ」
パワースライドドアの開閉に連動して機械的に展開・格納される「ユニバーサルステップ」

そのうえで、パワースライドドア装着車の助手席側に、モーターを用いないメカニカルな機構の「ユニバーサルステップ」をメーカーオプション設定。展開時のステップ高は200mm、幅は180mmに設計されており、子供や高齢者でも乗り降りしやすいのはもちろん、モーター式のものはディーラーオプションで部品代だけでも20万円超というものが珍しくない中、わずか3万3000円で装着できるようになったのは朗報だろう。


「ハンズフリーデュアルパワースライドドア」の操作デモ
「ハンズフリーデュアルパワースライドドア」の操作デモ

加えてキックセンサー式の「ハンズフリーデュアルパワースライドドア」を、廉価グレード以外にパッケージオプション設定。センサーをBピラー下のやや前側に配置することで、ドア開閉時に後ずさりなどをしなくて済むよう配慮した優れものだ。


「フリーストップバックドア」。ワイヤー先端のフックを外して保持機能を解除することもできる
「フリーストップバックドア」。ワイヤー先端のフックを外して保持機能を解除することもできる
「パワーバックドア」の開閉スイッチ。前側がクローズ、後側がオープン
「パワーバックドア」の開閉スイッチ。前側がクローズ、後側がオープン

3列目周辺の使い勝手も大きく改善された。ワイヤーを用いることにより任意の角度で保持できるようにした「フリーストップバックドア」を全車に標準装備。パッケージオプション設定の「パワーバックドア」は、開閉スイッチがバックドア下端内側から、左右のスライドドアレール後方に移設され、こちらもドア開閉時に後ずさりが不要となった。

クッションが薄型化されながら掛け心地も改善された3列目シート
クッションが薄型化されながら掛け心地も改善された3列目シート
3列目シートをワンタッチで跳ね上げて格納した状態。ロック機構と解除ボタンはDピラー中央付近に備わる
3列目シートをワンタッチで跳ね上げて格納した状態。ロック機構と解除ボタンはDピラー中央付近に備わる
補機バッテリーがエンジンルームに移設され大幅に拡大したハイブリッド車の「スーパーラゲージボックス」
補機バッテリーがエンジンルームに移設され大幅に拡大したハイブリッド車の「スーパーラゲージボックス」

3列目シートも、従来は左右への跳ね上げ格納後にストラップで保持する必要があったものの、新型ではDピラーにロック機構が内蔵されたことで、完全にワンタッチで格納することが可能に。さらに「スーパーラゲージボックス」と呼ばれるラゲッジフロア下の収納スペースも、ハイブリッド車の補機バッテリーがエンジンルーム内に移設されたことで、ガソリン車でなくとも104Lの広いスペースが得られるようになった(メーカーオプションのスペアタイヤ装着車を除く)。


Aピラーが細くなり視界が拡大された運転席まわり。写真はノアS-Z(ハイブリッド車)。ハイブリッド車はパノラミックビューモニター+パーキングサポートブレーキ(後方歩行者)を装着すると、シフトレバーが電気式となる
Aピラーが細くなり視界が拡大された運転席まわり。写真はノアS-Z(ハイブリッド車)。ハイブリッド車はパノラミックビューモニター+パーキングサポートブレーキ(後方歩行者)を装着すると、シフトレバーが電気式となる
通常のゲート式シフトレバー。写真はヴォクシーS-G(ガソリン車)
通常のゲート式シフトレバー。写真はヴォクシーS-G(ガソリン車)
充分なサイズが確保された1列目シート。写真はノアS-Z(ハイブリッド車)
充分なサイズが確保された1列目シート。写真はノアS-Z(ハイブリッド車)

フルモデルチェンジの恩恵を受けられるのは、もちろん2・3列目の住人だけではない。インパネは水平基調の低くスッキリしたデザインに生まれ変わるとともに質感がアップし、物置スペースもさらに充実。そしてAピラーの幅が細められ、三角窓も大型化されたことで、斜め前方の視界は大幅に拡大されている。

「プロアクティブドライビングアシスト」の作動イメージ

ADAS(先進運転支援システム)「トヨタセーフティセンス」も新型レクサスNXと同世代のシステムにアップデート。交差点で交差するクルマやバイクの検知にも対応した「プリクラッシュブレーキ」や、緊急時にドライバーの操作がなくても自動的にブレーキおよび操舵制御を行う「プロアクティブドライビングアシスト」を全車標準装備された。

「安心降車アシスト(ドアオープン制御付)」の作動デモ。自転車がここまで接近した時点でスライドドアは開くのを中断している
「安心降車アシスト(ドアオープン制御付)」の作動デモ。自転車がここまで接近した時点でスライドドアは開くのを中断している
「アドバンストパーク(リモート機能付)」を用いた車庫入れの様子。車内には運転席を含めて誰もいない
「アドバンストパーク(リモート機能付)」を用いた車庫入れの様子。車内には運転席を含めて誰もいない

また、自動車専用道路を0~40km/hで走行中に一定の条件を満たすと加減速・操舵を自動で行う「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」、パワースライドドアを開けた際にクルマや自転車などと衝突する危険性が高い場合は途中停止またはオープン操作をキャンセルする「安心降車アシスト(ドアオープン制御付)」、スマートフォン操作による無人駐車にも対応した「アドバンストパーク(リモート機能付)」を、トヨタブランドでは初めてメーカーオプション設定するなど、数多くの新機能が用意されている。

「ディスプレイオーディオPlus」のコネクティッドナビ。駐車場の満空情報や料金、ガソリンスタンドの燃料代なども取得できる
「ディスプレイオーディオPlus」のコネクティッドナビ。駐車場の満空情報や料金、ガソリンスタンドの燃料代なども取得できる

そのほか、全車にDCM(車載通信機)を搭載して車内Wi-Fiに対応しつつ、コネクティッドナビに対応する8インチHDサイズの「ディスプレイオーディオ」を廉価グレード以外に標準装備し、10.5インチHD「ディスプレイオーディオPlus」をメーカーオプション設定。このうち後者は地図データを内蔵し、フルセグTVやHDMI入力、FM多重および光ビーコン式のVICSにも対応するなど、機能の充実が図られている。


ハイブリッド車(FF)のパワートレーンとベアシャシ。サスペンションは全車ともフロントがストラット式、リヤはトーションビーム式
ハイブリッド車(FF)のパワートレーンとベアシャシ。サスペンションは全車ともフロントがストラット式、リヤはトーションビーム式
「E-Four」用リヤトランスアクスル。最高出力は31kW(41ps)、最大トルクは84Nm
「E-Four」用リヤトランスアクスル。最高出力は31kW(41ps)、最大トルクは84Nm

パワートレーンは従来通り、1.8L直4エンジン+ハイブリッドと、2.0L直4ガソリンエンジン+CVTの2種類だが、前者は電動モジュールが第五世代のものへ全面的に刷新。また寒冷地ユーザーのニーズに応えるべく、モーター出力がプリウス用の5.6倍に高められた「E-Four」(電動AWD)が新たに設定された。その結果、WLTCモード燃費(総合)がFF車で従来の19.0km/Lから23.0~23.4km/Lに向上し、AWD車でも22.0km/Lを達成している。ガソリン車はエンジンが従来の3ZR-FAE型からM20A-FKS型となり、CVTも新世代の「ダイレクトシフトCVT」に刷新されて10速シーケンシャルシフトマチックが全車に実装された。


このように、枚挙に暇がないほど全面的に進化を遂げた新型ノア/ヴォクシー、価格はノアが267~389万円、ヴォクシーが309~396万円。今春発売が予告されている新型ホンダ・ステップワゴンや、年内発売が有力視されている新型日産セレナとも真っ向勝負できる実力を備えているのは間違いないだろう。

新型トヨタ・ノアS-Z(ハイブリッド車)
新型トヨタ・ノアS-Z(ハイブリッド車)
■トヨタ・ノアS-Z(ハイブリッド車・FF・7人乗り)
全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1670kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1797cc
エンジン最高出力:72kW(98ps)/5000rpm
エンジン最大トルク:142Nm/3600rpm
モーター最高出力:70kW(95ps)
モーター最大トルク:185Nm
トランスミッション:--
サスペンション形式 前/後:ストラット/トーションビーム
ブレーキ 前後:ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:205/55R17 91V
乗車定員:7名
WLTCモード燃費:23.0km/L
市街地モード燃費:22.2km/L
郊外モード燃費:25.0km/L
高速道路モード燃費:22.1km/L
車両価格:367万円

著者プロフィール

遠藤正賢 近影

遠藤正賢

1977年生まれ。神奈川県横浜市出身。2001年早稲田大学商学部卒業後、自動車ディーラー営業、国産新車誌編…