清水浩の「19世紀の技術を使い続けるのは、もうやめよう」 第1回 

脱・温暖化その手法 第1回 なぜこの連載を始めることになったのか ー今の対策では解決はできないー

温暖化の原因は、未だに19世紀の技術を使い続けている現代社会に問題があるという清水浩氏。清水氏はかつて慶應大学教授として、8輪のスーパーEVセダン"Eliica"(エリーカ)などを開発した人物。ここでは、毎週日曜日にEVの権威である清水氏に、これまでの経験、そして現在展開しているEV事業から見える「今」から理想とする社会へのヒントを綴っていただこう。

問題は長く提起されながら解決が見えない

 今年も東京オートサロンが1月14日からの3日間で始まった。東京モーターショーと並んで、日本を代表する自動車イベントであるが、車好きにとってはこちらは興味深い展示がされている。

 今年はプラチナカーと名づけた低速車両をモーターファン jp(三栄)のブースに展示させて頂いた。ここでMotor-Fan.jp編集部の松永大演さんにお会いして、この車輌の持つ意義などについてインタビューを受けた。その後の雑談の中で以前から考えていたことについて相談をした。

東京オートサロン2022でMFブースに展示されたプラチナムカー。セニアカーというだけでない新たな価値を生む低速モビリティとして、清水氏が開発・提案したモデル。横転しても乗員を守る安全性も備える。

 それというのも私は40年に亘り電気自動車の開発に関わって来た他、環境関係の講義を大学で行ってきたことで温暖化のことが心配であって、抜本的な対策が成されないままに、ますますその被害が大きくなることを危惧している。

 世界で議論され、行動に移されている多くの試みではとてもこの問題は解決できないと考えている。

 それではどうしたら良いのかをどんな方法で社会に訴えていくのか方法があるか考えているところであった。

 それでMotor-Fan.jpに雑誌媒体で連載のようなことを検討してくださいませんかと言うことが相談の内容だった。

 これについて快く応じて下さり、このような形で、ネット配信するということになった。これからおよそ100回程に分けて、温暖化対策を中心にしながらも、その他で考えていることも含めて認めて行きたいと考えている。

 どうかよろしくお願いします。

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著者プロフィール

清水 浩 近影

清水 浩

1947年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部博士課程修了後、国立環境研究所(旧国立公害研究所)に入る。8…