日産アリアB6 BEV専用新開発プラットフォームの実力をエントリーグレードで試す

日産アリアに初試乗! エントリーのB6でも新次元BEVを体感できる【インプレ動画あり】

日産アリア B6 2WD 車両本体価格:539万円
ようやく日産アリアに試乗できた。日産期待の電気自動車アリアの発売はワールドプレミアしてからだいぶ時間が経ってしまったが、けして計画より大幅に遅れたわけではなくスケジュールどおり(若干遅れているのは事実だが)だという。バッテリー容量66kWhで航続距離470km、FWDのアリアとしてはベーシックモデルであるB6 FWDをジャーナリスト、瀨在仁志が試した。
TEXT:瀨在仁志(SEZAI Hitoshi) PHOTO:中島仁菜(NAKAJIMA Nina)

コンセプトカーそのもののルックス

今回試乗したのは、もっともスタンダードなB6 FWDモデルだ。ステルスグレー/ミッドナイトブラック(2トーン)

2019年の東京モーターショーの日産ブースで話題となった、アリアコンセプトは、『ニッサン・インテリジェント・モビリティ』を具現化したモデルとして注目を集めた。電動化、高知能化など、先進技術を集約し、高級感あふれる内外装によって、今後の日産ブランドの象徴的存在として位置づけられていた。

それから足かけ4年。ようやく試乗する機会を得た。アリアのラインアップは66kwhと91kwhのふたつのバッテリーにそれぞれFFと4WDが用意され全4タイプ。66kwhモデルのB6、91kwhのB9。4WDモデルはe-4ORCEとネーミングされている。

全長×全幅×全高:4595mm×1850mm×1665mm ホイールベース:2775mm
トレッド:F1585mm/R1590mm 最小回転半径:5.4m
最低地上高:180mm 車両重量:1960kg 前軸軸重1050kg 後軸軸重910kg

今回は22年5月に発売が予定されているアリアのファーストモデルで、ベーシックタイプのB6・FF仕様。全グレードが出揃うのは22年夏以降を予定しているという。
モーターショーの記憶は少々薄れてしまっているが、グリルやグラスエリアの面一感やうねりを持った流れるボディラインなど、ショーモデルを思わせるような造形美を持つ。あのときのまま、と言っても誰しも納得するに違いない。

室内に目を向けてみると、ステッチの入った厚みのあるシートは先に限定販売されたB6・limitedと同仕様がラインOPによって用意され、インパネ周りは12.3インチのディスプレイが横にふたつ並び、左右に湾曲して広がるアンダーパネルには透過型のスイッチを配置し質感、先進性ともに目を惹かれる。

足元はほぼフラットで左右に広く、シート間には前後に電動で移動する大型のセンターコンソールを持つなど、運転席、助手席ともにラウンジに腰かけているようなゆったり感を味わえる。エクストレイルに比較して70mm長いホイールベース2775mmを得たことでリヤシートの足元も広く、サルーンとしての味わいすら持ち得ている。

12.3インチ+12.3インチの統合型インターフェースディスプレイ
フロントシートの出来もいい。
今回の試乗では後席に乗ることが出来なかった。次回の試乗で後席の乗り心地を報告する。
ドライブモードは、ECO/NORMAL/SPORTでそれぞれにe-Pedal ON/OFFがあるから全部で6モードとなる。 また、電動コンソールは150mm移動する。
静電容量スイッチを採用することでフラットなパネル面を実現した。ハプティック(振動フィードバック)の操作感が新しい。

クルマは走ってナンボである

B6は「EVならではのプレミアムな走りを実現したベーシックモデル」だ

もちろんクルマは走ってナンボである。
内外装を褒めたのも、それにしっかりと機能がついてきているからだ。スターターボタンを押してみても、透過式のスイッチやメーターに灯がともる以外一切無反応。昔のリーフのようにウィーンッもクオーンッもない。電気自動車である主張もなければモーターの存在感もない。それでいながらひと踏みすればスッと1.7トン近いボディを動かしてしまう。

そのときの音もしない。言い過ぎのようだが、個人的には街乗りレベルの加速時に音の変化は感じられず、常に高い静粛性を保ってくれている。高速での合流で極低速域から高速レンジへと加速する際にモーター音は確かにあるが、速度と回転音がガソリン車の加速フィール同様にリンクし、パワーの上昇音が気にならない。

AM67型交流同期モーター 定格出力:45kW 最高出力:218ps(160kW)/5950-13000pm 最大トルク:300Nm/0-4392rpm バッテリー容量:66kWh

新開発の巻線界磁式モーターと呼ばれるユニットは、いままで経験した低速での太いトルク感とは異なり、一層の滑らかさに加えて力強さが期待値通りに発生。初期の頭打ち感が少なく、リニアにトルクを引き出してくれることで、モーター本体の音対策以上に静粛性を生み出してくれている。感覚に素直な加速感が功を奏している。
タイヤには吸音スポンジ入りを採用している(試乗車はダンロップ製だったが、ブリヂストン製もあり)というが、路面からの振動によるロードノイズの吸収に加えて、空気の圧縮音であるパターンノイズの発生も抑えられ、速度の変化による音変化も少ない。

そのうえ、クルマ自体の遮音性にもこだわっていることで、多角的に音を断ち切ることで、電気自動車本来の静粛性が生み出されたと言える。
12年前にデビューしたリーフではエンジン音だけはモーターに置き換わったことで静かだったものの、風切り音やロードノイズなどはむしろ目立ってしまっていたのとは隔世の感がある。

走行性能的にはEV専用の新設計シャシーと高応答大径ダンパーの採用による効果が大きい。路面からの無駄な動きを遮断して静粛性を保っていることに加えて、足元が路面をしっかりとつかみモーターのパワーを無駄なく伝達。フロント駆動でありながらゼロ発進加速を行なってみてもステアリングは常に締まり感があって、強力なトラクションを生んでくれている。接地感が高いから操作に対する応答も良く、ハンドリング的には正確さがあって落ちついている。

圧倒的な静粛性の驚かされた。全面遮音ガラスと徹底したNV対策で室内は驚くほど静かだ。

加速中の姿勢も大きく変化することがなく、低重心の効果によって高い安定感をキープし、気がつけば思った以上の速度域までたどりつくことができる。ただ、負荷がかかっているときには、シャシーの強さによる恩恵を感じられた半面、一定走行に移ると路面からのうねりなどに反応しやすくフロントの上下動が多い。どっしり構えたリヤの落ち着き感に対して、フロントはモーターのパワーを最大限生かすべく味つけが、やや強く出てしまっているようだ。

アリアはショーモデルのコンセプトどおり、SUVでありながらその中身は高級感に溢れ、電気自動車・BEV本来の魅力を最大限に発揮。電気自動車の先駆者として、ようやく真打ちを登場させたことで、製造中止が決まっている上級セダン系を引き継ぐ次世代モデルとしての役割を持って、日産を代表するモデルになっていくに違いにない。

これからのEV戦略と次世代モデルの強化が楽しみである。

前席足元の広々感はEVならでは
ダンロップ製 SPORT MAXX 050 「サイレントコア(特殊吸音スポンジ)」を採用
※ワクチン接種済・当日検査で陰性のスタッフにより、瀨在氏のみ撮影中にマスクを外しています。ご了承ください。
B6の発売は5月12日の予定 B6 e-4ORCE/B9/B9 e-4ORCEは2022年夏以降の発売となる。
日産アリア B6 2WD
 全長×全幅×全高:4595mm×1850mm×1665mm
 ホイールベース:2775mm
 車重:1960kg
 サスペンション:Fストラット式/Rマルチリンク式 
 駆動方式:FWD
 駆動モーター
 形式:AM67型交流同期モーター
 定格出力:45kW
 最高出力:218ps(160kW)/5950-13000pm
 最大トルク:300Nm/0-4392rpm
 バッテリー容量:66kWh
 総電圧:352V
 交流電力量消費率WLTCモード:166Wh/km
  市街地モード 159kW/km
  郊外モード 170kW/km
  高速道路モード 176kW/km
 一充電走行距離(WLTCモード):470km
 車両本体価格:539万円
 試乗車はop込みで
 オプション:BOSEプレミアムサウンドシステム13万2000円/プロパイロット リモートパーキング+ステアリングスイッチ+ヘッドアップディスプレイ+アドバンストアンビエントライティング+ダブルシャークフィンアンテナ+パノラミックガラスサンルーフ+プロパイロット2.0 57万3500円

著者プロフィール

瀨在 仁志 近影

瀨在 仁志

子どものころからモータースポーツをこよなく愛し、学生時代にはカート、その後国内外のラリーやレースに…