Mercedes-Benz S-CLass

1世代における最大規模のアップデート

「S 450 d 4MATIC」(左)、「S 580 4MATIC long」の間に立つのはメルセデス・ベンツ日本合同会社のゲルティンガー剛社長兼CEO(左)とメルセデス・ベンツ・グループAGのSクラス開発責任者を務めるフランク・ヴンドラック氏。
「S 450 d 4MATIC」(左)、「S 580 4MATIC long」の間に立つのはメルセデス・ベンツ日本合同会社のゲルティンガー剛社長兼CEO(左)とメルセデス・ベンツ・グループAGのSクラス開発責任者を務めるフランク・ヴンドラック氏。

メルセデス・ベンツ日本は、ブランドのフラッグシップラグジュアリーサルーンの新型「Sクラス」を発表した。日本市場に展開されるラインナップは、「S 450 d 4MATIC」「S 580 4MATIC long」、そしてメルセデス・マイバッハ「S 680」の3グレードとなる。

今回の新型Sクラスは、見た目こそ先代モデルから大きく変わらないが、約2700点もの部品を新規開発または改良しており、その中身は大幅に刷新されており、メルセデス・ベンツ自身が「1世代における最大規模のアップデート」と位置付けるほどの進化を遂げた。

フロントマスクは従来型のイメージを継承しつつ、より威厳ある表情へ進化した。デザインのトピックは、フロントセクションにおいては、20%大型化されたフロントグリル、新世代デジタルライトにはスターデザインを用いた新ライトシグネチャーを備えたヘッドランプ、そしてイルミネーション機能を備えたスリーポインテッドスターが、一目でSクラスと分かる存在感を演出する。リヤでは、フロントと同じくスターデザインのリヤコンビネーションランプが印象的だ。

「パワー」から「IQ」へ

S 580 4マティックに搭載される4.0リッターV型8気筒ツインターボ
S 580 4マティックに搭載される4.0リッターV型8気筒ツインターボ

電動化時代を迎えても、メルセデス・ベンツは内燃機関の魅力を捨てていない。搭載されるエンジンは、S 450 dに3.0リッター直列6気筒ツインターボディーゼル、S 580 4マティックに4.0リッターV型8気筒ツインターボとなる。最高出力537PS、最大トルク715Nmを発揮するV8エンジンは、スポーツカーのようなフラットプレーンクランクシャフトを採用しつつも、レスポンスと振動低減の両立を実現したという。S 680は先代と同じく6.0リッターV12ツインターボとなる。

日本仕様のSクラスは全車48Vマイルドハイブリッドシステムを採用。ISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)によって、スムーズな発進やエネルギー回生を実現する。また48Vシステムは燃費性能だけでなく、NVH(騒音・振動・ハーシュネス)の改善にも貢献したという。

MBUXはAIアシスタントへ進化

S 580 4マティックのインテリア
S 580 4マティックのインテリア

しかし今回の最大のトピックは、メルセデス・ベンツが自社開発した新世代オペレーティングシステム「MB.OS」である。これは単なるインフォテインメントシステムではなく、車両制御、安全運転支援、ナビゲーション、エンターテインメント、将来的な自動運転機能までを統合する、車両全体のデジタル基盤だという。

従来のクルマが複数のシステムの集合体だったのに対し、MB.OSでは高速通信ネットワークによって車両全体をひとつの知的なシステムとして制御する。MB.OSによって、最新世代のMBUXも大きく進化した。今回の新型SクラスではAIベースのバーチャルアシスタントを採用している。自然言語による会話に対応し、「ハイ、メルセデス」と呼びかけることで、まるで人と会話するような操作が可能になる。重要な技術領域は自社開発しつつ、AI分野ではNVIDIA、Google、ChatGPTなどと連携しているという。質問内容に応じてChatGPTやGeminiなど複数のAIを使い分け、ユーザーが意識することなく最適な回答を提供する。

ロボタクシーへつながるADAS技術

S 450 dのインテリア
S 450 dのインテリア

また、AIは運転支援にも活用される。メルセデス・ベンツが「フィジカルAI」と呼ぶ技術によって、将来的にはポイント・ツー・ポイント型の高度運転支援へ発展していくという。

新型Sクラスには10個(現時点では8個が作動)のカメラ、5つのレーダーセンサー、12個の超音波センサーを搭載している。これらのセンサー群とMB.OSによる高性能コンピューティングによって、高度な運転支援システムを実現している。また、2025年末にはメルセデス・ベンツと中国の自動運転技術企業モメンタ(Momenta)による、新型Sクラスをベースとしたレベル4ロボタクシープロジェクトも公開されている。

現在搭載される技術は、将来的な完全自動運転社会へ向けた基盤でもある。日本市場では自動運転機能の導入時期は未定だが、各国の法規制に合わせて順次展開される予定だ。

今回の発表会では、新型Sクラスの本質について「これからの高級車は馬力ではなくIQで競う時代になる」という表現があったが、かつてABS、エアバッグ、ESP、LED技術など、自動車業界の新基準を生み出してきたSクラスの最新モデルが示す未来は、AIとソフトウェアによって進化する自動車ということとなるだろう。ラグジュアリーカーの価値軸が「性能」から「知性」へ移りつつあるのだ。

乗り心地を極めるシャシー技術

S 580 4マティック
S 580 4マティック

サスペンションにはエアマティックをベースとした制御システムを採用。さらに「eアクティブボディコントロール」では、コーナリング時ロールを積極的に制御することで乗員の快適性を高める。新採用された「インテリジェントダンピング」は、路面状況を予測してダンパー制御を最適化。住宅街のゾーン30などに設置されるハンプにも対応するという。

先代で印象的だったリヤアクスルステアリングは、今回も標準で4.5度、オプションでは最大10度まで操舵可能となる。大型サルーンとは思えない取り回し性能を実現する。

納車開始は9月以降を予定

マイバッハ S 680
マイバッハ S 680

「S 450 d 4MATIC」の予約注文はすでに受注をスタート。「S 580 4MATIC long」「マイバッハ S 680」の導入および納車開始は9月以降を予定しているという。メルセデス・ベンツ日本は、今後3年間で50台の新型車投入を予定しているが、その攻勢を象徴するモデルとして、新型Sクラスは日本市場でも大きな役割を担うことになるだろう。

車両本体価格

メルセデス・ベンツ S 450 d 4MATIC 1598万円
メルセデス・ベンツ S 580 4MATIC long 2365万円
メルセデス・マイバッハ S 680 3934万円

メルセデス・ベンツは、Sクラス改良新型をベースにしたロボタクシーを開発している。

メルセデス・ベンツがNVIDIAのテクノロジーを導入して開発中の「Sクラス」ベースのロボタクシー【動画】

メルセデス・ベンツは、先日発表された「Sクラス」改良新型の先進技術をベースに、業界をリードするパートナーとともにロボタクシー・エコシステムを開発。NVIDIA(エヌビディア)やMomenta(モメンタ)などのテック企業、UberやLumoといったモビリティ事業者との協業により、先進的なロボタクシーサービスの提供を計画している。