ホンダ・ヴェゼルe:HEV長期レポート | トラブル発生! アラートが次々に出てきた

ヴェゼル納車後10ヵ月目に初トラブル! どうやら単眼カメラのシステムエラー サービスキャンペーンのお知らせがきた

納車後、初トラブルに見舞われた筆者のホンダ・ヴェゼルe:HEV Z
3月下旬、納車からほぼ10ヵ月、総走行距離8500kmを超えた筆者新型VEZELにトラブル発生である。
TEXT & PHOTO:山上博也(YAMAGAMI Hiroya)

アラートが次々と……

トラブルの原因は、フロントワイドビューカメラ

ヴェゼルで出かけた息子が帰ってくるなり「なんかクルマ壊れたみたい、白線読み取るやつとか●■×▲…使用できませんってメーターに出たよ、なんか雨が強く降ってきたからかなぁ…」と報告を受けた。先代ヴェゼルでは、ワイパーを連続で動かすとLKAS(車線維持支援システム)がキャンセルされたが、新型ではそれはないはず。でも結構強い雨だったというからそのせいだろうとその時は撮影データの現像中だったこともあり気にせずにいた。

翌朝、妻を職場まで送るため、ヴェゼルに乗り込みスタートボタンを押す。いつものようにメーターディスプレーが立ち上がる。一連の始動時のディスプレー動作が終わるとアラートが次から次と現れた。

息子が言っていたのはこのことかぁ、とその時あらためて認識した。アラートは5つ、

「ACC(アダプディブクルーズコントロール)システム異常 使用できません」
「LKAS(車線維持支援システム)異常 使用できません」
「CMBS(衝突軽減ブレーキシステム)異常 システムは作動しません」
「路外逸脱抑制システム異常 システムは作動しません」
「オートハイビーム異常 ハイビームへの切り替えは手動で行ってください」

の順で出た後、「走行可能です」の表示がでた。

一連のアラート表示のあと、走行可能ですが表示される

走行には支障がないようなので、妻を乗せ出発することにした。支援システムが不良なだけで走行は普通にできるようだったが、先のアラートの文言が走行中も繰り返し表示されるのでそれは煩わしい。ステアリングスイッチの操作で消せるのだが、何かの拍子でまた繰り返し表示される。妻を職場まで送り届けた後の帰り道、そのアラートを見ながら思い出した。新型ヴェゼルの納車が始まった当初、このようなシステムトラブルが出たという報告のユーザーブログが幾つかあったなと。帰宅し早速ググってみる。同様のトラブルが幾つも報告されている。何かの原因でシステムエラーが起きるとCAN(車載ネットワーク)のため関連システムがすべてエラーとなってしまうようだ。

ディーラーのサービスでシステムをリセットすることで復旧するらしく、それほど大ごとではないようでちょっと安心。その日は特に時間指定の仕事が入っていなかったので早速ディーラーに出かけたのだが、なんとその日はサービス部門だけ休みとなっていた。とりあえず私に声をかけて来た若い営業担当者に症状を伝えたところ「たぶん専用コンピューターをつないでリセットすれば直ります。時間は30分くらいです」とのこと、気を取り直して「明日また来ます」としかたなく家に帰った。

翌日、開店時間頃に行けば空いているだろうし直ぐに診て貰えるだろうと思っていたが、考えが甘かった。昨日サービスが休みだったこともあるのかディーラーは大盛況。予約を入れておけばよかったのだが、突然の訪問だったので夕方近くにならないと診られないということで、結局クルマを預けて電車で帰宅した。

予定より早く診て貰えたらしく昼過ぎにサービスマンから連絡がきた。サービス担当から診断内容を報告される。

「システムエラーの原因はフロントの単眼カメラ(フロントワイドビューカメラ)が起因で交換が必要です」とのこと。“交換”という言葉を聞いて筆者に嫌な予感が走る。昨今の半導体不足で我がヴェゼルも納車時にディーラーオプションのドラレコが間に合わず装着が半月ほど遅れたたということがあった。またヴェゼルの納車が今現在も大きく遅れていることも知っていたので、もしかして部品がなくて交換にしばらく時間がかかるって言われるのではと妄想が先走った。が、それは杞憂だった。

「部品入荷まで3日程お時間ください」とのこと。とりあえずシステムはリセットしアラートは出ないようになっているのでクルマが必要なら一旦お返ししますとのことで、電車に乗って引き取りに行った。ヴェゼル引き取り時に担当サービスマンに現状を確認する。「カメラシステムを切ってあるのではなくリセットなのでまたエラーにならなければ機能は使えます」とのこと。どういう状況下で不具合が出るのか聞きたかったが、店の駐車場が満杯なほど混んでいたのでカメラ交換時にまた詳しく話を聞けばいいかとその日は帰宅した。

トラブルの中身と対策

3日後、カメラの部品交換にディーラーに出向く。部品が午前中に届く予定ということで午後一の予約をしておいた。部品交換には3時間程かかるというので、クルマを預け一旦帰ることに。今回は代車でN-WGNを借りることができ助かった。クルマだと自宅から10分ほどだが、電車だと40分弱かかってしまう。じつは2年ほど前に徒歩圏内に新しくホンダディーラーができたのだが、今のディーラーとは20年来の付き合いなので新型ヴェゼル購入の際も引き続きお世話になることにした。おかげで何かと融通は利いているようだ。

ヴェゼルの単眼カメラシステムは、ヴァレオ社製

話は戻って、交換修理が終わった旨連絡があり、クルマを引き取りに行った。今回は担当サービスマンも余裕がありそうだったので少し話を伺うことができた。原因はカメラシステムの通信異常が発生するためらしい。「同じような不具合は結構多いですか?」と筆者が尋ねると「割と多いですね。新型ヴェゼルだけでなく新型フィットでも同じような症状で入庫があります」とのこと。そういえば新型ヴェゼルと新型フィットはヴァレオ社の単眼カメラシステムを使っていることを思い出した。「今回カメラシステムを交換しましたが何か対策がされているのですか?」と筆者が尋ねると「詳しいことはわかりませんが、交換する部品番号が変わっていますので対策部品になっていると思います」とのこと。部品の個体差での故障というよりハードの構造的な問題があったかもということが窺い知れる。こういうことも原因で新型ヴェゼルの生産が遅れているのかもと勝手に想像してしまった(違ったらホンダさんごめんなさい)。

カメラは室内側からルームミラー等を外して交換できるらしくそう難しい作業ではないが、専用の検査キットでカメラの向いている位置が正しいかなど最終チェックをしなければいけないらしい。「しっかり調整したので安心してお使いください」と伝えられ、すっかりACC/LKASに頼ることが多くなってしまった筆者もこれでひと安心だ。

カメラの交換修理が終わった後に送られてきたサービスキャンペーンの案内

フロントワイドビューカメラの交換を終えた2日後、HONDAより「重要なお知らせ」の封書が届いた。それはまさにカメラシステムの不良によるサービスキャンペーン(リコールではない)のお知らせだった。内容的には「プログラムが不適切なため対策プログラムに書き換えします」というもの。筆者のヴェゼルは、すでにカメラ本球まで交換してしまったがプログラム書き換えだけで解決できたのか知る由もないが、時期的にプログラム書き換えで済むなら事前にサービスには伝えられているだろうしちょっと釈然としない。サービスキャンペーンがカメラ交換ではないので、もしかしたら筆者ヴェゼルのような初期ロッドと現在生産中のものとはカメラそのものが違うのかも知れない。気になったのでホンダのホームページで確認すると令和3年8月20日まで生産分が対象になっていた。初期ロッドででる不具合であることはわかったが、部品交換とプログラム書き換えだけの境目がわからずちょっともやもやしている。

まあ問題は解決しているようなので良しとしよう。こんど機会があればホンダのエンジニアに詳細を聞いてみようと思った筆者であった。

サービスキャンペーン該当車はホンダのHPで確認できる

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著者プロフィール

山上博也 近影

山上博也

フォトグラファー。札幌市出身。株式会社ヴュー代表でWEB・DTPデザイナーだったりもする。
幼少より好き…