クルマの中でも最重要パーツ! タイヤの賞味期限を知って最適なメンテナンスを心掛けよう。

タイヤの賞味期限を知っていますか? 命を預けるタイヤのメンテナンスのお話【カーケア&メンテナンス】

軽自動車でも、どんな高性能なスーパーカーでも、4本のタイヤが地面に接地しているだけ。その面積たるや、はがき1枚分と言われているほどだ。この小さな面積で、ドライからウエット、加減速からコーナーまで、あらゆるシーンでグリップし続けてくれるのは凄いことなのである。
PHOTO&REPORT:近藤暁史

きわめて重要な役割を担っているタイヤには、もちろんメンテナンスが重要になってくるわけで、率直に言わせてもらうと、怠っている人は非常に多い。何度も言うけれど、命を預けている重要なパーツなのに、放ったらかしというのは危なすぎる。ということで、今回はタイヤにまつわるメンテナンスを完全網羅でお届けしよう。

資源の問題もあって、タイヤの使用期限は伸びる傾向にある。これはタイヤ業界全体で力を入れていることで、たとえばグッドイヤーによると使用5年後にプロによる点検を受け、製造10年後で使用不可としている。想像よりも長く使える気もするが、もちろんこれはメンテナンスをきちんとした場合の話である。いつ製造されたかはじつはタイヤのサイドに明記されていて、4ケタの数字で表記されている。例えば、「1220」の場合は、2020年の12週に生産されたことがわかるのだ。

長い円で囲まれた表記の末尾4ケタで製造年週を知ることができる。ちなみにその前の記号は工場などを表す。

日頃のメンテナンスは、何はなくても空気圧

空気圧はとても重要。クルマの場合は空気が減っていてもパワーがあるので違和感なく走れてしまうが、自転車で考えてみると空気が減っていると漕ぐのに力がいるし(燃費も悪くなる)、よじれてフラフラした走りになる(コーナーなどで安定しない)。しかも空気が少ないと痛みやすくなり、寿命も短くなる。

最近はセルフスタンドが増えているので自分で測る必要があるけれど、月に1回は給油ついでに見ておきたい。そんなに頻繁に見なくてはならないのかと思うかもしれないが、分子の大きさの問題で、空気は自然と抜けていくもの。クルマごとの指定空気圧については運転席のドアを開けたところに表示があるので、これに合わせる。タイミングとしては空気は熱で膨張するので、冷えているタイミング、いわゆる冷間がベストだが、そこにこだわっているとガソリンスタンドで調整はできないので温間でも構わない。とにかく定期的に見ることが大切で、1本だけ少ないと、パンクを発見するきっかけになったりする。

運転席のドアを開けたところに純正タイヤの空気圧表記がある。
基本は純正指定の空気圧を守りつつ、燃費を上げたいときなど、1割程度上げてもいい。

表面の状態を見ておこう

タイヤは生モノとよく言われるが、紫外線の影響や熱による油分の抜けなどで、劣化は確実に進む。意外に見ないのが表面の状態で、気がついたらヒビが発生していたなんていうことも。ザッと見るだけでもいいので表面を点検。劣化が進んでいると表面に細かいヒビが発生するので、そうなれば寿命だ。

ヒビを放置すると大きな亀裂につながることもあるので、空気圧チェックついでに見ておこう。

溝の状態は最重要ポイントだけに見方を知るべし。

トレッドに入れられている溝からいろいろなことを知ることができる。まずは溝の深さで、サイドにある目印の先を見ると溝の中が一段高くなっていて、ここが表面に出てツライチになったら使用不可だ。ちなみに実際の数値は0.6ミリで、これを超えると車検も通らない。また、溝の残量だけでなく、左右、つまり外側と内側の減りの差も見ておく。最近はトーインを大きめに取っているクルマも多くて、均等に摩耗していない場合もあるが、極端な差がある場合は足まわりの不具合なども含めて点検したほうがいい。

トレッドは正面から見て溝の状態を判断し、当然のことながら4本すべて見ておく。

ローテーションは必要か?

以前は前後をクロスで入れ替えるのがローテーションとされてきた。最近では回転方向指定のタイヤもあるので、前後で入れ替えるだけでいい。FFが全盛だが、FRでも前荷重が大きいので基本的には前の摩耗が進みやすいと思っていいだろう。目安は前輪で判断して1/3減った時点。ちなみに前後を入れ替えるのはDIYでは意外に難しいので、タイヤ専門店などにお願いするほうが楽だったりするし、点検もしてくれるので安心だ。

FFの後輪はほとんど減らないと言っていいいほどだ。そのため、減りやすい前輪と入れ替えると良い。

回転方向を守らないとどうなる?

回転方向指示あり、といえば以前はスポーツタイヤのイメージだったが、最近ではエコタイヤなどでも回転方向指示がある場合が増えてきた。そもそもなぜ指示があるのかというと、排水性だけでなく、騒音防止も関係している。つまり溝の中を水や音が抜けていきやすくするためなのだ。

回転指定のタイヤには方向や向きの指示があるので、回転指定を見逃さないように。

タイヤの正しい洗い方とは

洗車のついでにタイヤを洗うことは多い。その際は、最後に洗うこと。同じスポンジを使う場合、最初に洗ってからボディにいくと砂などを取り込みやすくて傷を付けやすい。できるなら足まわり専用のスポンジを用意しておくといい。洗ってもなんかイメージがシャッキリしないということも多い。これはサイドのロゴなど、細かい部分に入り込んだ汚れが原因なのでブラシでかき出してやるとシャープな感じになる。

ロゴなどの溝の向きに合わせてブラシをかけていく。ワックスをかけるなら下処理として実施する。

タイヤワックスは良いのか悪いのか?

タイヤワックスは使わないほうが良いという説をご存知だろうか。タイヤにとって良いからワックスを塗るのだろうと思われるが、否定派の意見としては、タイヤ内部に含まれている油分が抜けやすくなって、逆にヒビ割れなどが発生しやすくなるという説がある。賛成派はもちろん、素のままではなく、ワックスで守ってやったほうがいいというものだ。実はタイヤのカタログにも、ワックスは劣化を促進させてしまうものがある、と明記されているほど。実際のところ、昔のように、白っぽくなったりもしにくいからとくにワックスをかけなくても良いだろう。もし気になるなら、水性のタイヤワックスを使えばゴムに影響を与えない。水性ワックスはタイヤメーカー純正でも売られている。

油性の場合、影響の有無は別としても塗りすぎに注意で、ワックスの後の乾拭き仕上げで余分なワックスは取り除いたほうがツヤも自然になる。

パンク修理をしても大丈夫?

最近でも意外に路面には釘が落ちているもので、タイヤに刺さっていることがある。チューブレスタイヤの場合、刺さってもすぐに空気は抜けないので、交換や修理する余裕はあるものの、逆を言えば気が付きにくいので、やはり空気圧の定期的な点検は大切だ。厳密に言うとパンクしたら新品にしたほうが良いが、コスト的にもそれは現実的ではないし、正しく修理すれば問題はない。ただできるのはトレッド面のみで、サイド面はダメ。また裂けたような穴も対応不可だ。パンク修理はゴムを接着剤とともに注入して塞ぐが、もし対応してくれるところがあれば、裏側にパッチを当てて焼き付ける方法のほうが確実ではある。

修理キットも売られていて、DIYでも修理はできるが、失敗するとリカバーできないこともあるので要注意だ

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