若手ラリードライバー育成企画「TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム」に注目を!

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生、小暮ひかる(左)山本雄紀(中央)、大竹直生(右)の3選手。
終わったばかりのWRCサファリ・ラリーで見事に表彰台(3位)を獲得した勝田貴元。彼はトヨタが主催する若手ラリードライバー育成企画「TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム」出身だ。勝田選手の”次”を担う若手が「WRCチャレンジプログラム 2期生」。先物買いとして、ぜひ注目していただきたい。
PHOTO:TOYOTA Gazoo Racing
今年のサファリラリーで、勝田貴元選手は3位フィニッシュ。2年連続ポディウムに登った。

6月22〜26日にかけてアフリカ・ケニアを舞台に開催された世界ラリー選手権(WRC)第6戦サファリラリーにおいて、トヨタGRヤリス・ラリー1で参戦した勝田貴元が3位で完走。今シーズン初となる表彰台を獲得した。多くのトップドライバーがトラブルやアクシデントに見舞われるなか、昨年の2位を上回ることこそできなかったものの、今シーズンはここまですべてのラリーでポイントを獲得。着実に成長していることを、あらめて証明したかたちだ。

もともとサーキットドライバーとしてキャリアをスタートした勝田は、トヨタが主催する若手ラリードライバー育成企画「TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム」に選出され、ラリードライバーに転向している。2015年、新井大輝(2020年全日本ラリー選手権王者)と共に、WRCチャレンジプログラムに抜擢された当時、勝田はペースノート走行や、英語でのコミュニケーションなどに課題を抱えていた。それでも、フィンランドを拠点にステップアップを重ね、今やWRCのトップカテゴリーで優勝を狙える位置にまで到達した。

「山本・大竹・小暮」の名前と顔を覚えてほしい

ポフヤンマー・ラリー SM4クラスで、山本選手が4位、小暮選手が5位、大竹選手はリタイアだった。マシンは、ルノー・クリオRally4。

トヨタは2021年8月、勝田に続く日本人ドライバーを育成すべく「WRCチャレンジプログラム 2期生」の募集をスタートする。2022年1月末には60名の応募者から選出された8名が、フィンランド・ユバスキュラで行なわれた2週間のトレーニングキャンプに参加。WRCで活躍したミッコ・ヒルボネンやユホ・ハンニネンによる最終選考を経て、山本雄紀、大竹直生、小暮ひかるの3名が育成ドライバーに選出された。そして、4月からは勝田と同様、フィンランドを拠点にペースノートドライビング、欧州でのラリー参戦などを行なう、育成プログラムがスタートしている。

小暮・ルフティネン組

2001年4月19日生まれ、最年少の小暮は勝田と同様にサーキットをバックグラウンドに持つドライバー。2020年から活動をラリー中心に切り替え、21年にはJAF東日本ラリー選手権BC2クラスで初優勝。まだ全日本ラリー選手権レベルでの活躍はないが、その潜在能力には期待も大きい。

トヨタが日本全国で行う参加型イベント「TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge」をきっかけにラリーを始めた山本は、1997年2月23日生まれの25歳。全日本ラリー初挑戦となった2021年シーズンは、トヨタ・ヤリスでJN6クラス終盤2戦に登場、2勝を挙げている。彼もまた全日本レベルでのキャリアは少ないが、クレバーな戦い方はラリー関係者からの評価も高い。

3名のなかで最も豊富なラリー経験を持つのが、2000年6月21日生まれの大竹直生だろう。高校生の段階で奴田原文雄が主催するラリースクールに入り、早くもラリーデビュー。19歳で全日本ラリー選手権初参戦を果たすと、2021年にはトヨタ86を駆って全日本ラリー選手権JN3クラスで3勝を記録し、21歳の若さでタイトルを獲得して見せた。「勝田の次は大竹」と言われてきた存在が、しっかりとチャンスを掴んで見せた。

3名は、6月17〜18日にフィンランド選手権第5戦ポフヤンマー・ラリーに、ルノー・クリオ・ラリー4で参戦。大竹はメカニカルトラブルでリタイアに終わったものの、山本がクラス4位、木暮が5位で、欧州におけるラリーデビューを果たした。今後、3名はフィンランドを拠点にペースノートを含めたトレーニングを繰り返し、ラリー参戦を行いながら、一歩ずつ“世界”を目指していくことになる。

WRCのトップレベルでは、サファリでシーズン4勝目を挙げたトヨタのカッレ・ロバンペラ(21歳)、ヒョンデ・ワークスから参戦するオリバー・ソルベルグ(20歳)といった同世代のドライバーたちが、すでに活躍を見せている。まだ育成プログラムは始まったばかりだが、数年後、成長を遂げた彼らがWRCのトップカテゴリーにおいて、ロバンペラやソルベルグ、そして勝田と優勝を争う姿もけして夢物語ではない。

その時、「彼らを前から知っていた」と、ドヤ顔で言うためにも、是非これを機会に「山本・大竹・小暮」の名前と顔を覚えてほしい。

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