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レバー比を理解すれば、おのずとバネレートも決まってくる(はずだ)
サスペンションにはレバー比が関係してくる。
サスペンションにはレバー比というものがある。タイヤはサスペンションアームの先のナックル(アップライト)に取りつけられている。
このアームの途中にサスペンションが取り付けられるので、サスにはテコの原理が働いて荷重が伝わる。
レバー比があることで、サスペンションが動くストローク量は短くなり、代わりに大きな力がかかる。もし、レバー比が1で、サスペンションのバネレートが10kg/mmだったときと、レバー比が1.5で同じバネレートだったとしたら、レバー比1.5の方がたくさん沈み込む(結果、サスペンションとしては柔らかく感じられるようになるということ)。
傾向としてはストラット式はサスペンションがナックル付近につけられていることが多いのでレバー比はほぼ1のことが多い。マルチリンクやダブルウィッシュボーンはサスペンションがアームの真ん中あたりに取りつけられていることも珍しくないので、レバー比が1以上の数値であることがほとんど。
しかもマルチリンクなどは、ストラット式と違ってサスペンションに横方向の負荷がかかりにくいので、サスペンションがスムーズにストロークしやすい。そのフリクションの少なさとレバー比がたくさんあることが相まって、バネレートが20kg/mmや30kg/mmでも普通にしなやかにストロークするのである。
レバー比が1あたりのストラット式サスだと、車重が1.5~1.7tクラスのクルマだと20kg/mmなどはかなりハードな乗り心地になってしまうことが多い。
ストラット式のS15シルビアのフロントの場合、レバー比があまりないのでスプリングは10kg/mmくらいが普通だが、マルチリンク式のフェアレディZ(Z33)ではレバー比が大きいので、20kg/mmで同じくらいの硬さ、といった具合だ。
クルマ好き同士だと「お前のクルマ、バネレート何キロ?」なんて会話になるが、車種が異なるとレバー比が変わるので、その数値はなんのアテにもならないのである。よってこの手の侠気を競う風な会話は、いますぐやめることをお勧めする。
エンドレスのサスペンション開発にお邪魔した
エンドレスは日本を代表するブレーキメーカー。WRCのトヨタワークスヤリスにもブレーキパッドが使われている。というか、WRCでは圧倒的なパッドのシェアを誇る。
キャリパーも各レースで広く使われ、フルードはF1でブラウンGPがシリーズチャンピオンを獲得しており、もちろんいまも使っているチームがある。
そんなブレーキイメージの強いメーカーだが、同じように注力して開発しているのがサスペンション。
現在は「IMA」というシリーズが主流で、ストリートメインのSC、スポーツメインのPS、サーキットメインのTCという3つの用途別モデルを展開している。そのサーキットテストに参加させてもらった。
加茂のGR86にも、もっともサーキット向けのTCのテスト品を装着して、テスト走行を行なった。そこで見えてきたのは、リヤのバネレートが操縦性のカギになるということだった。
あ、次回に続く。