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始まりはミズノ×マツダのコラボレーション
ミズノは新しい取り組みとして、2021年7月にマツダと共同開発したドライビングシューズをクラウドファンディングでリリース。このテストマーケティングで好感触を得たミズノは、ドライビングシューズ市場への本格参入を決定。マツダとのコラボレートで得られた知見をもとに、より幅広い層に届けるべく開発したのが9月20日に発売予定の「BARECLUTCH(ベアクラッチ)」だ。
ドライビングシューズは足裏の感度を重視しているだけにソールが薄くて硬く、また操作性を高めるためにタイトフィッティングで長時間履いていると疲れるなど、歩行には向かない製品も少なくない。
「BARE」=「裸足」、「CLUTCH」=「掴む」と名付けられたこのシューズは、裸足のようなダイレクトな足裏感覚とストレスの無い履き心地、ペダルや地面をがっちり掴み確実な操作と軽やかな歩行を実現。エンジンとトランスミッションを繋ぐように、ドライビングと歩行を繋ぐクラッチのような役割を担うシューズなのだ。
軽くしなやかで履きやすい
実際に「BARECLUTCH」を手に取ってみると驚くほど軽い。
重量は片側で240g(27cm)だが、開発者曰く300gを下回ると軽く感じられるという。この重量設定は耐久性とのバランスを考慮した設定となっている。ちなみに、マツダとのコラボモデルはハイカットで270gを実現。
シューズの上部は人気サッカーシューズ「モレリアII」(https://jpn.mizuno.com/ec/disp/attgrp/P1GA2000/)の型材を使用し、素材にはウォーキングシューズで実績のある人工皮革「ソフリナ」を採用している。
適度な包まれ感とフィット感で履き心地は上々。ベロの上端や踵の上部がメッシュ素材になっているので足首を動かした時にも硬さを感じず、脱ぎ履きもしやすかった。
初めて足を入れた際にやや幅の狭いと感じたが、これはすぐに靴の方が足に馴染んでくれて窮屈に思うことはなかった。
靴紐は何度もテストを重ねた結果、本体のデザインにマッチしつつ解けにくい4mmの丸紐を採用。落ち着いた雰囲気を重視して、紐のカラーも本体と同色としている。
TPOを選ばないスタイリッシュなデザイン
カラー設定は清潔感のあるホワイトとシックなブラック、カジュアルさも併せ持つネイビーの3色。
ホワイトはソールと内装がグレー、ネイビーはソールがブラックのツートーンになっており、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
デザインはシンプルながらサイドにラインと凹凸を設けてスピード感を表現。カジュアルはもちろんのこと、フォーマルやビジネス、スポーツなどシーンを問わず履くことができる。
歩きやすさとペダルフィールを両立する「MIZUNO COB」
ソールはアスリートのトレーニング用シューズで使われているミズノ独自の「MIZUNO COB」を採用。ミッドソール上面とアウトソールの連動した凹凸が足裏に正確な情報を伝達する構造となっている。
履いて歩いてみると「MIZUNO COB」は凹凸の違和感を感じさせることなく、地面の感触をフィードバックしてくれる。ややラウンドした形状の土踏まずとソールの十分なクッション性で快適に歩くことができた。ドライビングシューズにありがちな硬さはソールにもアッパーにもなく、ウォーキングシューズと遜色ない履き心地と言えるだろう。
では、ドライビングではどうだろうか?
テスト車として用意されたマツダ・ロードスターに「BARECLUTCH」を履いて試乗してみた。アクセルとブレーキに加えて、ミートの際に繊細な操作が求められるクラッチありの3ペダル(6MT)車で「MIZUNO COB」を体感する。
クラッチ操作では踏み込んだ状態からクラッチペダルの反力を受け止めながらクラッチがつながるポイントを足裏に感じることができ、1速での発進、加速や減速時のアップ&ダウンのシフト操作をスムーズに行うことができた。
ロードスターのクラッチは軽めなのでよりクラッチの重いクルマで試してみると、クラッチペダルの反力が足裏のどの辺りに分布してくるのかも感じらるほどだ。
アクセルとブレーキの踏み込み量や踏んでからの戻す形での調整も実にスムーズで、ペダルの調整がより精細になり運転が上手くなったように思える。
確実なペダル操作を実現する「ラウンドソール」
ドライビングおいては踵を支点にして足裏前後あるいは上下させてペダルを操作することになるので、支点となる踵の安定感はとても重要であり、ドライビングシューズには必須の構造と言える。
「BARECLUTCH」ももちろん踵部のソールを大きく巻き上げることでフロア面への接地性を高めている。さらに、ソールのラバーは金属ペダルでも滑りにくい素材を採用しているという。
踵端部をフロアに着けて操作する際は安定感があり、ペダルを上下(前後)させても支点をずらさずに動かすことができて繊細なペダル操作が可能。また、アクセルとブレーキのように足先だけ動かして踏み替える際も踵を支点として安定させやすく、素早く確実に操作することができた。
また、ヒール&トゥなど足を大きく動かす際も靴型がスリムなので、ロードスターのタイトなコックピットに収まる3ペダルでも全く支障なくペダル操作を行うことができたのも大きい。これが足元に余裕のあるクルマであれば、なおさら操作しやすいのではないだろうか。
これはあくまで個人的な感想ではあるが、踵を少しだけ浮かせてペダル操作する際に踵がカーペットに引っかかってシューズの中で足が浮いてしまうのが気になった点ではある。これはクルマのカーペットとの相性によるところだとは思うが、ソールの摩擦の強さが安定感を生む一方で、微妙な部分で引っ掛かりを生んでしまったように思われる。
歩いて良し!ドライビングに良し!
1時間ほどの試乗で「BARECLUTCH」のドライビングシューズとしての扱いやすさを十二分に感じることができた。普段ドライビングに履いているシューズから違うシューズに履き替えると違和感に戸惑ったり、上手くペダル操作できなかったり、慣れるまで時間がかかったりするものだが、「BARECLUTCH」はほぼ違和感なく履き替えることができ、短時間の試乗であっという間に足に馴染んでいつも通りのペダル操作をすることができたのは正直驚きであった。
それでいて、軽く歩きやすいのだから普段使いにも最適な一足と言えるだろう。
「ドライビングシューズ」を意識するのは一部のクルマ好きだけと思われがちだが、「BARECLUTCH」はクルマ好き以外のドライバーにも履いて欲しいと開発者は語る。「BARECLUTCH」で運転すれば「靴でドライビングがこんなに変わるんだ!」と気が付くことができ、一つ上のドライビングを実現できるだろう。
今後のラインナップ展開にも期待!
ミズノのドライビングシューズ正式参入モデルである「BARECLUTCH」はフォーマルやビジネスでの使用も前提としたスタイルとなっているのは既に述べたとおりだが、改めてマツダとのコラボモデルであるハイカット仕様もラインナップに欲しいところ。
また、今回のモデルは通気性にはそれほど重きを置いていないため、試乗終了時に足がやや熱くなってきた。メッシュや通気口を設けた通気性の良いモデルもありかもしれない。
サイズは24.5cm〜28cmとなっており基本的にメンズ向けの設定だが、女性からの引き合いも強く、女性はハイヒールを履くこともあってドライビング時とそれ以外のシューズを履き分けることに抵抗がないという調査結果もあることから、レディースサイズの追加も期待される。
気になる価格はオープン価格となっているが、ミズノ公式オンラインショップでは12,100円(税込)で販売される。
商品名 | BARECLUTCH(ベアクラッチ) |
品番 | F1GC2201 |
発売日 | 2022年9月20日 |
価格 | オープン価格 12,100円(税込/ミズノ公式オンラインショップ) |
サイズ | 24.5cm~28.0cm(EE) |
カラー | 01ホワイト、09ブラック、14ネイビー |
素材 | 甲材:人工皮革、合成繊維 底材:ゴム底 |
質量 | 約240g(27.0cm片方) |
原産国 | ベトナム |