クラウンクロスオーバー、セダン派の心も動かすスタイルとマンション派も満足の絶妙な車高。新型、いいね!

新型クラウンクロスオーバー 特殊サイズの大径タイヤと4WSがもたらす走りは想像以上だった

トヨタ クラウン クロスオーバー G Advanced・Leather Package
トヨタの新型クラウンクロスオーバーが街を走り始めた。賛否両論が巻き起こるデザインと駆動方式の変更だが、じつはキーになるのは225/45R21という特殊なサイズの大径タイヤ。モータージャーナリストの瀨在仁志がこの大径タイヤをキーにして新型クラウンクロスオーバーの走りを分析する。
TEXT:瀨在仁志 PHOTO:Motor-Fan.jp

新しいボディスタイルは魅力的

トヨタ クラウン クロスオーバー G Advanced・Leather Package/車両価格:570万円(試乗車はオプション込みで586万6100円)

先の発表会で明らかにされているのは、このクロスオーバーのほか、セダン、スポーツ、エステートの計4モデルがラインアップされ、23年夏にはすべてが出揃う予定だという。キャラクターがそれぞれ異なることから、なかには従来どおりFRモデルも加わってくる可能性もあるが、クロスオーバーに関してはリヤにモーターを搭載する全車FFベースの4WDモデルとしてデビューした。

そのネーミングどおり、セダンとSUVの融合として、ゆとりのロードクリアランスと高めの車高が特徴的。乗り降りのし易さやアイポイントの高さによる開放感と日常の使い勝手の良さは馴染みやすくてありがたい。

それでいながらSUVほど威圧感もなくて、流れるようなフォルムもブランド品のような味わいがあって、セダンファンの自分にとっても心が動く。しかも、この大ぶりなボディサイズにもかかわらず、全高は1540mmに抑えられ、立体駐車場にも入ることから、マンション派の期待も裏切らない。

全長×全幅×全高:4930mm×1840mm×1540mm/ホイールベース:2690mm
トレッド:F1605mm/R1615mm/最低地上高:145mm
車両重量:1790kg/前軸軸重990kg/後軸軸重 720kg

225/45R21という特殊サイズで環境性能と運動性能を両立させた新世代のタイヤ

タイヤは225/45R21と、特殊なサイズであるミシュランのePRIMACYを履く。21インチはほかにダンロップ「SP SPORT MAXX 055(エスピー スポーツマックス ゼロゴーゴー)」も新車装着される。
タイヤのショルダー部分がスクエア形状になっているのが特徴だ。

目を惹くフォルムの足元を引き締めてくれているのが、225/45R21という大径タイヤ。ボディとの一体感のを出すために、大径の上にロープロファイル化を行なっているほか、タイヤのショルダー部分をスクエア形状にこだわるなど、従来の新車用タイヤでは例を見ない要求性能が求められた。

大径化すればホイールが大きくなりディスクロ-ターのサイズアップができるなど、スポーツモデルにはメリットは大きいが、コンフォートモデルにとってはホイールの重量増により減衰が追いつかないなど乗り心地面での悪化を招く。SUVのようにタイヤサイドの高さも大きくないから、空気量も限定され路面からのインパクトを伝えやすい。

開発陣もそれを重々承知のうえで、このチャレンジングなボディフォルムを引き締めるには、21インチタイヤを必要アイテムと捉え、タイヤメーカーと協議。当初はタイヤメーカーも大径、ロープロファイル化とコンフォート性の両立や各性能要求達成は未知数と読んでいたが、試作段階でタイヤ形状を決める型枠を複数開発するなどで強力にバックアップしてくれたという。

225/55R19サイズのタイヤを履くグレードもある。こちらはトーヨータイヤ「PROXES Sport(プロクセス スポーツ)」。ほかに225/55R19のグレードもある。また225/60R18サイズへのオプション設定(ー27500円・G AdvancedとG、Xで選択可)もある。

結果、225/45R21という特殊サイズの開発に成功した。大径化によるメリットは環境性能的にも効果はあり、接地形状が縦長になることでグリップを確保。タイヤ幅を抑えることで前面投影面積を低減し、空気抵抗の損失を抑えた。スクエアショルダーによって横方向の面積も増やせることで運動性能的に貢献しているという。

乗り心地面においても縦型接地形状による圧力分散によって、路面からのインパクトを最小限にとどめてコンフォート性を確保。斬新なボディフォルムの成立にこだわった結果、環境性能と運動性能を両立させた新世代のタイヤが生まれた。すでにリプレイス市場で投入されているミシュランのeプライマシー(ePRIMACY)最新モデルである。

もっとも21インチ化は電動化にとっても欠かせぬアイテムのひとつだと思う。今回はHEVモデルではあるが、モーター駆動時は瞬時に大トルクが立ち上がり、従来のホイールサイズでは連結部へのインパクトが大きい。大口径化によってギヤ比が高くなる効果や、接地面が縦長になることで、トルク伝達が穏やかになり、ホイール結合部分や、車両本体への負担が低減する。高トルク、高レスポンスに対する衝撃緩和策として大口径化は必然だと言える。

クラウンにとっては冒険でも、トヨタにとっては次世代に向けて良いスタート

ボンネットフードを開けるとエンジンはこう見える。
エンジンカバーの表側。いわゆる化粧プレートはなく一体式。
裏側はこう。
エンジン形式:直列4気筒DOHC/エンジン型式:A25A-FXS/排気量:2487cc/ボア×ストローク:87.5mm×103.4mm/圧縮比:- 最高出力:186ps(137kW)/6000rpm/最大トルク:221Nm/3600-5200rpm/過給機:× 燃料供給:DI+PFI(D-4S)/使用燃料:レギュラー/燃料タンク容量:55ℓ
ボンネットフードにダンパーが付かないのは、少し残念。

今回用意されたパワーユニットはシステム最高出力234psの4気筒2.5Lハイブリッドシステムと、54psのリヤモーターが組み合わせている。新開発された2.4Lデュアルブーストハイブリッドシステムは今回用意されていなかった。

乗り味はアイポイントの高さを除けば、従来のクラウン同様に静粛性が高く快適だ。21インチタイヤは街乗りレベルだと硬めの入力があるものの収まりが早くボディの揺れも最小限にとどめている。入力が元となるノイズも抑えられ、快適性を損なうこともない。

速度レンジを上げていくと姿勢の動きはさらに収まりが良くなり、路面からの入力に対する乱れも少ない。骨格のしっかりとしたキャビンは常にフラット感を保ち、ロールも最小限にとどめている。背の高さを気にすることはまったくなく、安定している。むしろ、背の低かった先代クラウンより、無駄な動きが少なく快適だ。

リヤからボディ下を覗き込む。
これがDRSのユニットだ。
リヤに載せられるモーターとDRS。DRSは後輪ステアシステムのことだ。
高速道路でのレーンチェンジ(同相)でも効果は体感できる。
DRSのおかげで最小回転半径もボディサイズに比して小さい。

目を見張るのはコーナリング性能。とくに長いコーナーを一定舵角でトレースできるのが良い。2850mmというロングホイールベースながら操舵に対する反応が自然で小さな舵角で穏やかに進行する。リヤの追従も良くラインはピタリと決まる。リヤモーターの駆動アシストに加えて、リヤ操舵が旋回初期から安定方向へとシームレスにつなげてくれているようだ。

旋回姿勢がピタリと決まることでロール方向の動きは少なく、フラット感をキープ。これならドライバーだけでなく同乗者もきっと安定感を実感できるし、快適だ。

新開発のマルチリンク式サスペンションを採用したリヤ。高い安定性とフラット感はその効果だろう。
フロントサスペンションはマクファーソンストラット式

HEVシステムは他のモデルのようにエンジン回転の上昇やノイズが気になることがなく、モーターとエンジンのオーバーラップも自然でつながりがいい。急な音や振動の変化が少ないことで、耳障りなノイズが最小限にとどめられている。

背の高さや斬新なフォルムに期待と不安をもって試乗を迎えたが、乗って見ればすべてが杞憂に終わった。個性的なフォルムはクラウンとしては馴染めなくてもトヨタの最新サルーンとして見れば受け入れやすいし、満足感もある。走りに関しても背の高さを感じさせないフラット感がある旋回性能や素直なハンドリングはクルマの機能として良くできているし、サルーンとしての快適性も満たしている。クラウンにとっては冒険でも、トヨタにとっては次世代に向けて技術も商品性も良いスタートを切った。ほかのモデルの登場が楽しみだ。

車内の静粛性は高い。
室内長×幅×高:1980mm×1540mm×1170mm
ギヤをレバースにセレクトするとバックランプはこう光る。
ボディカラーはプレシャルブロンズ(フロマージュ)
トヨタ クラウン クロスオーバー G Advanced・Leather Package
全長×全幅×全高:4930mm×1840mm×1540mm
ホイールベース:2850mm
車重:1790kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rダブルウィッシュボーン式
エンジン形式:直列4気筒DOHC
エンジン型式:A25A-FXS
排気量:2487cc
ボア×ストローク:87.5mm×103.4mm
圧縮比:-
最高出力:186ps(137kW)/6000rpm
最大トルク:221Nm/3600-5200rpm
過給機:×
燃料供給:DI+PFI(D-4S)
使用燃料:レギュラー
燃料タンク容量:55ℓ
モーター:
フロント 3NM型交流同期モーター
 最高出力119.6ps(88kW)
 最大トルク202Nm
リヤモーター 4NM型交流同期モーター
 最高出力54.4ps(40kW)
 最大トルク121Nm
駆動方式:4WD(E-FOUR)
WLTCモード燃費:22.4km/ℓ
 市街地モード21.3km/ℓ
 郊外モード23.8km/ℓ
 高速道路モード22.1km/ℓ
車両価格:570万円
試乗車はオプション込みで586万6100円

著者プロフィール

瀨在 仁志 近影

瀨在 仁志

子どものころからモータースポーツをこよなく愛し、学生時代にはカート、その後国内外のラリーやレースに…