マツダの最量販SUV「CX-5」に27インチ級ロードバイクを積んでみた!【スポーツ自転車積載チャレンジ:第4回 マツダ CX-5編】

自転車好きジャーナリストの安藤眞が、さまざまなクルマにあの手この手で「愛車」を載せて積載性をチェックする「スポーツ自転車積載チャレンジ!」 第4回目は、マツダ大躍進の立役者である人気SUVの「CX-5」。ロングセラーだけに保有ユーザーも多いこちらのクルマ。全国の自転車愛好家の皆さん、ぜひ参考にしてください。
REPORT:安藤 眞(ANDO Makoto) PHOTO:中野幸次(NAKANO Koji)

連載前口上――全国の自転車好き(と僕自身の)ために――

40年以上、自転車を趣味とする僕にとって、クルマ選びの重要な基準は「自転車が積めるかどうか」実際、最初に買った中古車以外は、すべてそれを基準に選んでいる(最初のクルマはルーフキャリヤに自転車を載せていた)。

ぶっちゃけ前後輪を外してしまえばセダンのリヤシートにも積載できるのだが、居住空間は汚したくないし、なるべく手間をかけずに積載したい。しかし、身長が181cmある僕のロードバイクは、サドル高が1mある。荷室高が1mを越えるクルマとなると、ミニバン以外に選択肢はなくなってしまう。

そこで、「このクルマなら積めそう」というモデルをピックアップして、どうすれば積めるかを試そうというのがこちらの企画。全国の自転車好きドライバーのクルマ選びの参考になれば幸いです!

MAZDA CX-5 20S Field Journey 

全長4575mm 全幅1845mm 全高1690mm 車両価格3,234,000円

マツダの新世代商品群の第一弾として送り出された先代CX-5は大成功を収め、一世代で大ヒットモデルの仲間入りを果たした。キープコンセプトで登場した二代目が、現行CX-5である。アクティブなライフスタイルを送るユーザーも多いCX-5だけに、自転車などアウトドアアイテムの積載性も気になるところ。さっそくチェックしてみよう。

ネックとなる荷室の天地高はCX-8よりCX-5の方が有利

ミニバンから撤退したマツダ車の中で、自転車が積みやすそうなクルマの最右翼はCX-5(CX-60は改めて試してみる予定)。サイズ的にはCX-8のほうが大きいけれど、サードシートが付いているため、荷室の天地高はCX-5のほうが高い(間口高で約65mm差)。自転車を車内に積もうとする際、いつでも問題になるのは天地高なのだ。

事前調査の段階では、CX-8でもサドルを“下げる”のではなく“外して”しまえばなんとかなりそうだったし、僕のバイクよりフレームサイズが小さいとか、スローピングタイプのフレームなら、CX-8でも積めそうに思えた。しかし、前提条件は「僕のバイクでサドルを下げるところまで」としていたので、ここはCX-5に登場を願った。

前後輪を外し、エンドをホルダーで固定して積んでみる。ラゲッジの間口高さ798mmに対し、僕のバイクのサドル高は前後輪を外しても880mmあるので、当然、サドルが車内に収まらない。

寸法的には前後輪を外すのは必須なので、前後輪を外してフォークエンドをホルダーに固定して積載を試みる。想定の範囲内とはいえ、やはりサドルが収まらない。そこで、サドルを目一杯、下げてみる。

サドルをめいっぱい下げてみたら、ちょうどピッタリ入った! 天井とサドルは密着しているので、タイダウンしなくてもグラつかない。しかし前後方向の抑えはないので、走る際には固定は必須。

でも本音を言えば、サドルはあまり触りたくない。靴底の硬い自転車用シューズで乗る場合、サドル高は1mm単位ぐらいでセッティングを出すので、一度、決まったら動かしたくないのだ。しかしそれを言い出すと、ミニバン以外に選択肢はなくなってしまうので、ここは譲るしかない。

ということで、サドルを下げたら、なんとかギリギリ間口を通過した。実際には少しサドルに圧力がかかる感じなのだが、むしろこれがバイクを固定する力として働くので、あとは前後方向に動かないよう、どこかを抑えるだけでOK。もっとフレームサイズが小さくても、サドルの高さを調整すれば、この手は使える。タイダウンも、後席アシストグリップと、ISOFIXのトップテザーアンカーがうまく使えるのではないか。

サドルはこれ以上、下がらないけれど、天井の内張に軽く圧迫されるくらいでギリギリ入った。むしろ荷重がかかっているので、車体が安定している。

続いて、前後を入れ替えて積んでみる。2台積む際には、同じ向きにするとハンドル幅がかさばるので、前後を交互に積むのが鉄則だからだが、これも問題なく積めた。

前後を逆にしてみる。こちらもほぼピッタリ積載できた。前後を交互にして積めば、2台+3名乗車か、3台+2名乗車もできそう。問題は前後ホルダーの干渉と、車体をどう固定するかだ。
めいっぱい壁際に寄せ、サドルを天井に当ててアシストグリップからストラップで引けば、横方向は安定しそう。

さらに第3のパターンとして、倒立させて積んでみる。これならフォークを支えるホルダーは不要だが、チェーンが上に来るので、汚れのケアは必要になる。左右ブレーキレバーとサドルの3点で自立するが、ハンドルは回転するので、確実な固定方法も考える必要がある。空間効率は良いが、安定感としては正立のほうが良い。

倒立させて積んでみる。これなら特別な器具もいらないし、前後を交互にして2台積むのもやりやすそう。問題は、どう固定するかだ。ラゲッジにすのこ的なものを敷く? 写真ではホイールハウス後ろの窪みにハンドルが入りそうに見えるが、そうするとフォークがはみ出るし、前ギヤが天井に当たる。
空間的に、いちばん余裕があるのがこの積み方。左右のブレーキレバーとサドルの3点で自立するため、ホルダーの類いも必要ない。車内にチェーンの油が着かないように、オーストリッチの輪行用チェーンカバーを使用(https://ostrich-az.com/wp-content/themes/MinervaTMP/pdf/ostrich2022.pdf

結論。積載形態としては「前後輪とも外してサドルも下げる」と手数は多いものの、積み方のバリエーションは選べるし、2名+2台で問題ないのだから、CX-5のロードバイク積載適性は良好な部類ではないか。

1台積むだけなら、4名分の座席は生かせる。CX-5の後席は4:2:4分割可倒式なので、真ん中を倒せば2台+3名もOK。チャイルドシート付けっぱなしでも大丈夫そうだ。

積載自転車の寸法図

■第1形態 完成車状態 長さ1680mm 高さ1000mm 幅445mm

車載時に最大のネックとなるのが、サドルの高さ。全長はフレームサイズが変わってもそれほど大きく変化しないのがロードバイクの特徴。身長150cmぐらいのライダーのサイズでも、短くなるのは40mm程度だ。

■第2形態 前輪を外してホルダーに固定 長さ1510mm 高さ965mm 幅445mm

前輪を外せば全長は170mm短くなるが、サドルの高さは35mmしか低くならない。サドルを外せば高さは760mmまで下がるのだが、ロードはミリ単位でセッティングを出すし、真直度を合わせるのも面倒なので、サドルはなるべく触りたくない。

■第3形態 前後輪を外し、後輪はリヤエンドサポートで保持 長さ1230mm 高さ880mm 幅445mm

前後輪を外せば全長は450mm短くなるが、高さを下げるのは前ギヤ(46t)が限界を決めるので、120mmしか低くならない。サドルを外すとハンドルステムがいちばん高くなり、710mmとなるため、車載可能なモデルは増えそう。

■第4形態 前後輪外して倒立 長さ1115mm 高さ870mm 幅445mm

このサイズなら、セダンのリヤシートにも積めてしまう。大きめのセダンなら、トランクにも入れることができるだろう。実際、僕の仲間は、ランエボやアテンザ、フィアット500にこうして積んでやってくる。自転車乗りは、運転が楽しいクルマ好きが多いのだ。

著者と自転車のプロフィール

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メカニズムを得意とするジャーナリストの安藤 眞氏は、40年以上も自転車を趣味とし、カングーに愛車を積んでサイクリングを楽しんでいる。身長181cm。フレームを購入して自分で組み上げた写真のロードバイクはサドル高が1mあるから、この自転車が載るクルマなら、アナタの自転車も積載できる可能性が高いはず。


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ブリヂストンサイクルのNEO-COTというフレームを購入して、自分で組み上げた。92年発売のスチール製(CrMo鋼)だが、当時としては画期的なもので、ハイドロフォーミング製法で接合部の形状が最適化されている。それを見た僕は「スチールフレームの最高到達点」と直感して即購入。部品を交換しながら30年間、乗り続けている。その後、アルミフレームやカーボンフレームに押され、2021年を最後に絶版となってしまった。ホイール径は700C。


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著者プロフィール

安藤 眞 近影

安藤 眞

大学卒業後、国産自動車メーカーのシャシー設計部門に勤務。英国スポーツカーメーカーとの共同プロジェク…