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GEOLANDARを製作する横浜ゴムに直撃!
そもそもの疑問はタイヤ&ホイールをカスタムしてサイズ変更したら、インチアップだったら空気圧を高めに設定というのが一般的に言われるけれど、具体的数値はというとかなりアバウトに入れていたような。このデリカの場合だと純正が18インチだったから16インチへ変更ということは、そもそもインチダウン。ましてや同じD:5でもグレードによっては16インチもある。そしてもうひとつ、現在履いているのは、GEOLANDARのX-ATというLT(ライトトラック)規格のタイヤ。乗用車用のタイヤともまた違ってくるので空気圧についてどう考えたら良いのか!? これはもう、作っている人たちに直接聞くのがいいでしょうと、行ってきたのはGEOLANDARを製造する神奈川県・平塚にある横浜ゴム。
お話を伺った杉山さんと高須さん。開口一番「タイヤはバネなんですね。サスペンションと一体となってボディを支えているんです」。バネの性能はどれだけの負荷、つまりクルマの重さやスピードに耐えられるかで「スプリングだったら長さと太さですが、タイヤは空気の容量と空気圧で性能が決まります」。同じ空気の容量だったら圧力が高い方が負荷能力が上がるというわけだ。負荷能力はロードインデックスという指標で表される。ロードインデックスの限界値が高いほど、同じ空気圧でも支えることができる重量の限界値は高くなる。「規格は日本ならJATMA、ヨーロッパならETRTO、アメリカならTRAが定めています。純正で履いているクルマのタイヤのサイズ・ロードインデックス・空気圧が分かれば、そこからタイヤ1本あたりが支えることができる重量の限界値(負荷能力)が、各規格の対応表から導き出せます。履き替えるタイヤの空気圧は、履き替えるタイヤの規格の対応表から、負荷能力の限界値をクリアできる数値を選び出して得られます」。
サイズ表記の頭にLTがつくのはアメリカTRAの小型トラックへ向けた規格。LT規格に準拠した方が、タイヤの溝の深さを乗用車用より深く設定できるなど、オフロード系のターゲットにはより適している規格だ。
ところで適正空気圧は一定の条件下(車両総重量)での数値なので、ある意味最大公約数。1人で運転している時もフル乗車の時も、また荷物満載の時もそうでない時もというように、条件は様々。「こうした条件を考慮した上で、細かく数値を設定している車もあります」。さらにダートを走る時や外気圧が低くなる標高の高いところでは、空気圧を落として走ることがあるが、気をつけるべきは「通常に戻った時に空気を充填して、もとに戻すのを忘れないことですね」。
タイヤは車に乗る上で命に直結しているパーツ。空気圧は普段から気をつけたいところだ。
空気圧を表す表記
タイヤに空気を入れて閉じ込めると、空気は気体なので膨張しようとしてタイヤを内側から押すが、この押す力が空気圧。1気圧は1平方センチメートル当りおよそ1キログラムの重さに相当する。現在はkPa(キロパスカル)表記が一般的だが、様々な表記が混在する。ややこしいけれど、ざっくりの関係性は下記のとおり。
1 気圧(atm)≒100kPa (=101325 Pa)
1 気圧(atm)≒1 kgf/cm² 1 気圧(atm)≒1 BAR
100 kPa =1bar 1 気圧(atm)≒15psi
kPa:キロパスカル=国際単位(SI単位)に基づく表示。
kgf/cm²:キログラムフォース=SI単位以前に使われていた単位
bar:バール=天気予報等で以前使用されていたのがmbar(ミリバール)で
現在はhPa(ヘクトパスカル)表記。1mbar=1hPa→1bar=100kPa
atm:standard atmosphere=大気圧を基準とした圧力表示
psi:ポンドスクエアインチ=ポンド&インチでの圧力表記 主にアメリカで使用