日本でミニバンというジャンルが登場して30年以上経つ。その間、さまざまなモデルが現れ、同じことはワゴンやSUVにも当てはまり、なかにはユニークで、一発屋的なモデルたちも多くいた。懐かしみながら、振り返ってみよう!
各ジャンルのユニークなクルマたち
日本では国内メーカーだけで、少なくとも年間10数車種、多いと年間20車種ぐらいの新型車が登場する。10年間では軽く100台以上の新型車が登場することになる。そのすべてが、開発者や設計者が創意工夫を凝らし、血のにじむような過程を経て世に送り出されたものだ。
一方、日本には定期的に「◯◯ブーム」というものが訪れる。現在は「SUVブーム」の最中にあるといっていいだろう。過去にもあった。SUVという言葉がまったく認知されていなかった1980年代後半から、パジェロやランドクルーザーといったクロスカントリー4WDが人気を集めた「四駆ブーム」があった。1989年に初代レガシィツーリングワゴンの登場によって「ワゴンブーム」が巻き起こり、1994年登場の初代オデッセイの大ヒットがきっかけになって「ミニバンブーム」が訪れた。そういったブームの真っ直中には続々とジャンル内で新型車がリリースされる。
ミニバン、ワゴン、SUVもそんなブームに乗って数々の新型車が世に送り込まれた。ただし、ブームの悲しい性で、そのなかには自動車史に名を残すような名車だけでなく、今の感覚では考えの及ばないようなユニークで破天荒とまでいえるクルマもある。なかには一発屋的な車種もあったりする。
ただし、そういった多種多様なクルマが現れては消えを繰り返し、現代日本の自動車市場は成長してきたのは事実。これは自動車史そのものともいえる。
ルーフトップテントを装備したミニバンが懐かしい!
ヨンクブームやRVブームなどと呼ばれた1990年代前半、それにともないオートキャンプが大流行し、車中泊する人も相当数いた。マツダ伝統のワンボックス、ボンゴは衝突安全性に対応するために1995年にボンゴフレンディとなった。このクルマには隠し玉があった。量産車では世界初となる電動ポップアップルーフ「オートフリートップ」の設定だ。ヒットしたことから、ライバルが登場したのも特筆すべきだ。
ホンダ オデッセイ フィールドデッキ
[1996年]
空前のヒットとなった初代オデッセイに追加されたオートキャンプ仕様。こちらは手動式だがFRP製のポップアップルーフを装備。テント開口部には蚊帳にもなるネットを装備する。
マツダ ボンゴフレンディ オートフリートップ
[1995年]
量産車世界初の電動ポップアップ式ルーフテントを採用。寝室にも使えるトップ部には採光できるガラスが付き、テント部分は二重構造で換気用の小窓を用意するなど芸が細かい。
トヨタ カローラスパシオ [1997年]
4人乗りに加え、シート配列が2-2-2となる6人乗りを設定(後に5人乗りも追加)。セカンドシートは大人が座るには窮屈だったが、簡単な操作でジュニアシートに早変わりする。子育て世代特化型だった。
ホンダ オデッセイ [2003年]
3代目となったRB型オデッセイは新たに低床化路線を打ち出し、3列シートミニバンながら全高1550mmに抑えた(FF)。室内の広々感には欠けるが、走りはかなりスポーティな味付けだった。
トヨタ マークXジオ [2007年]
マークXを名乗るが、セダンのマークXとは何の関係もないFFモデル。6人/7人乗りを用意し(のちに5人乗りも設定)、6人乗りは2列目がキャプテンシートでゆったり座れるが、3列目シートは緊急用レベルだった。
三菱 デリカスペースギア [1994年]
1991年に登場した2代目パジェロをベースに、ワンボックスのデリカ後継モデルとして登場したのがスペースギア。特に4WDモデルはパジェロゆずりの、極めて高い悪路走破性を誇った。
トヨタ アイシス [2004年]
最大の特徴は助手席側のリアドアにセンターピラー内臓の「パノラマオープンドア」を採用したこと。助手席側前後のドアを開けると、センターピラーのない広々とした約1.9mの開口部が出現。
スバル エクシーガ [2008年]
ミニバンについてはオペルから調達したトラビックで糊口をしのいでいたスバルが登場させた、4代目レガシィベースの3列シート車。2015年にはクロスオーバー7とサブネームが与えられSUV化した。
日産 ラルゴ ハイウェイスター [1996年]
ワンボックスのバネットラルゴが進化して1993年に登場。1995年に特別仕様車として初のハイウェイスターが登場し翌年カタログモデル化した。カスタム系ミニバンのパイオニアと言える。
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STYLEWAGON(スタイルワゴン)2024年2月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]
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