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フルモデルチェンジの度に室内空間を拡大!
初代ステップワゴンは大ヒットし、その後のミニバンを一変させてしまう。1991年にキャブオーバー型で登場した日産のバネット・セレナは1999年にFFベースのセレナにスイッチ。トヨタも1996年に登場したライトエース・ノア/タウンエース・ノアはキャブオーバー型だったが、2001年にFFベースのノア/ヴォクシーへと進化した。エスティマも2000年にFFベースとなり、さらにそれをベースにアルファードが登場するといった具合だ。
ステップワゴンの大成功は「ミニバンはFFベース」という不文律を定着させた。もし初代ステップワゴンが存在しなかったら、ミニバンは現在もキャブオーバー型ワンボックスカーの延長線上にあったかもしれない。
2代目ステップワゴンは、大ヒットした初代モデルの完璧なキープコンセプトと呼べるモデル。当然の路線だったといえる。だが3代目で賭けに出る。
ホンダからは1990年、ミッドシップスポーツのNSX、1991年には5代目の通称スポーツシビックが登場。さらに1995年のインテグラ・タイプR、1999年のS2000……、と個性的なスポーツモデルを揃えた。ホンダといえばスポーツというイメージが色濃い。VTECエンジンもそうだ。一貫してクルマを操る歓びを追求してきたメーカーといえる。
ところがミニバンにはそれが薄い。ホンダにとってそのことが我慢ならなかったのだろう。新機軸の採用を決意する。
それが低床・低重心路線だ。レース車両を引き合いに出すまでもなく、クルマは低重心のほうが操安性に優れるのは自明。2003年に登場した3代目オデッセイは、3列シートを装備しながら全高をわずか1550mmに抑えた(FF車)。室内空間的にはそこそこだが、セダンにも負けない操縦安定性を達成したミニバンだった。
この思想をステップワゴンにも適用する。2005年に登場した3代目は同年登場の3代目セレナより全高は70mm低いが、室内高はほぼ同等で、低床技術の賜物だった。低重心ゆえ操縦安定性に優れていた。
だがこの頃から、オデッセイのような背が低めのミニバンは人気を徐々に下げ、スペース重視の傾向が顕著になっていた。そこで2009年の4代目ステップワゴンでは、低床技術を踏襲しつつ、全高を拡大して室内空間を拡大したことで室内高はクラストップの値となった。
2015年に登場した5代目は、燃費とパワーの両立を目指し1.5Lターボを新搭載し、横開きもできるユニーク極まりないわくわくゲートを採用した。また、安全性重視で自動ブレーキなどの安全運転支援システムのホンダセンシングにも対応させた。マイナーチェンジでハイブリッドモデルも追加することで環境面を強化した。
6代目ではさらに室内空間を拡大し、さまざまな使い方に対応。ノア/ヴォクシー、セレナとともに、今後も国内ミニバンの主役として君臨するだろう。
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STYLEWAGON(スタイルワゴン)2024年8月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]