いま、欧州産のスライドドア付きMPVが花盛り!
最近、ヨーロッパ製のハコ型ミニバンが熱い。というのも、ここ日本では長らくルノーの「カングー」が欧州製ハコ型ミニバンの唯一無二の存在として地位を築いてきたのだが、その状況を打破する存在が2020年に登場した。ルノーと同じフランスのメーカーであるプジョーとシトロエンが発売した「リフター」と「ベルランゴ」である。
時折しもコロナ禍ということで、キャンプを中心としたアウトドアブームが加熱し、フランス語で「ルドスパス」と表現される個性的なワンボックスMPVたちも脚光を浴びることとなった。
それまで先行者利益を欲しいままにしていたカングーも、リフター&ベルランゴの勢いに負けじと先日フルモデルチェンジを発表。新型へとリフレッシュを図っている。
そんなこんなで、これまで無風とも言えた欧州製ハコ型ミニバンのマーケットは、途端にホットなヒートマップを描いている。そこに第三の刺客として登場したのが、イタリアはフィアットの「ドブロ」だ。
ドブロは初代モデルが2001年に登場し、乗用と商用を兼ねたMPVとして地元欧州で人気を獲得。今回初めて日本に上陸する運びとなった現行モデルは5世代目となり、実はリフターとベルランゴの兄弟車でもある。
フィアット(厳密にはアメリカのクライスラーと合併したフィアット・クライスラー・オートモービルズ)は、現在プジョーとシトロエンとも経営統合し、「ステランティス」というグループ企業に変身した。
ドブロはリフターおよびベルランゴとプラットフォームを共有する、いわゆるバッジエンジニアリングによって誕生したモデル。アルファード/ヴェルファイアやヴォクシー/ノアと同じように、外観や装備類で差別化が図られているわけだ。
さて、そんなフィアット・ドブロのモデルラインアップは、5人乗りの「DOBLO(ドブロ)」と7人乗りの「DOBLO MAXI(ドブロ・マキシ)」の2モデル。ドブロ・マキシの方が全長で365mm、ホイールベースで190mm長く、2座独立タイプの3列目シートを備える。2列目シートは両車ともに3座独立タイプとなっている。
パワートレインは、いずれも1.5Lの直4ディーゼルターボと8速ATの組み合わせ。実際に試乗してみると下からモリモリとトルクが立ち上がる、いかにも実用ディーゼルターボらしい乗り味。多段化されたATとのマッチングで高速巡行性能も高められており、燃費もWLTCモードで2グレードともに18.1km/Lと意外に悪くない。
兄弟車であるプジョー・リフターおよびシトロエン・ベルランゴと比べてみると、まず2段ヘッドライトを備えるベルランゴは見るからに顔立ちが異なり、はっきりとした個性を発揮。リフターは比較的ドブロと近いルックスだが、乗用車らしいグリルデザインが採用されている。
ドブロはというと、フィアットのロゴが目立つグリルレスデザインで、未塗装の樹脂バンパーを装着。どちらかというと商用車チックな顔まわりと言えそうだが、実は装備類もリフターやベルランゴに比べて厳選されている。
その分、車両本体価格が抑えられ、リフターより5人乗りで37万8000円、7人乗りで26万円、ベルランゴ(の最安グレード)より5人乗りで21万円、7人乗りで14万3000円安い。
つまりステランティス3兄弟として見た時に、最もリーズナブルな価格設定なのがドブロということになる。カスタマイズのベースとして考えると、大いに魅力的なポイントと言えるだろう。
装備が厳選されていると言っても、アクティブセーフティブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどの運転支援システムは全車に標準装備。16インチアルミホイール、ルーフレール、左右独立調整式オートエアコン、スマホと接続できる8インチタッチスクリーンなどは、ちゃんと装備されている。
シートアレンジの考え方も国産ミニバンとはひと味違い、良くも悪くも独特の個性が光るドブロ。ちょいと変化球気味ではあるが、人と違ったクルマに乗りたい人はぜひチェックして欲しい。
mm。幅は約1200mm、高さは約1120mmだ。3列目シートの背もたれを倒した場合、2列目シートまでの奥行きは約1300mm。さらに2列目シートも格納した場合の奥行きは約1860mmとなる。ちなみに助手席の背もたれを前倒しすることも可能。
STYLE WAGON(スタイルワゴン)2023年7月号よろ
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]