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「X-in-1」の「X」は、シリーズハイブリッド技術であるe-POWERの場合は、「モーター/ジェネレーター/インバーター/増速機/減速機」の5つのユニットを指す。BEV(電気自動車)の場合は、「モーター/インバーター/減速機」の3つのユニットだ。これをひとつのモジュールにするのがX-in-1である。
X-in-1を見る前に、まずは第一世代e-POWERを見ていこう。
第一世代e-POWER
初代e-POWERを搭載したのは2016年のノート(前型)が最初。こちらは、インバーターは車体付けになっている。モーター/ジェネレーターがあって、リデューサー(減速機)とインクリーサー(増速機)が入っていてギヤボックスがある。それぞれが別々のボックスに収納されている。したがって2本のオレンジ色の強電ケーブルでつながっている。当然その分重量もあるし、スペースもとる。
第二世代e-POWER
次に第二世代のe-POWER。
これは現行ノートe-POWERのものだ。インバーターが40%小型されている。そして、モーターと一体化された。サイズは20%小さくなった。インバーターは車体付けだったのが、1個のユニットになっている。強電ケーブルも1本だけになった。
次世代e-POWER用「5-in-1」
そして5-in-X(次世代e-POWER用)
次世代e-POWER用の「5-in-1」は、「モーター/ジェネレーター/インバーター/増速機/減速機」がひとつのボックスに収まっている。したがって、強電ケーブルはなくなった。
単に、別々の箱に収められていた部品をひとつの箱に収めればいいというわけではない。単純に詰め込めばいいわけではない。統合するときにそれぞれの機能間でいろいろな技術的なトレードオフや干渉が起きる。たとえば、音/振動や電磁気的な干渉も生じる可能性がある。日産技術陣は、これまで積み上げてみたノウハウをフィードバックしながらX-in-1を成立させた。
公開されたモジュールは、「あるモーター出力を前提としてCセグメントくらいのクルマに載せる想定」のもので、実用化の際には「もう少し小さくなるかもしれない」とのことだった。
3-in-1(次世代BEV用)
こちらは次世代BEV用のモジュール。「モーター/インバーター/減速機」をひとつの箱に収めた。これは、現在主流の「永久磁石式モーター」を収めた場合の3-in-1モジュールで、アリアが使う「巻線界磁式モーター」を収める場合は、もう少しサイズが大きくなる(横方向に伸びる)という。ただし、主流はあくまでも永久磁石式モーターで、巻線界磁式モーターはプレミアムクラスなど、限られた車種にのみ載せられる見通しのようだ。