RX140は、RXv2コア搭載により最大動作周波数48MHzを実現し、同一周波数帯の製品では最高レベルとなる204CoreMarkと、従来のRX130と比較して約2倍の処理性能を達成した。また、RX140はCPU動作時で56µA/MHz、スタンバイモードで0.25µAと従来比で30%以上の低消費電力化が図られた。さらに、CPUを停止したまま特定の周辺機能の動作が可能となる低消費電力モード(スヌーズモード)を搭載したことにより、間欠動作が必要となるアプリケーションの低消費電力化が可能である。これらによりRX140は、家電、産業、ビルディングオートメーション(BA)など幅広い製品の高性能化、高機能化、低消費電力化を実現する。
また、UX(ユーザエクスペリエンス)/UI(ユーザインタフェース)向上のニーズに応えるため、RX140は、最新の静電容量式タッチセンシングユニットを搭載した。放射ノイズ耐性評価でIEC/EN61000-4-3レベル4(放射イミュニティ)およびIEC/EN61000-4-6レベル3(伝導イミュニティ)の要件を満たしており、ノイズの影響を低減した。これにより、静電容量の変化量を直接計測する水位検知などの高精度なセンシングが可能。また、マルチスキャン機能と自動センシングとを搭載したことにより、複数電極の同時計測が可能となり感度が向上し、さらにスタンバイモードでもタッチの自動検出が可能となったため、タッチレス操作や近接センサの開発が容易である。これにより、RX140はRXタッチキーマイコンのラインアップの一環として、電子レンジや冷蔵庫、IHコンロなどの家電はもちろん、製造装置やビルディング内の操作パネル、水や粉末の残量検知など、多様な環境での多彩な用途で信頼性の高いタッチキーシステムを実現する。
ルネサスのIoTプラットフォーム事業部の事業部長・伊藤栄氏は、次のように述べている。「RX100シリーズは超低消費電力なマイコンとして、スケーラビリティに優れるRXファミリのエントリモデルとして人気を博しています。このたび、性能の向上や低消費電力化を図り、最新のタッチキーIPを搭載したRX140を発売したことにより、お客様の製品の機能やデザイン、ユーザビリティの向上に大きな進化をもたらすことと確信しています」
RX140は、周辺機能の強化も図られた。例えば、より多くのセンサや外付け部品を制御するために、I/Oポートを増やし、リアルタイムな操作の通信を可能するCANにも対応した。さらに、AES暗号アクセラレータと真性正乱数発生器(TRNG)を搭載し、データの盗聴や改ざんなどセキュリティ上の脅威を低減する。
評価用ボードとして、初期評価用には、すべての信号ピンにアクセス可能な「Target Board for RX140」を用意した。Pmodコネクタを搭載しているため、センサモジュールも簡単に取り付けることができる。また、タッチキーを容易に評価可能な「RX130搭載静電容量タッチ評価システム」と同様に、「RX140搭載静電容量タッチ評価システム」も提供予定(提供時期は2022年4月の予定)。ソフトウェア開発環境としては、従来と同様に、統合開発環境のe2studio、コード生成支援ツールのSmart Configurator、静電容量タッチキー開発支援ツールQE for Capacitive Touchを提供する。これらの開発環境により、開発期間の短縮、トータルコストの低減、ソフトウェアの品質向上に貢献する。
ルネサスは、ユーザの設計を加速させ、より早く市場に投入できるよう、ルネサス製品のポートフォリオを組み合わせたソリューション「ウィニングコンビネーション」を開発、提案している。例えば「浴室操作パネル」向けには、RX140とLDOなどを組み合わせ、使い勝手の良いスタイリッシュで高度なユーザインタフェース機能を提供する。
RXファミリは、ピン配置において各製品間の互換性を保つように設計されており、RX140もこれに準拠している。従来のRX130と端子配置やタッチ用端子の互換性を保持しているため、設計資産を活かしてアップグレードすることが可能。
RX140は、本日より、メモリ容量が64KB(キロバイト)、32~64ピンパッケージ品を発売、量産を開始した。2022年2月以降、順次128KBメモリ以上の製品を発売し、さらにラインアップを拡充予定。RX140の参考価格は、64ピンLFQFPパッケージで64KBメモリ搭載品「R5F51403ADFM#30」の場合、10,000個一括購入時、1.02米ドル(税抜き)。