ご存じ、e:HEVとはシリーズハイブリッドシステムを基本として、エンジン出力を都度、駆動輪にもダイレクトに繋げることも可能な構造で、非常に独創的かつ合理的。偶然か、三菱自動車のPHEVシステムが同様の機械構造をとるものの、あちらは電池リッチな印象がある。また、日産のe-POWERは定石どおりのシリーズ式で「地産地消」のイメージ。奇しくも3ブランドでそれぞれ異なるキャラクターとしているのは非常に興味深い。
車種 (モーター型式) | モーター 最高出力 | モーター 最大トルク | 一次減速比 | 最終減速比 | 駆動力 | 車重 |
ヴェゼル(H5) | 96kW | 253Nm | 2.454 | 3.909 | 7317N | 1350-1400kg |
フィット(H5) | 80kW | 253Nm | 2.454 | 3.423 | 7060N | 1180-1200kg |
ステップワゴン(H4) | 136kW | 315Nm | 2.454 | 3.888 | 9218N | 1790-1820kg |
オデッセイ(H4) | 135kW | 315Nm | 2.454 | 3.888 | 8710N | 1890-1930kg |
CR-V(H4) | 135kW | 315Nm | 2.454 | 3.888 | 8122N | 1610-1650kg |
アコード(H4) | 135kW | 315Nm | 2.454 | 3.421 | 7916N | 1560kg |
インサイト(H4) | 96kW | 267Nm | 2.454 | 3.421 | 6984N | 1370-1400kg |
シビック(H4?) | 135kW | 315Nm | ? | ? | ? | エンジン車は1360-1370kg。 ここから+100kg程度 |
今回新しく登場するシビック用のe:HEVは、エンジン、PCU(制御系)、IPU(バッテリーユニット)を新開発品、トランスアクスルについては改良品とした。注目のエンジンは直噴を採用し高効率運転領域を拡大することで低燃費化、さらにNV対策を多々盛り込み静粛性と円滑性を実現している。個人的には(基本的に)シリーズハイブリッドなのに直噴が必要なのかとも感じたものの、本機は今回の採用にとどまらず、将来の環境規制を見据えた今後のホンダの基本ユニットになっていくと聞いて合点。そのための土台を固め、まずはハイブリッド用としてデビューということのようだ。
試乗はクローズドのテストコース上で相当条件がよかったため「粗探し」には向かない状況。とはいえ、必要最小限にとどめるバッテリーからの電力と上手にバランスをとりながらエンジンの「発電+駆動併用」の絶妙な制御で走るのは旧i-MMDで感心したとおり。アップダウンが多いコース設定であるためか、モーターリッチであるはずのe:HEVの振る舞いはエンジンの存在が目立つ印象で、これはドライバーの加減速意思とエンジン運転状態を強くシンクロさせる設計思想によるもの。ボディ/シャシーの刷新もドライバビリティの向上を大きく助けている。いずれ、公道で試乗してみたい。
Motor Fan illustrated特別編集「ホンダのテクノロジー」
自動車のみならずモーターサイクル・飛行機・発電機などのライフプロダクトまで手がけるホンダは年間3000万基のパワーユニットを生産する文字どおりの「世界一のパワートレーン・カンパニー」だ。
この特別編集誌は、ホンダの研究開発を支える本田技術研究所全面協力のもと、自動車用エンジン、ハイブリッド技術、電気自動車、燃料電池の技術と戦略はもちろん、HondaJetや航空宇宙への挑戦、スーパーカブをはじめとするモーターサイクルのパワートレーン技術について、豊富な写真、図版を使って掘り下げます。電動化時代の開発を支える風洞やテストコースの現地取材も敢行。ホンダがこれからどんなわくわくするパワートレーンを作ってくれるのか。どんな戦略なのか。ホンダファン、自動車ファン、アナリスト必読です。