本命登場!ホンダ・シビックe:HEV エンジンもハイブリッドシステムも一新。その実力はいかに?

新型ホンダ・シビックe:HEV
ホンダの中核モデル、シビックは2022年に50周年を迎える。日本では1.5ℓ直4直噴ターボ+CVT/6MTのハッチバックモデルが先行して投入されているが、いよいよ本命ともいえるハイブリッドモデル(e:HEV)が追加される。このe:HEVは、電動化を進めるホンダにとって非常に重要なパワートレーンだ。なぜなら、100%BEVに切り替わるまで、「BEV以外はe:HEV」になるはずだからだ。そこで、ホンダは、新世代e:HEVのために、エンジンもハイブリッドシステムも一新した。さて「上質・爽快シビック」のコンセプト通りに仕上がっているだろうか? Motor Fan illustrated編集長の萬澤龍太が試乗した。

e:HEVの素性の良さを実感

ホンダ・シビックe:HEV。ボディカラーはプレミアムクリスタルブルー・メタリック

編集部や社内でも非常に評判のよろしいホンダ・新型シビック。同車に待望のハイブリッド仕様が登場する。発売は7月を予定している。市販に先立ち、試乗する機会を得た。テストコースでの走行ではあるが、果たして感触やいかに。

【前提】新型シビックに乗るのは今回が初。先代シビックについてはデビュー時、ハッチバック/セダン、MT/CVTの組み合わせを3種試した上でTYPE Rに試乗、Rのあまりの出来の良さに心底舌を巻いた。一方の基準車群については、少々スポーティな味付けが強すぎる感があった。

新型シビックに投入されるハイブリッド仕様はずいぶん久しぶりのこと。今回用いるのはe:HEV、ご存じシリーズハイブリッドを基本としたエンジン直結走行モードを有する、ホンダお得意のシステムである。そもそも同システムがi-MMDと称していたときから個人的にはファンであり、アコードに搭載されたときにはあの巨体がワンタンクで1000km以上の航続距離を誇るうえに尋常じゃない好燃費を叩き出したことにも驚嘆したものである。

いうまでもなく、真ん中のシリーズパラレル式がトヨタのハイブリッドシステム「THSⅡ」右が日産の『e-POWER」である。
エンジンは新開発の2.0ℓ直4DOHC直噴エンジン。2030年までの規制に充分対応できる環境性能を備えた新エンジンだ。

なぜe:HEVが好きかといえば、駆動の主体をモーターとしているからである。「ならばe-POWERも同じだね」と思われる方もいらっしゃるだろう。もちろんe-POWERも大好物であるが、こちらは純粋な電気駆動車。e:HEV/i-MMDがすばらしいのは、エンジンも上手に駆動に参加しているところであり、さらに高効率点運転としながらパワーが余っているならその分を発電に分け、パワーが足りないなら電池からのモーターアシストで辻褄を合わせるというところ。THSの遊星歯車機構による動力分配機構も世界に誇る技術だが、e:HEV/i-MMDのコレだって負けず劣らずのテクノロジーである。

試乗の会場はクローズドのコース。アップダウンが非常に厳しく旋回頻度も非常に多い。高負荷気味で走ることになろうが、果たしてe:HEVはどのような振る舞いを見せるか。

路面も良く見晴らしがすばらしく、周りには何もいないコースでは、どうしたって飛ばし気味になりそうなところ、タウンスピードで走ることを心がけてみた。予想ではエンジンの音がしないモーター走行かと思ったのだが、思いの外エンジンが運転している。結構な勾配を乗員3名で登坂しているためだろう。エンジンは、先述の高効率運転点をトレースしながらも、ペダルアクションと速度/エンジン回転数をシンクロさせることでドライバーに違和感を与えないようにしている。

ハイブリッド・ドライブではもっとも燃費のよい運転でエンジンを回しつつ、要求出力に応じてバッテリーへの充電、駆動力アシストをきめ細かく制御している。

正直を言えば、このコースで走った限りではモーターリッチなハイブリッドシステムという感触はなかったのだが「まあそんなこと、どうでもいいか」と思えるくらいレスポンスがよくスムースなパワートレインの仕立てにあとから気がついた次第。パワーの少ないエンジン+CVTだったら間違いなく「ラバーバンドフィール」が頻出しそうなコースにおいて、スイスイ走り回ってこられたのはモーターとエンジンのシームレスな駆動制御のおかげだろう。

ワインディングではコーナリング中はエンジン回転数を維持してドライバーの意思に遅れることない加速応答を実現している。
試乗コースは、路面は平滑だがアップダウンは厳しいレイアウトだった。

ちなみに比較用にエンジン車でも同コースを走行した。こちらも周囲の評判どおりの仕立ての良さで「なるほど、これならみんないいって言うわね」と感じ入った。なお、エンジン車とe:HEV車をなるべく同一条件で走らせたところ、小さな段差を乗り越えたときなどの車両姿勢は、エンジン車のほうが収束が早く好みだった。これは車重や前後重量配分の違いに加え、タイヤ銘柄と指定空気圧の違いなどが理由だろう。なお、エンジン車はグッドイヤーのEAGLE F1で235/40R18:前225/後220kPa、e:HEV車はミシュランPILOT SPORT 4で235/40ZR18:前250/後230kPaであった。

Motor Fan illustrated特別編集「ホンダのテクノロジー」

自動車のみならずモーターサイクル、飛行機、発電機などのライフプロダクトまで手がけるホンダは年間3000万基のパワーユニットを生産する文字通り「世界一のパワートレーン・カンパニー」。 
今回の特別編集本では、ホンダの研究開発を支える本田技術研究所の全面協力のもと、ホンダの自動車用エンジン、ハイブリッド技術、電気自動車、燃料電池の技術と戦略はもちろん、HondaJetや航空宇宙への挑戦、スーパーカブをはじめとするモーターサイクルのパワートレーン技術について、豊富な写真、図版を使って掘り下げます。 
電動化時代の開発を支える風洞や鷹栖プルービンググランドの現地取材も敢行。ホンダがこれからどんなわくわくするパワートレーンを作ってくれるのか。どんな戦略なのか。ホンダファン、自動車ファン、アナリスト必読です。

著者プロフィール

萬澤 龍太 近影

萬澤 龍太

Motor-FanTECH. 編集長かろうじて大卒。在学中に編集のアルバイトを始めたのが運の尽き…