後席と荷室に小型化の弊害が! ランクルFJでの車中泊は厳しいかも

5人乗りとなるFJは、7人乗りの250に比べて全長が350mm、ホイールベースは270mm短い。最小回転半径は250の6.0mに対してFJは5.5mだ。全幅の違いも相まって街中ではFJの方が明らかに取り回しやすいうえ、狭い林道やUターンを強いられる場面でも抜群の扱いやすさを発揮する。

後席空間は250の2列目も決して広い方ではないが、FJの後席足もとの膝まわりはさらに拳1つ分ほど狭い。しかし、FJは後席を前席より高く配置したシアターシートとなっており、後席からの前方視界に優れる。高めの着座位置としながらも天井内張り形状によって開放感を高める工夫が凝らされており、後席頭上空間は250と同等レベルだ。

また、FJの後席には250には備わらないスライド機構に加えて、過剰ともいえるほどの大角度リクライニング機構が備わっている点も特徴となる。

5名乗車時の荷室寸法は250が長さ1095mm×幅1130mm×高さ915mm、FJは長さ735mm×幅1050mm×高さ1030mmだ。背もたれを倒した際の最大荷室長は250の1905mmに対し、FJは1480mmに留まるうえ、シートを倒した際に荷室床面との間に300mm近い大きな段差が生じる。そのうえ、格納した後席は250のようにタンブルさせることもできないため、FJは車中泊をするにはひと工夫必要だ。

250のバックドアは一般的な縦開き式であるのに対し、FJは横開き式となる。ドアダンパーが備わっているため開放角度が保持でき、小さな開閉スペースでも荷物の出し入れがしやすい。250もガラスハッチのみを開けられるが、車高が高いため小柄な人にとってはそれほど使い勝手がよい機能とは言い難い。

FJはコンパクトにまとめるための工夫が随所に見られるが、とりわけ荷室空間の使い勝手に関しては、ボディサイズのアドバンテージを除いても250の方が上と言える。

トヨタ ランドクルーザーFJ VX
ボディサイズ=全長4575mm×全幅1855mm×全高1960mm
ホイールベース=2580mm
車両重量=1960kg
タイヤサイズ=265/60R18(前後)

トヨタ ランドクルーザー250 VX(7人乗り)
ボディサイズ=全長4925mm×全幅1980mm×全高1925mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=2240kg
タイヤサイズ=265/65R18(前後)

ランクルFJはパートタイム4WD! 燃費も少しだけ良好

パワートレインは両車ともに2.7L の直列4気筒ガソリンエンジン+6速ATの組み合わせであり、最高出力や最大トルクといったスペックも同じだ。

副変速機付きのトランスミッションは各ギヤ比も同一だが、FJの方がハイギヤードな最終減速比に設定されている。また、250がフルタイム4WDを採用するのに対し、FJはセンターデフを持たない直結のパートタイム4WDであり、2WD走行時は後輪駆動となる。

ギヤ比と4WD方式、車両重量の違いにより、同じエンジンでありながらWLTCモード平均燃費は250の7.5km/L(VX)に対し、FJは8.7km/L(VX)とわずかに良好だ。

オフロードにおける走破力はFJの方が明確に高い。FJの最低地上高は250の215mmを上回る250mmを確保し、ラダーフレームを短縮したショートホイールベース化も相まって対地障害角でも優位だ。

250の対地障害角はアプローチアングル30°/ランプブレークオーバーアングル23°/デパーチャーアングル23°となるのに対し、FJは各アングルが250比+15°前後となる。

また、FJには250のVXグレードには備わらない電動リヤデフロックが標準装備だ。加えて、250が電動パーキングブレーキ&電動パワーステアリングであるのに対し、FJはハンドブレーキ&油圧パワーステアリングを採用している点はオフロードのヘビーユーザーから歓迎される仕様と言えるだろう。

FJはカジュアルな見た目でありながら、明確にスポーティな装備とディメンションが与えられたクルマだ。

トヨタ ランドクルーザーFJ VX
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン
排気量=2693cc
最高出力=163ps/5200rpm
最大トルク=246Nm/3900rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=パートタイム4WD

トヨタ ランドクルーザー250 VX(7人乗り)
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン
排気量=2693cc
最高出力=163ps/5200rpm
最大トルク=246Nm/3900rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=4WD

ランクル250より約128万円安い“パーソナル・ランドクルーザー”

“ランドクルーザーFJ VX”の新車価格は450万100円、7人乗りとなる“ランドクルーザー250 VX”は577万9400円だ。250は2026年4月の改良で、安全機能や盗難防止の装備を標準設定したことで価格が上昇したこともあって、FJの手頃感が際立っている。

FJの装備は価格相応に簡素だが、電動シートやシートヒーター&ステアリングヒーター、左右独立温度コントロールフルオートエアコンは備わっており、標準装備となる12.3インチのコネクティッドナビ対応ディスプレイオーディオも250と共通だ。アダプティブクルーズコントロールも備わるが、電動パーキングブレーキではないため停止保持機能までは備わらない。総合的な快適性は、やはり250が優れる。

FJのインテリアはランクルシリーズに共通する車両姿勢が認知しやすい水平基調のデザインだ。ステアリングは250と共通部品となっており、車内の雰囲気はランクルらしい堅牢さを感じさせるものとなっている。

クルマの各所に価格を抑えた跡は見られるが、コストの制約をスポーツ性へと上手く転換している点がFJの大きな特徴と言えるだろう。

FJは、250に対してこれまで「価格が高すぎる」「ボディが大きすぎる」と感じて購入を躊躇していた人にとって格好の選択肢となるはずだ。また、ランクル40や70のショートボディに乗り続けてきた人にとっては有力な乗り換え候補となるかもしれない。

価格とサイズの制限が取り払われたFJは、気軽に街乗りできるランクルであると同時に、より高いレベルのオフロードスポーツにも応えてくれる、言わば“パーソナル・ランドクルーザー”と言ってよいだろう。

車両本体価格

トヨタ ランドクルーザーFJ VX:450万100円

トヨタ ランドクルーザー250 VX(7人乗り):577万9400円