ポリカーボネート（PC)樹脂は透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性に優れたエンジニアリングプラスチックで、自動車の内装部品やヘッドランプ、建築資材などに使用されている。現在、使用済みPC樹脂は粉砕・溶融後に成形し直すマテリアルリサイクルによる再資源化が一般的だが、劣化したものや異なる樹脂が混入していると、十分な品質のリサイクル樹脂を得られないという課題が残っている。これに対して、使用済みPC樹脂を解重合して原料モノマーに戻し、再び重合するケミカルリサイクルを行うことで、より広い範囲の使用済みPC樹脂を高品質なリサイクルPC樹脂に再生することが可能になる。
三菱ケミカルグループは、ケミカルリサイクル技術の確立のみならず、使用済みPC樹脂のリサイクルシステム構築も目指しており、PC樹脂を製品に使用する企業などとの連携も積極的に進めていく予定としている。また同社グループは2023年4月3日より高付加価値PC樹脂「XANTAR（ザンター）」などの展開を開始することを発表しており、エンジニアリングプラスチック事業のさらなる強化を図る。
なお、本実証事業は環境省の「令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」の補助事業として採択されている。