トヨタが航続距離1000kmを目指した次世代BEV用バッテリーの開発を推進。AIサポートによる空力特性デザインも

トヨタは6月13日にクルマの未来を変える新技術の数々を発表した。本稿では5月に発足したバッテリーEVの専任組織「BEVファクトリー」による「クルマ」「モノづくり」「仕事」の3軸での変革と、1充電あたり航続距離1000km確保の実現を宣言した電気自動車関連の詳細を報告する。

トヨタが今年5月に発足したバッテリーEV選任組織である「BEVファクトリー」。この組織は、クルマ・モノづくり・仕事の変革を通じ「BEV」で未来を変えることに重きが置かれている。クルマ軸では、次世代電池の採用と音速技術の融合などで、「航続距離1000km」を実現することを宣言し、短い充電時間でこれまでの航続距離のおよそ倍の1000kmの航続距離の確保を目指す。電費に影響を及ぼす空力特性については、AIをサポートに用いることで、デザイナーは車両デザインの感性の作り込みに専念することができ、Arene OS、フルOTAで操る楽しさを無限に広げることができる。「マニュアルEV」のように、「クルマ屋だからこそ出来る技術」で市場にワクワクする驚きと楽しさを展開する。

モノづくりの軸では、車体を3分割の新モジュール構造とし、ギガキャストの採用により大幅な部品統合を実現することで、車両開発費、そして、工場投資の削減にも貢献する。さらに自走生産の技術で工程と工場投資の半減にも貢献する。

BEVファクトリーは、ワンリーダーの元、ウーブン・バイ・トヨタや外部パートナーなどクルマ屋の枠組みを超えた、すべての機能と地域が集まるオール・イン・ワンのチームとなる。このワン・チームで仕事変革を促し、皆が同じ現場で同じ問題意識を持って素早い意思決定と初動発生を実現する。

これらの変革を通じ、グローバルかつフルラインナップの一括企画を進め、次世代BEVは26年から市場に投入される。30年には350万台のうち、およそ半数の170万台がBEVファクトリーから出荷される。世界トップレベルの電費に拘った次世代電池を搭載し、その原資で顧客の期待を超える商品力向上を図り、収益を確保する。『クルマ屋がつくるココロ揺さぶるバッテリーEV』には期待が集められている。

バッテリーに関しても注目の発表が行なわれた。現在主流の液系リチウムイオン電池は、トヨタが長い知見を持つ角形電池のエネルギー密度の向上によりパフォーマンスを高めていくいっぽうで、HEV 向けに開発してきたバイポーラ構造を BEV にも採用することで、良品廉価な普及版電池からよりパフォーマンス性を追求した電池まで、多様な選択肢をお届けできるようラインアップの拡充を進める。

さらに革新電池として期待の高い全固体電池については、いよいよ BEV への搭載を目指し、実用化フェーズに移行。競争力ある電池のフルラインアップで、今後のトヨタの BEV の進化を支えるとしている。現在、全固体電池の量産に向けた工法を開発中で、2027-2028 年の実用化にチャレンジするとしている。次世代電池(パフォーマンス版)はプライムプラネットエナジー&ソリューションズと、次世代電池(普及版)、(ハイパフォーマンス版)、BEV 用全固体電池は(株)豊田自動織機とトヨタグループ内の知見を結集し開発中ということだ。

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