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トヨタの技術戦略とクルマづくりの方向性
トヨタが、今年4月の新体制方針説明で説明した「トヨタモビリティコンセプト」。その実現のカギを握る3つのアプローチが「電動化」、「知能化」、「多様化」だ。電動化では、各地域の事情に応じた最適なパワートレインの導入など、「マルチパスウェイ」の軸をぶらさず推進させていく。知能化は、クルマやサービスに加え、Woven Cityなど、社会とのつながりを広げる取り組みも進めていく。多様化は、すべての人に提供する移動の自由や多様なエネルギーの選択肢まで、「クルマ」から「社会」へと領域を広げた多様化が推進される。
この3テーマを推進すべく、技術の領域でも、カンパニー制発足当時の2016年以降、先行分野へのリソーセスシフトと未来志向での積極投資が進められてきた。2023年3月時点で、開発人員は半分以上をシフト、研究開発費は総額を増やしながら約半分を先行にシフトしてきた。この流れを、今後さらに加速させていく。
トヨタは今後、3つの軸でのクルマづくり推進の意向を示している。
1つ目が、妥協無く安全・安心を追求すること。トヨタセーフティセンスをさらに磨き、市場に安全・安心の技術を提供する。
2つ目は、未来はみんなでつくるものということ。CJPTでの商用分野での脱炭素への取り組みや、タイCPグループとの提携、またモータースポーツでの連携など世界中の仲間とつながり、未来づくりを進めていく。
3つ目は、地域化の加速。今後は地域ごとの顧客のニーズが一層異なってくるため、世界中にある研究・開発拠点において、「お客さまのもとでの開発」が進められていく。
水素事業戦略
2030年の水素市場は、欧州、中国、北米の規模が圧倒的に大きく、燃料電池市場は2030年に向けて急速に市場が広がり、年間で5兆円規模になると予測されている。トヨタはMIRAIの水素ユニットを使って、燃料電池の外販を進め、2030年に10万台の外販オファーを集めている。その大半は商用車だということだ。
急激なマーケットの変化に対応するために、7月から新たに水素ファクトリーという組織を設置し、営業、開発、生産まで、ワンリーダーの下で、一気通貫で即断即決できる体制が整えられる。この水素ファクトリーは、3つの軸で事業が推進される。
1つ目は、マーケットのある国で開発・生産。欧州・中国を中心に、現地に拠点を設け、取り組みを加速する。
2つ目は、有力パートナーとの連携強化。連携を通じて数をまとめることで、アフォーダブルな価格の燃料電池を市場に提供できるよう取組みを進める。
3つ目は競争力と技術。次世代セル技術やFCシステムといった「競争力のある次世代FC技術の革新的進化」に取り組んでいく。
これらの取り組みを進めながら、本格的な事業化に取り組んでいく。トヨタの次世代のシステムでは、技術進化、量産効果、現地化により、37%の原価低減を実現。更にパートナーとの連携により、仮に2030年に20万台のオファーを集めた場合、50%まで原価低減が可能になってくるという。多くの顧客や、各国政府の期待に応えながら、しっかりと利益を出す事ができる様になっている。トヨタはこの目標に向けて、開発、生産、販売一丸となって進めていく。また、水素の価格についてはまだまだ高額であるため、これを普及していくために、トヨタは、「つくる」「はこぶ」「つかう」の「つくる」という事にもパートナーと共に取り組み、引き続き貢献を続けていくことが報告された。