可変圧縮比機構の量産設計[日産・KR型リンク設計の妙]

先般、日産の横浜工場で可変圧縮比機構を備えるKR型エンジンの生産工程を見学する機会を得た。MFi本誌にレポートを掲載するに先立ち、そもそも可変圧縮比機構を実現するためにどのような設計と生産の工夫がなされているのかをご紹介しよう。

VCRのキーパーツともいえる Lリンクの構造と設計は、Uリンクからの燃焼圧荷重に加えてCリンクからの支点距離との関係を受け、Lリンクはクランクピン荷重が通常クランクの1.9倍にも達する。荷重入力時の圧縮と引っ張り方向が複雑なところも設計の難しさに輪をかけた。下死点でのリンクの折りたたみとベアリング面圧の平準化を図りスリット+アウターフレーム構造とし、リンクそのものの疲労強度確保についてはSCr440材を真空浸炭処理によって高強度化、HRC値で60を確保するに至っている。

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