よくわかるBMWバルブトロニック[内燃機関超基礎講座]

ノンスロットルエンジンを実現しポンピングロスを最小限に抑えることを目的にしたBMWバルブトロニック。よく見る図版では(あまりにきれいに描きこまれているので)どこがどう動くのかがさっぱり見当もつかない。そこで、わかりやすく解説してみた。
TEXT:世良耕太(SERA Kota) PHOTO:BMW

2001年にBMWが世界で初めて実用化したノンスロットリング技術がバルブトロニックである。
 吸入空気量はスロットルバタフライの開閉で調整するのが長らくの常識で、吸気バルブのリフト量は一定だった。吸入空気量が少なくていいときはスロットルバルブが吸気管をふさぐ格好になり、大きなポンプ損失が発生した。これを解消するのがバルブトロニックで、スロットルバルブを廃し、吸気バルブのリフト量を自在に変化させることで、吸入空気量を制御。ポンプ損失が減り、燃費が向上する。

メカニズムは、揺動カムを用いてロストモーションを生み出す機械式可変機構。2001年の第1世代は小リフト時に吸気バルブの流路抵抗が生じる弱点があったが、2004年の第2世代ではそのネガを解消すべく機構に手を加え、小開角のリフトをより高く設定。小リフト時には2つの吸気バルブのリフト量を変え、スワールを発生させる制御も取り入れた。高精度直噴システムのインジェクターと干渉しないよう、サーボモーターの位置を変更したシステムを第3世代と呼んでいる。

(ILLUST:萬澤琴美)
【基本的な動作】Aのカムの動きがCの揺動カムフォロアに伝わり、それを受けてDのロッカーアームがスイングすることで、バルブを駆動する。

【左:最小リフト時】Cの揺動カムフォロアはBのコントロールシャフトによって上軸部が左方に移動、Dとの接触点がスリッパーの左端となる。Aのカム入力を受けてもスリッパーの中央凹点までしかCの揺動カムは動かず、Dのロッカーアームのスイング量は極小に抑えられる。市街地走行では2mm以下の小リフトしか使わないため、リフトの精度確保が重要になる。

【右:最大リフト時】最大リフト時にはBのコントロールシャフトが時計回りに回転しCの揺動シャフトが右方に移動、スリッパー待機位置が中央凹部となる。カム入力を受けるとスリッパー右端でDのロッカーアームを押し下げる格好となり、大きなトラベルを得る。
写真は第2世代バルブトロニック。第3世代は、コントロールシャフトを回転させるモーターが吸排気バルブの間に直立して収まる。また、バルブリフト量を制御するシャフトの位置検出用センサーをサーボモーターに内蔵した。
バルブトロニックとツインスクロール・ターボを組み合わせると、ターボラグ中に吸気バルブ閉時期を最適制御することにより、体積効率が高まってトルクが増加。レスポンスを向上させることができる。まず直6に投入され、直4に広がった。

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…