要素を削ぎ落とし、ボディ色の広い面で塊感を出す。BMWが「モノリシック」と呼ぶ、フラッグシップセダンの新しいかたち
ビー・エム・ダブリューは10月29日、新型BMW 7シリーズの販売を全国のBMW正規ディーラーで開始した。4月に世界初公開されたモデルで、納車は11月からの予定。日本では7月に導入されたBMW iX3に続く、ノイエ・クラッセの第2弾モデルにあたる。


ノイエ・クラッセで、BMWは全モデルに共通する新しいフロントデザインの手法を打ち出した。新型7シリーズはそのラグジュアリーセグメント版で、このフロントデザインはラグジュアリークラス専用だという。
フロントまわりの中心は、輪郭が光るキドニー・グリル「BMWアイコニック・グロー」。従来型よりスリムで縦長のプロポーションとなり、内部には新たに水平のグラフィックが入った。レーダーやカメラ、センサー、ウォッシャーノズルはグリルの枠にほぼ見えないように収め、すっきりとした面を確保。グリルとボンネットの境目には、大型化してマット仕上げとなった新デザインのBMWエンブレムを配置した。ボンネットに走る2本の新しいキャラクターラインの谷間に収まる格好だ。


ヘッドライトは従来どおり上下2分割。上段には、極細のデイタイムランニングライト、サイドマーカー、ウインカーをまとめた。クリスタル・ヘッドライトは片側12個のクリスタルガラス素子を備え、ダイヤモンドカットの面が光を反射する。始動時のアニメーションや夜間には、LEDがクリスタルを背後から照らし、グリルの輪郭照明とともに光のシグネチャーを描く。
ロー/ハイビームを収める下段は従来型より大幅に小さくなり、ボディ外側のエアカーテン付近に縦に配置された。点灯時以外はほとんど目立たない。こうした要素をボディ色の広い面で囲み、塊感のあるフロントまわりに仕上げている。BMWはこれを「モノリシック(一枚岩のような)」なデザインと呼ぶ。

フロントからリヤまで1本のキャラクターライン。細長いリヤライトでワイド感を強調したサイドとリヤ
サイドは面の要素を削ぎ落とし、フロントエプロンからサイドシルを経てリヤまで伸びるキャラクターラインを通した。リヤ斜め後方から見るとボートテールのような印象を与え、全長を長く見せる効果もあるという。ドアハンドルはボディと面一のフラッシュタイプ。前後のドアを開けると、Bピラーに型押しされた「7」の文字が現れるのも目新しい。

リヤまわりは水平基調のデザインとなった。完全新設計のリヤライトは細長い形状で、リヤエンドの奥まで回り込み、ワイドなスタンスを強調。内部にクロームのストリップを配し、スモーク調のガラスによって消灯時も引き締まって見える。リヤエプロンはディフューザーのような造形が特徴だ。

ボディサイズは全長5395mm、全幅1950mm、ホイールベース3215mm。全高は740が1550mm、i7が1555mmとなる。
下部をマット、上部を高光沢で仕上げるデュアル・フィニッシュを初設定。塗装時間は通常の約6倍
ボディ色では、好みの色の組み合わせを選べるBMWインディビジュアル2トーン・ペイントを採用。ボディ下部をマット、上部を高光沢で仕上げるデュアル・フィニッシュが選べるようになった。
上部の塗装は手作業で施され、2種類の塗装の境目が目立たないように仕上げるという。開発には2年半を要し、施工はドイツのディンゴルフィング工場のみ。1台の塗装に75時間以上、通常の塗装の約6倍の時間がかかる。BMWはこれを世界初の塗装技術だと説明する。

フロントウインドウ全幅に情報を映すパノラミック・ビジョン。助手席の前にはBMW初のパッセンジャー・スクリーンを並べる
インテリアは、ノイエ・クラッセのすっきりとした造形に、厳選した素材と先進技術を組み合わせている。

コクピットの表示・操作系はBMWパノラミックiDrive。その中心となるBMWパノラミック・ビジョンは、フロントウインドウ下部の左右Aピラー間の全幅に情報を投影する。インパネには、7シリーズとして初めて17.9インチのセンター・ディスプレイを浮いたように配置した。フリー・カット・デザインと呼ぶ形状で、ステアリングホイールの隣の人間工学的に最適な位置に置くためのものだ。その隣には、BMWとして初採用となる14.6インチのBMWパッセンジャー・スクリーンを並べ、センター・ディスプレイとひと続きに見えるようにした。運転中のドライバーがこの画面を見ると、車内カメラが検知して表示を止める。
ステアリングホイールは、やや平らな形状に縦のスポークを組み合わせた新デザイン。操作部は必要なときだけ点灯する。エアベントはスリット状で、インパネにほぼ見えないように組み込まれた。


光の演出もインテリアデザインの柱だ。新しいアンビエント・ライト・ストリップはコクピットの全幅いっぱいに伸び、昼間はアラバスターのような質感を見せる。前席の背面にはヘッドレストの高さに縦型のライトを組み込み、光の演出を後席まで広げた。スカイ・ラウンジ・パノラマ・ガラス・サンルーフ(モデルによってはオプション)は、LEDでガラス面にグラフィックを浮かび上がらせる。その模様はシートのキルティングに合わせたものだという。

後席には、8K解像度の31.3インチBMWシアター・スクリーンを設定でき、新たに地上波テレビやオンライン会議に対応した。左右のリヤドアには5.5インチのBMWタッチ・コマンドを備える。

パワートレインは直列6気筒と48Vハイブリッドを組み合わせた740と、113kWhのバッテリーを積むBEVのi7
740は3.0L直列6気筒ガソリンエンジンにBMW 48Vハイブリッド・システムを組み合わせ、システム最高出力294kW、最大トルク580Nm。BEVのi7は容量113kWhのバッテリーを搭載し、i7 60 xDriveが400kW・745Nm、i7 M70 xDriveが500kW・1015Nmを発生する。一充電走行距離(WLTCモード)はそれぞれ706km、686km。運転支援システムのハイウェイ・アシストを標準装備し、高速道路上で時速120kmまで、一定の条件下でハンズオフ走行ができる(11月以降に利用可能となる予定)。
