連載

西川淳の自動車1Weekダイアリー

今年もCOTYの季節がやってきた!

今年も「日本カー・オブ・ザ・イヤー」(正確には2026-2027が付く)の選考が始まった。11月18日に開催される最終選考会に残る10台「10ベストカー」が、先だって無事に選出されている。システムをよく理解されていない方も多いと思うので簡単に説明しておこう。58名の選考委員が、メーカーやインポーターから提出され実行委員会が認めた今年のノミネート車リストからまずは10台を選んで投票し、その得票順の上位10台が10ベストカーだ。そして10台が一堂に介する最終選考会を経て、各選考委員は10ベストカーに順位をつける。F1のポイント制のように1〜10位にはあらかじめ点数が割り振られており、それらを合計して最も得票の多かったモデルが今年の日本カー・オブ・ザ・イヤー(大賞)となり、それが輸入車でなかった場合には、輸入車の最多得票モデルがインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを授賞する。特別賞もあるが、まぁ、それは自分で確かめて欲しい。

さて。今年の10ベストカーは以下の通りだ。

スズキ eスカイ
トヨタ RAV4
日産 エルグランド
日産 キックス*
ホンダ スーパーONE
マツダ CX-5
BMW iX3
BYD ラッコ
KIA PV5*
ボルボ ES90

以下が私の10ベストカーで、上下*印の各々2台が相違であった。

ボルボ ES90
日産 エルグランド
BMW iX3
マツダ CX-5
アウディ A6*
DS N°8*
ホンダ スーパーONE
トヨタ RAV4
BYD ラッコ
スズキe スカイ

私にしては珍しく選んだ10台中8台が最終選考に残った(いつもは半分くらい!)ので、今年は順番もつけ易いと思っている。うち7台はすでに東京〜京都テストにも供している。現状では公道で試乗できない「スズキ eスカイ」を除いて、悩む点もさほどなさそうだ。ちなみにクルマとして先進性があり、最もよくできていたと感心したモデルは「ボルボ ES90」だった。特筆すべきは10台中6台がBEVで、中には中国製や韓国製も含まれている。そのことをあげつらって「COTYも終わった」「つまらなくなった」「夢がない」(それをいうならメーカーに言え!)とか、「スポーツモデルがない」(リストにない!)「BEVなんかに未来はない」(誰にもわからない!)とか、さらには「どうせ金でももらっているんだろう」(くれるなら欲しいもんだ)「役目は終わった」(なら気にしなくてよろしい)などと、好き勝手にいう向きもSNSでは散見されたが、しょせん素人の戯言である。経験豊かな選考委員がノミネート車両をあまねくテストして、個々人の評価軸に則り投票し、60名近くの個性が別個に選んだ末の結果だ。決して人気投票や売れ筋投票ではない。絶対評価でもない。もちろん未来の予測も不可能だ。現時点での、リスト内における相対評価の総合結果。それがイヤーカーの選出というものだ。評価軸は違っても、各専門家が“良いクルマ”を選んで順位をつけているのだ。それ以下でも以上でもない。だからこそ、クルマ選びのひとつの有力な指標になり得る、と私は信じている。では、どうして私たちにそんなこと=ちょっと(せいぜい1000km)乗っただけで評価ができるのか? そのことについてはまた来週にでも書いてみようと思う。

2026年10月第4週

2026年10月24日(土)曇りのち雨

ランボルギーニ レヴエルト
ランボルギーニ レヴエルト
防府天満宮さんにて
防府天満宮さんにて

山口県美祢市で催されて今年でなんと18年。「フェスタ・アウトクラシケ美祢」(FACM)のラリー「ジーロ・ディ・ミネ」に参加するため、早朝より美祢市役所へ。心配された台風による風雨も奇跡的になく、ワイパーを動かさずにスタートとなった。さすが総理経験者の多い山口県だけあって、開会式には市長や副市長、議長や県会議員が駆けつけ、“政治好き”な土地柄が偲ばれる。私は美祢市出身のキャスター&ジャーナリストの矢田部明子さんと組んで「ランボルギーニ レヴエルト」で走る。これまた流石のよく整備された道々を走り回った。群馬県とよく似た雰囲気よね。私の故郷・奈良の道路事情もこれから少しはよくなるんだろうか。今回のイベント参加は天神さんの縁だ。立ち寄り先の防府天満宮さんでも来年の式年大祭を前に“猛牛”で盛り上げようということになり、地元のスーパーカーファンで実行委員のひとりが縁を取り持ってくれた。

2026年10月25日(日)雨

この日はFACMのもうひとつのイベント「マツダ・コレクション」でトークショーのため、ジーロを見送ってマツダの美祢試験場へ。ここは20年前まで西日本サーキットとして使われていた施設で、以降はマツダがテストコースとして活用している。そこで、FACMが提案し、ジーロのゴール地点を試験場に設定し、しかもその日はテストコースを一般に開放して“走る”イベントに仕立て上げた。あいにくの雨にもかかわらず、普段は滅多に見れない・走れないコースを走るため、多くのクルマ運転好きが集まっていた。マツダ側は開発部隊が手弁当で迎え入れており、元サーキットの試験場という珍しいパターンゆえに実現できる、とても興味深いイベントだと感心した。午後、京都へ。広島あたりから雨も止んで、快適なドライブ。それにしてもレヴエルトは本当に優秀なグランドツーリングカーである。燃費も8km台と、12気筒モデルとしては優秀だ。電気で走る場面(例えば渋滞など)を上手く工夫すればさらに伸びるかもしれない。とにかく乗り易いので、とうとうスポーツモードでスーパーカーらしい走りを楽しむことなくドライブを快適に終えてしまった。

2026年10月26日(月)曇り/晴れ

陽気なレバノン人の駆る「キャデラック エスカレード」で。
陽気なレバノン人の駆る「キャデラック エスカレード」で。

8時ごろ、京都をレヴエルトで出発。14時ごろに東京で返却。そのあしで羽田空港。アメリカン航空でロサンゼルスへ。同日、二度目の朝にLAX到着。お迎えのショーファーは陽気なレバノン人の駆る「キャデラック エスカレード」。大のクルマ好きで、特に日本車好き。我々が日本人と知って大喜び。あまりにフレンドリーなので、ついつい「イナナウ寄って!」。車内でバーガーランチ。1時間のドライブでニューポートビーチのペリカンヒルへ。午後は部屋で休息。夜、プレスカンファレンスとディナー。

2026年10月27日(火)快晴

「BMW X5」と「iX5」
「BMW X5」と「iX5」

この日は一日中、「BMW X5」と「iX5」のテスト。ランチはボレゴスプリングスでハンバーガー。ディナーはホテルに戻って。昨夜から熱心に話を聞いてくれたX5のプロジェクトリーダー、ミヒャエルさんがこの日も我々につきっきりで開発秘話を披露してくれた。彼もまた愛すべきクルマ好きで、古いBMWを何台か所有していて、そのうちの1台はなんと日本からの里帰り個体だった(アルピナ)。偉い人なんだろうけど、途中からだんだんと単なるクルマ好きおっさんの会話になってしまった。いと、楽し。

2026年10月28日(水)快晴

BMW 7シリーズ
BMW 7シリーズ

早朝より、来年1月にデビューするモデルのプレビュー。終了後、新型「7シリーズ」のBEVとガソリンハイブリッドに試乗する。夕方にテストを終え、部屋で原稿&休憩ののち、空港へ。行きと同じショーファーで、「またイナナウ寄るか?」と聞いてきた。3時間前にLAX着。余裕でチェックイン、と思いきや、フライトディレイの通知。午前1時発の予定が4時になった。3時間遅れか、土曜の羽田着予定は本来、早朝5時だから3時間遅れてもその後の都内の仕事スケジュールに支障はない、などと思っていたら、なんと4時の横に小さく「pm」の文字が! オーマイガーっ! なんと15時間遅れという無情な通知であった。慌てて他の便やエアラインを手配しようとするも、翌日16時より早く出る便を確保できず。仕方なく、予定の仕事先に連絡をとり、翌日もしくは翌週への順延をお願いして、その夜はひとまず空港近くのシェラトンへ。

2026年10月29日(木)晴れ

LAXにて。
LAXにて。

とりあえず溜まっていた原稿を仕上げて、正午にホテルをチェックアウト。再び空港へ向かう。16時発の予定がさらに遅れたけれど、今度こそ羽田へ!

2026年10月30日(金)機内

エルグランドの2列目から。
エルグランドの2列目から。

20時に羽田着。お迎えの「エルグランド」で都内へ。焼肉ディナーで鬱憤を晴らす。予定外の都内泊。

2026 10/24〜2026 10/30

走行距離 約1450km 試乗台数 5台

2025 11/1〜2026 10 /30累計

総走行距離 約5万9850km 累計試乗台数 243台

ロードスター MSR 12R

怒涛のCOTY選考試乗ウィークに高速の走り方を考える【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.50】

スーパーカー界の重鎮、モータージャーナリスト西川淳。この連載は、昨年還暦を迎えた氏が、日々どんなクルマに乗って、何を感じたのか徒然なるままに語るものである。果たして今週はどこで何をして過ごしたのか?

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