堀場製作所の野望
前回のイギリス取材の続きだ。英国中部ナニートンにある堀場マイラを訪れた。2026年に創立80周年を迎えた同社は英国自動車産業の研究開発を担うMIRA(Motor Industry Research Association)として知られ、今なお広大なテストコースを擁する。今回の訪問で明らかになったのは、単なる車両試験施設というイメージを大きく超えた姿だ。敷地内には40以上の試験施設があり、500人を超える専門家が働く。車両運動性能やパワートレインの開発から、衝突安全、排出ガス、電動化、ADAS、サイバーセキュリティ、EMCまで、現代の自動車開発に必要な幅広い分野を網羅する。英国で唯一のEuro NCAP認定試験施設でもあり、衝突試験場では実車同士の衝突や側面衝突など、多様な試験に対応する。とりわけ印象的だったのが、ドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーターだ。MIRAのテストコースをデジタルツインとして再現し、実車を製作する前にサスペンションやステアリング、ブレーキ、車両制御の違いをドライバー自身が体感できる。数値上の性能だけでは判断できない、運転する楽しさや安心感まで仮想空間で評価しようというものだ。実際のテストコースと組み合わせることで、開発期間の短縮と試作回数の削減を狙っている。
2015年に京都の堀場製作所がMIRAを買収した意味も、今回の取材でよく理解できた。計測機器メーカーとして世界的な実績を持つ“HORIBA”ブランドにとって、MIRAの価値は自動車開発の現場に蓄積された知識と経験そのものにあった。計測装置を販売するだけでなく、試験方法の設計からデータ解析、車両開発までを一体で提供する。いわば製品からソリューションへの転換であろう。メーカーではない日本の企業も世界の自動車産業の発展のために一躍を担うという強い意志でもあった。MIRA Technology Parkには、ジャガー・ランドローバーやマクラーレン、トヨタ、ボッシュなどが拠点を構え、新興技術企業も集まっている。ここでは設備を利用するだけでなく、企業や技術者同士が交流すること自体に価値がある。案内してくれた担当者は、MIRAを今なお単なるテストコースだと思っている人が多いと語った。しかし、実際にはクルマの構想から開発、検証、認証までを支える総合的な技術拠点へと進化している。自動車開発そのものが大きく変わろうとしている今、堀場マイラは、次世代のクルマが生まれる場所のひとつとして、ますますその重要度が増している。
2026年9月第5週
2026年9月26日(土)晴れ

英国とは思えないほどの晴天に恵まれた。朝からドニントンパークを訪れ、ラディカル本社でミーティング。さらにこの日はラディカルファミリーデイと称してレースをはじめ、いくつかのサーキットイベントが催されていた。本格的なレーシングカーもあれば、ポルシェボクスターを改造したポルシェクラブのレースもある。ツーリングカーやレジェンドカーのレースもあった。パドックにはさまざまなマシンが並んでおり、老若男女が心から楽しんでいる様子が伺えた。さすがはレースの本場である。唯一の常設グランドスタンドから美しいサーキットを見渡しつつ、なんだかとても幸せな気分になった。イベント後、ロンドンヒースローへ移動。美味しいチャイニーズ「小蓉和」(フーヤンガーデンレストラン)さんを見つけて、英国取材の最後の晩餐を楽しむ。
2026年9月27日(日)晴れ

暗いうちにホテルを出て、ヒースロー空港へ。フランクフルト経由で日本へ飛ぶ。フランクフルトのラウンジでは久しぶりに白いソーセージを堪能した。
2026年9月28日(月)雨

早朝に羽田着。定宿に入ってシャワーを浴び、六本木へ。来年に向けたイベントの打ち合わせ。ランチはロメスパ有名店「朝日食堂」さんにて。ちょうど近くのミッドタウンでフェラーリ・フェスティバルが開催されていた。後学のため見学。僕がいる間は奇跡的に雨も上がって、F40、F50、エンツォ、SP3デイトナなどを心置きなく見物する。F1マシンとWECマシンの揃い踏みは圧倒的だった。用事を終えてホテルに戻り、仮眠。少し原稿を書く。夕方、羽田へ移動。夕食はANAラウンジでお寿司。夜便でミラノへ。直行便だからラクだけど、日本滞在は15時間ほど。まさかの”東京トランジット“だなんて、我ながらバカだよなぁ。で、イタリアへ行くのがわかっていて、なぜにランチがロメスパ? 焦バター醤油味に惹かれたから(笑)。
2026年9月29日(火)晴れ


早朝にミラノ着。お迎えのバンでバロッコ近くのホテルへ。ホテルランチで同僚たちと合流する。昼間は部屋で原稿執筆。ホテルのレストランディナーでマラネッロの開発陣と懇親。
2026年9月30日(水)晴れ

ステランティスグループのプルービンググラウンド、バロッコでフェラーリの新型車2台(12CマヌアーレとプロサングエHS)をテスト取材する。広大な敷地ゆえ、12Cは高速サーキット、プロサングエはワインディングを模したトラックと、場所を分けて午前と午後に行われた。注目の12Cマヌアーレに関しては10月21日までエンバーゴなのでまだ何も言えないけれど、プロサングエHSに関してはインプレッションをすでに公開済みだ。夜はイタリアの美しい村クラブにも登録されているリチェット・ディ・カンデーロの雰囲気のいいレストラン「ラ・タベルナ・デル・リチェット」で会食。
2026年10月1日(木)晴れ

朝からミラノマルペンサ空港へ移動。ANAの直行便で羽田へ飛ぶ。搭乗スタッフが往路と同じというパターン。帰国後すぐに京都までテストドライブが待っている。アルコールは飲まず、できるだけ寝ておく。
2026年10月2日(金)晴れ

早朝に羽田着。まずは「般若林」さんで出汁補給の朝うどん。第2ターミナルのシャワールームへ。1時間待ちでリフレッシュののち、『GENROQ』編集部のスタッフが「キャデラック XT5」で出迎え。そのまま一緒に横浜のマツダR&Dセンターに向かい、「ロードスターPS」をピックアップ。海老名SAで「キャデラック リリック」と合流し、3台で撮影しながら京都を目指す。夕刻、京都着。夜は早速、京都のクルマ仲間と「祇園石屋」さんで焼肉ディナー。
2026 9/26〜2026 10/2
走行距離 約600km 試乗台数 4台
2025 11/1〜2026 10 /2 累計
総走行距離 約5万4100km 累計試乗台数 222台
フェラーリの新型「プロサングエ ハンドリング スペチアーレ」をイタリア・バロッコのテストコースで試乗 | Motor Fan|自動車情報のモーターファン
