先日、日産の横浜工場でKR型エンジンの生産工程を観察する機会があった。このエンジンは可変圧縮比機構(VCR)を採用しており、その設計と生産には多くの工夫が施されている。
[荷重対応の工夫]
通常のクランクシャフトとコンロッドの設計とは異なり、VCRでは特殊なリンク構造を用いる。このため、クランクにかかる荷重は通常の1.9倍に増加する。この高荷重に対応するため、バレルシェイプ/3Dシェイプの採用やベアリングへの面圧問題の解消が行われた。
[生産工程の特殊性]
Lリンクのボルト締結には、通常の生産工程では不可能な特殊な手法が用いられている。具体的には、クランク周りを宙吊りにして、左右から工具を用いて同時に締め付ける。
[潤滑の課題]
VCRの複雑なリンク構造により、潤滑が一層困難になる。特に、Cリンクのブッシュ部は全周溝形状として油保持性を高め、軸受にも摩耗性に優れた材料が採用されている。
詳細はこちらから→可変圧縮比機構の量産設計[日産・KR型リンク設計の妙]