明電舎・インフォコムが、「VR安全教育評価システム(仮称)」を開発

明電舎は、同社とその子会社である明電システムソリューション、インフォコム社と共同で、製造現場などにおける労働者の安全意識向上と労災防止を目的とした「(仮称)VR安全教育評価システム」を開発したことを発表した。ヒューマンエラーによる労働災害を疑似体験して、危険認知度をチェックできる機能を備えている。

開発背景

企業の安全に対する取組みが強化されたことにより、工場や工事現場等における労働災害が近年では減少傾向にある一方で、ヒューマンエラーに基づく労働災害はなくなっておらず、作業者一人ひとりの危険に対する感受性を一層高めることが急務となっている。これまで明電舎が推進してきたVR安全体感教育においては、受講者がコンテンツを通じて学んだ内容を振り返る学習機能はあったものの、それぞれの受講者に対して、講師の経験や考えなどによる判断に左右されない、平等かつ定量的な教育効果の評価が課題となっていた。これを解決すべく、ヒューマンエラーによる労働災害をVRでコンテンツ化するとともに、個人の危険感受性を分析評価するシステムとして構築された。

システム概要

「(仮称)VR安全教育評価システム」は、ヒューマンエラー12分類に着目し、その内の8分類の型から起きる労働災害をVRコンテンツとして再現している。教育に使用する機器は、VRコンテンツをインストールしたヘッドマウントディスプレーとコントローラのみであるため、場所を選ぶことなく、また機器の数を増やせば同時に複数人での受講が可能となる。受講者はVR上で再現された労働災害を疑似体験した後に危険認知度テストを受けることで、自身の危険に対する理解の度合いを確認できる。また、テスト結果(正誤箇所・得点・合否・ランキング・回答時間等)をクラウドに送信し、収集・集計・分析を行うことができるため、受講者自身による体験内容やテスト結果の参照はもちろん、結果を上司が確認してミスしやすい部分を重点的に指導するといったことも可能となる。この仕組みにより、その場限りの体験だけでは終わらない、継続的な学習を実現することができる。

今回、開発された体感プログラムに含まれない残りのヒューマンエラー4分類についても、すでに開発が開始されており、2023年度中の完成が目指されている。また、2024年度から社内で実施する安全体感教育に本システムが導入される予定であるほか、今後の外販も視野に入れながらさらなる開発が推進される。

体感プログラムの種類

・危険軽視    ・パニック
・連絡不足    ・不注意
・省略行動    ・錯覚
・集団欠陥    ・疲労

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