エポキシ系接着剤とMSハイブリッドがもたらす自動車軽量化の可能性[自動車業界60秒ブリーフィング]

自動車業界において、構造用接着剤の使用が増加している。これは、軽量化による剛性低下対策と異種素材の接合が求められているためだ。接着剤は原子レベルでの結合と分子レベルの引力が絡み合って接着を実現する。接着剤が被着材の表面に入り込み、化学的相互作用やアンカー効果を利用して強固な接合を提供する。

現在、自動車ボディにはエポキシ系の構造用接着剤が主流であり、鋼と鋼の接合において、ねじれ・曲げの剛性を向上させるために用いられる。特に、抵抗スポット溶接と併用することで、スポット打点間のたわみを防ぎ、靭性を持たせることができる。異種材料の接合においては、線膨張係数の違いや熱歪みを考慮する必要があり、適切な接着剤の選択が重要となる。

セメダイン社は、自動車向けの構造用接着剤の開発に注力しており、エポキシ系や変成シリコーン(MS)、第二世代アクリル系(SGA)を用いた製品を提供している。これらの接着剤は、初期強度や靭性、温度変化への対応など、さまざまな要求に応じて設計されている。特に、エポキシ系とMSのハイブリッド接着剤は、剛性と柔軟性を両立し、異種材料の接合に優れた性能を発揮する。

BMW・i3の例では、アルミシャシーとCFRPキャビンの接合に数ミリの厚みの接着剤を使用し、線膨張の違いによる歪みを緩和している。

詳細を読む→構造用接着剤でボディの要所を固める——長期間の繰り返し応力に耐える性能

キーワードで検索する

著者プロフィール

Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部