ブリヂストン、タイヤ粉じん独自の捕集法を開発。摩耗試験機を上島製作所と共同開発

ブリヂストンは、タイヤ・路面摩耗粉じん(以下、TRWP:Tire and Road Wear Particles)の環境影響把握に向け、独自の実車捕集法を開発した。また、上島製作所と共に、実験室規模でタイヤと同成分のゴムサンプルから摩耗粉を生成・捕集可能な「FPS(Field Performance Simulation)摩耗試験機 摩耗粉捕集モデル」を共同開発したを発表した。既に上島製作所で販売中の「FPS 摩耗試験機」に静電気を利用した捕集機を実装することで 1μm以上の摩耗粉の捕集が実現された。上島製作所は、本試験機の受注を 2025 年 3 月より開始予定。

タイヤ・路面摩耗粉じんの実車捕集法を開発

TRWP は、タイヤが安心・安全な移動を支えるために必要な路面と摩擦することによって発生する粉じんで、タイヤの表面であるトレッドと道路舗装材の混合物。ブリヂストンでは TRWP の粒径分布、飛散状況、環境影響の把握やそのための効率的な捕集法の開発を進めており、これらを通じて TRWP を理解する活動と、TRWP を減らす活動の双方に取り組んでいる。

今回、ブリヂストンでは、TRWP の特徴、特に環境影響の理解や可視化、解決(緩和)に向けた取り組みが加速される。TRWP が生成される過程に着目し、Bridgestone Innovation Park(東京都小平市)内のテストコース B-Mobility を活用して、TRWP を高効率で捕集することのできるブリヂストン独自の方法が開発された。具体的には、TRWP 等の粒子の飛散状況を高速度カメラとレーザー光を組み合わせることで可視化し、その結果を基にTRWPを効率的に捕集可能なタイヤ全体を覆う装置が開発された。更に、自動運転を使用することで一定の走行状態を保持するとともに、回生ブレーキを使う EV を使用することで排気粉じんとブレーキ粉じんの影響を排除した状態での TRWP の捕集が可能とされた。

なお、今回開発した独自の TRWP 実車捕集法については、3 月 4 日から6日にドイツ・ハノーファーで開催されて
いる 「Tire Technology Expo 2025」でも発表されている。

TRWP を捕集する装置を自動運転車に装着した様子

上島製作所と摩耗試験機を共同開発

タイヤが安心・安全な移動を支えるために必要な路面と摩擦することによって発生するタイヤ・路面摩耗粉じん(TRWP:Tire and Road Wear Particles)については、粒径分布、飛散状況、環境影響の把握やそのための効率的な捕集法の開発といった研究が進められている。実車走行や実タイヤを使用した捕集法では、タイヤ製造や車両の準備、試験場所の環境整備等、コストや時間を要するという課題があった。

このような背景から、物理試験機メーカーとしてゴム・プラスチック産業領域を得意とする上島製作所および、タイヤメーカーとしてゴム製品やその摩耗についての知見を保有するブリヂストンは、TRWP の構成要素の 1 つであるタイヤ摩耗粉(路面成分を含まない)にフォーカスし、実車を使った捕集法に近い条件でタイヤと同成分のゴムサンプルから摩耗粉を生成・捕集可能な「FPS 摩耗試験機 摩耗粉捕集モデル」を共同開発した。(特許出願中)

「FPS 摩耗試験機 摩耗粉捕集モデル」の特徴

  1. 既に上島製作所で販売しており、ゴムサンプルの摩耗試験機として実績がある「FPS 摩耗試験機」で摩耗粉を発生
  2. 静電気を利用した 2 種類の捕集機により 1μm以上の摩耗粉を捕集
  • 集塵セル:試験機内で発生した摩耗粉を高効率で捕集
  • 捕集シート:3 分間の試験で粒径分布を分析可能。シートを取替えて繰返し試験可能なため、効率的な分析ができる

「FPS 摩耗試験機 摩耗粉捕集モデル」のメリット

  • 低コスト・短時間で摩耗粉の捕集・評価が可能
  • 実タイヤの生産設備がなくても実験室規模で摩耗粉の評価が可能
  • 摩耗から捕集まで試験機内で完結するため、分析の障害となる異物混入を極力抑えた摩耗粉評価が可能

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