今回の協業で、住友ゴムはタイヤの製造工程で発生するゴム片および使用済みタイヤの粉砕処理品(再生材料)を三菱ケミカルに供給する。三菱ケミカルはそれらの再生材料を原料の一部としてコークス炉に投入してケミカルリサイクルを行い※1、得られたタールからカーボンブラックを生産する。できあがった資源循環型カーボンブラックは住友ゴムが生産するタイヤの原料として使用される。
住友ゴムは、DUNLOP(ダンロップ)・FALKEN(ファルケン)をメインブランドに、さまざまな種類のタイヤをグローバルに製造販売している。また、タイヤ事業における独自のサーキュラーエコノミー構想「TOWANOWA(トワノワ)」において、使用済みタイヤをリサイクル原材料として活用することに取り組んでいる。住友ゴムは資源循環型カーボンブラックを2025年から、一部レース用タイヤおよび一部乗用車向けタイヤに採用する。2026年以降は、採用範囲の拡大が目指される。
三菱ケミカルは、タイヤの主原料のひとつであり、ゴムの補強剤として使用されているカーボンブラックを生産している。通常、カーボンブラックは石炭・石油から得られる重質油(タール等)を原料に製造されるが、タイヤ由来の再生材料を原料として使用しケミカルリサイクルする検討を行ってきた。2024年7月から開始した実証実験で既存プロセスへの影響等を評価し、今回、資源循環型カーボンブラックの販売を開始することが決定された。コークス炉を活用し、タイヤ由来の再生材料から生産した資源循環型カーボンブラックを販売することは世界初※2となる。
現在、日本では使用済みタイヤの多くは燃焼され、熱源として再利用されているが、タイヤの構成物質の大部分を占めるゴム成分とカーボンブラックが燃焼することでCO2が排出されている。使用済みタイヤを有効な資源として再利用するシステムを構築することでCO2排出量を削減することが期待されている。住友ゴムと三菱ケミカルは、自動車・タイヤ業界のサーキュラーエコノミー実現に貢献していく。
【注釈】
※1再生材料は石炭と混合してコークス炉に投入する。ケミカルリサイクルとは、使用済みの資源を化学的に分解し、原料に変えてリサイクルする方法のこと。
※2三菱ケミカルグループ調べ