MHI-MSでは、パートナーであるフランスのベンチャー企業スタンレーロボティクス社(Stanley Robotics:SR社)との2021年の協業開始当時、フランスからロボットのオリジナルモデルを輸入して国内販売するスキームが検討されていたが、国内におけるきめ細かいアフターサービスの提供や日本固有の顧客ニーズに対応するためのカスタマイズをタイムリーに行うことを志向。それらを実現するため国産方針に切り替え、基幹特許の国内登録についても申請・登録するなど、国産化が進められてきたものである。日本市場モデルは、ヘッド部をSR社製より小型化。また、納入先の要望に応じて、ヘッドの外装がカスタマイズされ、顧客の想いを形にすることも可能な“着せ替えサービス”も行われる。
MHI-MSが有する国内約100ヵ所のメンテナンス拠点などのサービス網を車両搬送ロボットでも提供。今回の国産化により、Made in Japanの品質とともに迅速なアフターサービスが提供されていく。
このロボットで、完成車自動搬送※1 においては、荒天や酷暑その他の厳しい環境下でも日々車両搬送に従事している作業者の方々の作業環境を大きく改善できるのみならず、DX(デジタルトランスフォーメーション)や省力化といった物流業界の要請に応える。
ユーザーの利便性向上が希求されている商業施設での自動バレーパーキング※2 においては、ロボットが空きスペースにおまかせで駐車してくれるため、これまで敬遠されがちであった遠くの駐車スペースを“近く”に変えることが可能。また、空きスペースを探すのに気を取られ、前方への注意力が散漫になることで不幸な事故を起こしてしまうといったトラブルも解消できる。それらに加え、場内車両走行に伴うCO2排出が抑制されることから、人にも地球にも優しい社会の実現に貢献できる。

【注釈】
※1 自動車工場内、港湾、モータープールなどにおける24時間365日の稼働を可能とし、熟練ドライバー不足の問題を解消すると同時に低コストで安全な搬送を実現するもの。
※2 ドライバーが自ら駐車スペースを探す必要なく、施設に近接した所定の乗降場(バース)に停車すると、車両搬送ロボットが空いているスペースに車両を搬送し、駐車を代行するもの。乗車する場合はその逆で、ドライバーが事前にスマートフォンアプリで指定した時間に合わせ、ロボットが車両をバースまで搬送する。ドライバーにとっては、駐車スペースを探す・駐車する手間がなく、ドアの開け閉めによる隣の車との接触トラブルがないといったメリットがある。