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初回テストの結果は概ね良好!
足回りのセットアップとECU制御が今後の課題
GRカローラRZをベースに、筑波サーキットでのタイムアタック計画を立ち上げた“ブリッツ”。1分切りを目指しながら、様々なチューニングパーツの開発をするのがこのプロジェクトの目的なのだが、500台限定のベース車両を選択する理由はどこにあると言うのだろうか? ブリッツ広報の小林さんに話を聞いた。
「GRカローラはトヨタが手掛けたメーカーチューンドですが、同じコンセプトで誕生したGRヤリスのアフターパーツが大好評なんです。つまり、チューニングに興味を持っている層がGRカローラを買うだろう…と判断しました。GRカローラは半導体などのパーツ供給が落ち着けば追加販売もあるようですし、しっかりパーツを開発していきます」とのこと。
細部を見ていく。エンジンはフルノーマル状態で、水温や油温、吸気温度などの推移をブリッツのタッチブレインで計測。今後のクーリングパーツ開発を、どの順番で進めるかの確認を行なっている段階だ。タワーバーは試作品となる。
今回のテストではノーマルマフラー仕様だったが、こちらも排気効率を追求しつつスポーティなエキゾーストノートを奏る『ニュルスペック』マフラーを開発予定だ。
純正でGR-FOURロゴ入り前置きインタークーラーを装着。インタークーラーやラジエター、オイルクーラーなどの冷却系パーツの開発は、ノーマルのデータを確認して冷却容量と重さの兼ね合いなどマイナス要素を比較検討しながら製品化を検討する。
エクステリアは、フロントとリヤのダウンフォースを高めるエアロパーツをインストール。これらは、保安基準適合サイズへとリメイクした上で市販化を予定しているそうだ。
インテリアはワンシーターのドンガラ仕様。エアコンやオーディオなどは装着したまま、助手席やリヤシートなどを完全撤去。シートはブリッドのXERO MSだ。この状態での車重は1320kgだった。
タイヤはダンロップのハイグリップラジアル『ディレッツァβ02』を装着。サイズは265/35R18で、ノーマルより幅や外径を大きくしている。ホイールはエンケイのNT03RRをチョイス。
足回りはダンパーZZ-Rの試作品を装着。スプリングレートは前後10kg/mmの設定で、減衰力もスプリングレートから計算できるブリッツの適正値でセットアップ済みだ。
リヤのロアアームには、車高を落とした際にロアアームがバンザイ状態にならないよう補正することを目的としたミラクルストロークアジャスターも装着。ローダウン時に起こりがちなストローク不足を解消し、低い車高でも快適な乗り心地を実現することが可能だ。
走行テストは、まず「クルマがサーキットを走れる状態か?」という基礎的な部分からスタートし、セッティング変更を行いながら徐々にペースアップ。最終的には、1分5秒552までタイムを伸ばした。
「全体的なバランスは良いけど、コーナーの立ち上がりでステアリングの舵角が大きいとアクセルを踏んでもスロットルが開かない補正制御が入ってしまうんです。そのロスがかなり大きかった」とは、テストドライバーを務めた蘇武選手。
このコメントを受けてブリッツの小林さんは「ステアリングの補正制御を解除する電子パーツを作りたい」と、当初の計画にはなかったパーツの開発を思いついた様子。
こうしてシェイクダウンを無事に終えたブリッツGRカローラ。次回は、足回りのセッティング変更や『パワコン』によるブーストアップの効果をテストしていく予定とのことなので期待したい。
PHOTO:堤晋一/REPORT:石井健之
●取材協力:ブリッツ TEL:0422-60-2277
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