「ワンオーナー4万キロのセリカGT-FOUR RCはレアすぎる・・・」限定5000台のホモロゲモデルに乗った!

国産勢初のWRCダブルタイトルを獲得!

クーペボディの4駆ターボというだけでも存在価値高し

ST185セリカGT-FOURの登場は1989年9月。その時点でGT-FOURと、装備を簡略化してクロスミッションを載せたGT-FOURラリーが用意され、翌年8月にはワイドボディ仕様のGT-FOUR A(アドバンスの意味)が加わるなど、3モデルで展開した。

この中でGT-FOUR Aは車両型式がST185Hとされたが、1991年8月のマイナーチェンジでGT-FOUR全モデルがワイドボディ仕様に変更。存在意義がなくなったGT-FOUR Aは必然的にカタログ落ちした。

その翌月、GT-FOUR RCが登場。ラリーコンペティションの頭文字を取ったこのグレードはグループAホモロゲモデルとして5000台が生産され、日本では1800台が販売された。

「それまで2年ほどST182のAT車に乗っていました。WRCが好きでRCの発売は知っていましたが、ボディ色が黒、赤、ガンメタの3色だったので見送っていたんです。ところが、白が追加されたのを機に注文。それから30年間、乗り続けてます」とオーナーの平野さん。

OZラリーレーシングの17インチを履き、リヤエンブレムを輸出モデル用に交換するなど多少のモディファイが加えられているが、消耗パーツを定期的に交換することで好調を維持。走行4万4000kmの極上ワンオーナー車だ。

エンジンは3S-GTEながら、RCは排気側ホイールをセラミック製からメタル製に改め、耐久性を高めたタービンを採用。インタークーラーも空冷式から、状況に左右されにくい水冷式へと変更される。

また、大口径フラップ式エアフロやコールドスタートインジェクション(冷間時のみ噴射する5本目のインジェクター)、パワーステアリングクーラーを装備するなど、各部にグループAホモロゲモデルらしい作りが見て取れる。

フロントバンパーは開口部を拡大。オルタネーターやタイミングベルトカバーにも冷却ダクトが設けられたほか、ラジエター用ウォータースプレー(配線されていないため、ノーマルでは作動しない)を備えるなどクーリング対策にも余念が無い。

ボンネット後端には、ルーフ前端で走行風が剥離しないよう整流するエアtoカウルガイドという小振りなスポイラーも装備。WRCマシンに備わる室内換気用ルーフベンチレーターの効果を最大限に引き出すアイテムだ。

ホイール&タイヤは純正15インチからWRCマシンと同じく17インチにサイズアップ。8.0Jオフセット+35のOZラリーレーシングに215/45サイズのミシュランパイロットスポーツ4を組み合わせる。平野さんいわく、「まだ手元にありますが、以前は同じサイズのOZクロノを履いていました」とのこと。

ステアリングホイールはMOMOモデル07に、シフトノブはかつてのトヨタ純正に交換。「どちらもJ.カンクネンがWRCで使っていたんです。シフトノブは気分によってジュラコン製に替えたりもします」と平野さん。

シフトレバー前方のパネルに装着されるのは、RC購入者に配られたシリアルプレート。海外では“カルロスサインツリミテッドエディション”として販売され、それがプレートに刻まれる。最下段には“1184-5000”というナンバーも確認。

着座位置が低く、適度にタイトな運転席に収まる。3S-GTEは低中速トルクがあって、街乗りでの扱いやすさも十分だ。また、1.5トンに迫る車重に対してパワーは235ps。絶対的な加速性能や速さは当然、直後に登場するCD/CN系ランエボやGC系インプレッサが上回るだろうが、ターボパワーを4輪で受け止める安定感と安心感は今でも絶大だ。

それと、意外にも好印象だったのがハンドリング。フロントヘビーで曲がりにくいイメージを勝手に持っていたのだが、車重や前後重量バランスはGR系インプレッサとほぼ同じ。搭載エンジンや前後駆動トルク配分、トレッドの違いはあるが、ホイールベースはRCの方が100mm短く、そこから判断する限り回頭性は悪くないはず。

フロントが重い感覚は確かにあるが、ペースを上げてコーナーに入ってもステアリング操作初期のノーズの動きは極めてシャープ。コーナリング中の修正舵にもレスポンス良くクルマが反応する。

モータースポーツの世界で活躍したことを踏まえると、世界的に見ても片手で数えるほどしかないクーペボディのターボ4WDモデル。その時点で、RCを含むGT-FOURはなかなか貴重な存在なのだ。

■SPECIFICATIONS
車両型式:ST185H
全長×全幅×全高:4410×1745×1305mm
ホイールベース:2525mm
トレッド(F/R):1475/1445mm
車両重量:1460kg
エンジン型式:3S-GTE
エンジン形式:直4DOHC+ターボ
ボア×ストローク:86.0φ×86.0mm
排気量:1998cc 圧縮比:8.8:1
最高出力:235ps/6000rpm
最大トルク:31.0kgm/4000rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式:FRストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR215/50R15

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TEXT&PHOTO:廣嶋ケン太郎

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