「日本文化に魅了されたスペイン人ドリフターの物語」自作のターボ仕様ロードスターで峠を駆け抜ける!

マシンメイクはまさかのオールDIY!

海外製パーツも多数取り入れたコスパ重視のドリフトスペック

日本文化への興味をきっかけに、日本への移住を決意したという外国人は少なくない。今回紹介するロードスターのオーナー“ビクターさん”もその一人だ。

「エヴァンゲリオンを観て日本のアニメに心酔。そのまま渡日したんですが、こっちに来たらなぜかドリフトにハマっちゃって。僕の国(スペイン)ではドリフト文化がないので衝撃的でした」とビクターさん。

日本で購入したのは、コストパフォーマンスに優れるNB型ロードスター。そして、自動車部品メーカーのエンジニアというスキルを活かしながら、DIYでサーキット専用のドリフトスペックへと育て上げたそうだ。

エンジンは1.8LのBP-ZEをベースに、鍛造ピストン&コンロッドを組み込んで腰下を強化。そこに、かつてHKSが販売していたNA8C用ターボEXマニを介してS14シルビアの純正タービンをセット。ハイレスポンスな240ps仕様を自力で作り上げたのだ。

エンジンマネージメントにはアメリカの“MegaSquirt(メガスクワート)”と呼ばれるフルコンで使って、ビクターさん自身がセッティング。室内のオーディオ画面に表示されているのはその燃料マップ画面だ。

「このフルコンは2万円くらいで買えるんですが、完全な汎用品なんです。でも、マニュアルが付属するので、英語力と電気系の知識があれば自力でもなんとかなりますよ」と本人は語るが、あくまでもハイレベルなプライベーター向けのツールと言える。

足回りはネガティブキャンバーを稼ぐためにアッパーアームの短縮加工とロワアームの延長加工を実施。そこにガレージクリアのショートナックルを導入して切れ角アップを達成している。車高調はフロントにクスコ、リヤにブリッツという組み合わせだが「車高調は特に拘りがないです(笑)」とのこと。

室内にはNBロードスター用のロールバーに、余っていたというFC3S用ロールケージをドッキングしたワンオフケージをセット。

恐ろしく長いレバーが特徴の油圧サイドブレーキは、eBayで手に入れた汎用品をベースにしたスペシャルメイド。ちなみに、ルームミラーが割れているのは油圧サイドのレバーが直撃したためで「普段は当たらないんです。が、重ステ症状が出た際に余裕が無くて、乱暴な扱いをしたらヒットしました!」とはビクターさん。

外装にはガレージベリー製のフロントバンパーと、ヤフオクで入手したというフロントワイドフェンダーを投入。オールペンもDIYによるものだが、「レッドメタリックと書いてあったのに、塗ってみたらこんな色になってしまいました…」と嘆く。

ドリ車としては控えめなスペックだが、ロードスターの軽量ボディと240psの強心臓が生み出す走りは強烈。取材当日は、シルビア等の格上マシンを追い回していたほどだ。

なお、ビクターさんは新たな戦力として2JZ搭載のBMW・E46の製作を、画策中だったりする。想定外チューンドで暴れ回るスペイン人ドリフターの姿が話題になる日は、そう遠くないのかもしれない。

PHOTO:堤晋一
●取材イベント:群サイアタック2022

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