本製品は、EVの高電圧対応における安全性と、日々の業務における作業性を両立した、画期的な作業服だ。EVの開発や普及が進む中、EVに携わる業務、特に整備の現場においては、従来の内燃機関車両とは異なり、EVの高電圧システムへの対応が必要となる。特にバッテリーを扱う際には、感電やアーク放電といった重大事故のリスクがある。そのため、EVを直接扱う人員は高電圧に関する専門知識を持つと同時に、EV機構の深部に触れる際には高電圧対応の作業服を着用することが安全上不可欠である。※2
EV を扱う特に整備の現場で作業服に求められることとして、狭所での作業に耐えうる可動性や、特に閉所での作業時の体温調節・吸汗速乾機能、そして高電圧・低電圧の頻繁な切り替えへの対応といった点が挙げられる。また、作業服の安全機能は、想定される使用期間中は著しく劣化してはならない。

これらの課題に対して、本製品は現場のニーズを満たす商品として開発された。アーク熱に対する防護性、軽量性、透湿性を特徴とする日本ゴアの「PYRAD ファブリクス by GORE-TEX LABS」を生地に採用することで、トレーニングウェアのような着心地と、現場から求められる作業性が実現された。さらに、ミドリ安全が 70年以上にわたって様々な安全衛生保護具を開発し続けてきた知見を活かし、日本ゴアとの共同検討によって、作業性を削ぐことなく高電圧作業環境での安全性が確保された。本製品は最大 1500VDC(直流電圧)および 1000VAC(交流電圧)までを取り扱う作業環境で必要とされる IEC/EN 61482-2 など、アーク熱防護性を含む複数の国際規格の認証を取得している。
【注釈】
- EV関連業務専用の作業服として。MFTBC・ミドリ安全調べ
- MTFBC の「eCanter」を含め、EVの通常の運用時の安全性は認証や試験等によって保証されており、本製品の着用の必要はない。本稿では整備や車両試験など、通常の運用よりも車両機構の深部に触れる可能性のある業務が主題にされている。
