革新的な日常移動の提案

ホンダは2026年3月23日、原付一種(第一種原動機付自転車)クラスの電動二輪パーソナルコミューター「ICON e:(アイコン イー)」を全国のHonda二輪EV取扱店で発売することを発表した。この新モデルは「Easier and Economical Commuter(より簡単で経済的な通勤手段)」というコンセプトのもと、通勤・通学から買い物まで、都市生活者の日常的な移動ニーズに応えるべく開発された電動モビリティだ。発売に先立つプレスリリースでは、EVならではの環境性能と日常での扱いやすさを両立した仕様が詳述され、その実用性が大きな注目を集めている。
ICON e:の動力源には着脱式バッテリーを採用し、車体に装着したままでも取り外して室内で充電することも可能な二通りの充電スタイルを実現した。フロアステップ下に配置されたバッテリーは、100Vの家庭用電源で約8時間のフル充電が可能で、実測値として約81kmの航続距離を達成している(30km/h定地走行テスト値)。静粛性と振動の少ない電動モーターによる走行は、燃焼機関にはない快適さを日常にもたらす。
使い勝手を高める装備とデザイン

ICON e:は単なる電動化の先進性だけを追求したモデルではなく、ユーザーの使い勝手に徹底的に配慮した装備が随所に盛り込まれている。シート下にはヘルメットなどが収まる容量26リットルのラゲッジボックスを備え、フロント部の内側には500mlのペットボトルを収納できるインナーラックや、買い物袋を掛けられるコンビニフックを装備。さらに現代の必需品であるスマートフォンの充電に対応するUSB Type-Aソケットも標準装備としている。
こうしたユーティリティ装備は、通勤・通学や街中でのちょっとした移動を単なる移動で終わらせない、「日常の相棒」としての視点に立った設計が随所に表れている。フラットで余裕のあるフロアスペースや自由度の高いライディングポジションは、乗る者の日常の使い勝手を高めるための工夫といえる。
デザイン面でも、ICON e:はLED灯火類やフルデジタルメーターなど先進性を演出する装備を採用することで、都会的で洗練された印象を創出している。カラーは「パールスノーフレークホワイト」「ポセイドンブラックメタリック」「キャンディラスターレッド」の全3色が用意され、ユーザーの好みに合わせて選べるバリエーションが用意されている。
EVとしての性能と省エネ

ICON e:のEVシステムは、環境性能と走行性能を高いレベルで両立しているのが大きな特徴だ。走行中にCO2排出を行わないクリーンな電動モビリティとして、静粛性と振動の少なさを活かした快適な乗り心地を提供する。スロットル操作に応じて出力を抑える「ECONモード」を備え、省エネ走行への切り替えもスイッチ一つで可能だ。
バッテリーは車体搭載状態でも、取り外して室内で充電することもできるため、都市部で駐輪場しかないような場合でも利便性が高い。この着脱式バッテリーシステムとコンパクトな充電器は、電動モビリティの新たなスタンダードとしてのポテンシャルも感じさせる仕様となっている。
市場戦略と価格設定

ICON e:の国内の年間販売計画台数は2200台とされており、メーカー希望小売価格は22万円(消費税込)に設定されている。これは従来の内燃機関モデルに近い価格帯でありながら、EVならではの静粛性や環境性能、日常性を高い次元で融合させたモデルとして注目される要素だ。
この価格設定と装備内容は、電動モビリティの導入障壁を大きく下げる可能性を秘めている。特に初めての1台として電動バイクを検討するユーザーや、日常の短距離移動にコスト効率の良い手段を求める若年層にとって魅力ある選択肢となるだろう。ICON e:は、単なるモデルの追加にとどまらず、ホンダが日常の移動手段としてのEVをより身近にするための重要な一歩となるモデルとして位置づけられている。
発売を目前に控えたこの新型電動コミューターは、都市生活の新たなスタンダードとして、多くのユーザーの日常シーンに溶け込んでいくことが期待される。
主要諸元
全長:1,795mm
全幅:680mm
全高:1,085mm
軸距:1,300mm
最低地上高:135mm
シート高:742mm
車両重量:87kg
乗車定員:1名
一充電走行距離:81km(30km/h定地走行テスト値・1名乗車時)
最小回転半径:2.0m
原動機形式:交流同期電動機(EF21M)
定格出力:0.58kW
最高出力:1.8kW
最高出力(馬力換算):2.4PS
最大トルク:85Nm
バッテリー:リチウムイオン電池 48V/30.6Ah
フロントタイヤ:90/90-12 44J
リアタイヤ:100/90-10 56J
フロントブレーキ:油圧式ディスク
リアブレーキ:機械式リーディング・トレーリング
フロントサスペンション:テレスコピック式
リアサスペンション:スイングアーム式
フレーム形式:アンダーボーン
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