TFTメーター+RoadSyncで“毎日触る価値”が一段上へ

今回の進化の核はここだ。新たに採用された5インチTFTメーターは視認性が高く、表示情報も豊富。さらにHonda RoadSyncに対応したことで、スマートフォンと連携し、ナビ表示や音楽操作、通話などが可能になる。操作はハンドルスイッチや音声入力で行えるため、走行中の使い勝手にも配慮されている。

新採用の5インチフルカラーTFTメーター。高い視認性と情報量を両立し、走行中の確認もしやすいレイアウト。

加えて、フロントインナーボックスにはUSB Type-Cソケットを新設。スマホ連携を前提とした装備が一式そろったことで、“ただのスクーター”から一歩踏み込んだデジタル装備を持つモデルへと変わった。

従来型はスタイルや足周りの雰囲気に対して、装備面はややベーシックという印象もあったが、新型はそこを一気に埋めてきた格好だ。見た目だけでなく、使うたびに満足度が上がる方向への進化はかなり的確。

先代との差は4万4000円。その中身は“体験価値の強化”

アドベンチャースタイルを強調する外装デザインと高めの車高が特徴的なシルエット。

2024年モデルの価格は49万5000円、2026年モデルは53万9000円。差額は4万4000円になる。

一方で、エンジンや基本スペックはほぼ据え置き。156ccの水冷単気筒、最高出力16PS、最大トルク15N・m、シート高780mm、燃費42.5km/L(WMTC)といった数値は変わらない。

つまり今回のモデルチェンジは、走りや骨格を変えるものではなく、“使って満足する部分”への投資だ。TFTメーターとRoadSyncという、日常で最も触れる部分にコストをかけたのが特徴。

スクーターは乗るたびにメーターを見る。スマホも使う。その頻度を考えれば、このアップグレードは単なる装備追加以上の意味を持つ。4万円アップをどう見るかは人それぞれだが、「毎日使うからこそ効く進化」として筋は通っている。

“ADVらしさ”はどこにある? PCXとは違う作り込み

手動で2段階の高さ調整可能なスクリーンを装備。ライダーの体格や用途に応じて風の当たり方をコントロールできる。

そもそもADV160は、PCX160と同じエンジンをベースにしながら、まったく違う乗り味と使い勝手を狙って作られている。

象徴的なのがフロント周りだ。大径14インチのフロントホイールに、ストローク量を確保したサスペンションを組み合わせることで、街乗りでも路面の荒れをいなす余裕がある。段差やマンホールを越えたときの安心感は、同系統のスクーターの中でも一段上だ。

そして、見た目だけで終わっていないのがスクリーン。高さ調整が可能なロングスクリーンを採用しており、走行風の当たり方を自分に合わせて変えられる。高速域での疲労軽減はもちろん、雨天時の防風効果も大きい。ここは“なんとなく付いている”装備ではなく、ツーリングまで想定した実用装備だ。

ハンドル周りも特徴的で、バーハンドルを採用したアップライトなポジション。視点が高く、前方の見通しが良いのに加え、腕の自由度が高いので長時間でも疲れにくい。スクーター特有の“閉じたポジション”ではなく、バイクらしい操作感に近いのもADVらしいところだ。

足周りやポジションを含めて、単なる移動手段ではなく「ちょっと遠くまで行きたくなる」作りになっているのが、このモデルの本質だ。

実際に乗ると、ただ移動するだけのスクーターとは違う、“バイクに近い感覚”があるのもADV160の大きな魅力だ。

PCX160とどっち? “間違いない”か“欲しいか”で答えは決まる

PCX160(46万2000円)。

比較対象として外せないのがPCX160だ。

PCX160は46万2000円、シート高764mm、ラゲッジ30Lと、通勤・通学から街乗りまでを広くカバーする万能スクーター。扱いやすさと価格のバランスに優れた“オールマイティな優等生”だ。

一方でADV160は53万9000円。シート高は780mmとやや高く、最低地上高も余裕がある。ラゲッジ容量は29Lとほぼ同等ながら、車体のキャラクターはまったく違う。

フロント周りの造形や足周りの雰囲気、アップライトなポジションなど、ADVは明らかに“キャラクターで選ぶモデル”。そこに今回、TFTメーターという明確な差別化要素が加わった。

結論はかなりはっきりしている。
PCX160は「間違いない選択」。
ADV160は「好きで選ぶ選択」だ。

PCX160は価格、足つき、扱いやすさのバランスに優れ、誰が乗っても満足しやすい。一方のADV160は、それより高くてもいいから“乗っていて気分が上がるか”を重視するモデル。今回のTFTメーター採用は、その方向性をさらに強めたアップデートと言える。

モトチャンプ的結論:価格より“納得感”で選ぶ1台

モトチャンプ目線で見ると、ADV160はコスパで選ぶモデルではない。スタイルや雰囲気、ちょっとした冒険感まで含めて“指名買い”されるスクーターだ。

だからこそ今回の4万4000円アップも、単純な価格差ではなく、“どれだけ満足できるか”で見るべき進化と言える。

TFTメーターとRoadSyncは、見た目の上質感だけでなく、日常の使い勝手にも効く装備。スクーターという毎日使う乗り物だからこそ、このアップグレードは効いてくる。

実用性重視ならPCX160。
でも、“乗るたびにちょっと気分が上がるか”で選ぶならADV160。

2026年モデルは、その答えがさらにはっきりしてきたと言えるだろう。

ADV160 Specifications

マットパールアジャイルブルー。ADVらしいアドベンチャーテイストを強調するメインカラーで、立体的な外装との相性も良い。
パールスモーキーグレー。落ち着いたトーンで上質感を演出。都会的で洗練されたイメージを持つカラーリングだ。
マットガンパウダーブラックメタリック。無骨で引き締まった印象を与える定番色。足周りや外装のディテールも際立つ。

車名:ADV160
発売日:2026年5月21日
価格:53万9000円

エンジン:水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒
総排気量:156cc
最高出力:12kW(16PS)/8500rpm
最大トルク:15N・m/6500rpm

全長×全幅×全高:1950×760×1195mm
シート高:780mm
車両重量:137kg

燃料タンク容量:8.1L
WMTCモード値:42.5km/L

タイヤサイズ:
前 110/80-14M/C
後 130/70-13M/C

ブレーキ:前後ディスク(ABS)

ラゲッジ容量:29L

主な新装備:
・5インチフルカラーTFTメーター
・Honda RoadSync
・USB Type-Cソケット

カラー:
・マットパールアジャイルブルー
・マットガンパウダーブラックメタリック
・パールスモーキーグレー

ディテールチェック

Honda RoadSync対応でスマートフォン連携が可能に。ナビや音楽、通話操作をハンドルスイッチや音声で行える。
テーパータイプのバーハンドル採用でアップライトなライディングポジションを実現。視界が広く、長時間でも疲れにくい設計だ。
前後ディスクブレーキを装備し、ABSも標準装備。制動力と安心感を高めた足周り構成となっている。
14インチフロントホイールとブロック調タイヤを採用。段差や荒れた路面での安定感に貢献する。
Honda Selectable Torque Control(HSTC)を搭載。滑りやすい路面での後輪スリップを抑制し、安全性を高める。スイッチでのオンオフも可能。
スマートキー対応で利便性を向上。キー操作なしでエンジン始動やシート開閉が可能だ。
シート下ラゲッジは29L容量を確保。日常使いからツーリングまで幅広く対応する実用性を持つ。
フロントインナーボックス内にUSB Type-Cソケットを新設。スマートフォンの充電にも対応する。
急制動を検知するとウインカーが高速点滅するエマージェンシーストップシグナルを標準装備。ABSモジュレーターと連動し、後続車へ急減速を知らせて追突リスク低減に貢献する。
右ハンドルスイッチにはアイドリングストップなどの操作系を集約。日常での扱いやすさを高めている。
フロントホイールまわり。剛性と安定性を重視した構成で、街乗りから悪路まで幅広く対応する。
130mmのストローク量を確保したフロントサスペンションを採用。街中のさまざまな路面状況でも上質な乗り心地を実現する。
110mmストロークのリザーバータンク付きリヤサスを採用。3段レートスプリングにより、2人乗りや荒れた路面でも快適性と安定感を両立する。

【モトチャンプ】