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今日は何の日?■FFスポーティセダンに変貌した4代目カリーナ

1984年(昭和59)年5月8日、トヨタは4代目「カリーナ」を発売した。カリーナは、1970年12月にスペシャリティカー「セリカ」の兄弟車として誕生しスポーティセダンとして人気を獲得したが、4代目は歴代カリーナで初めてFFレイアウトを採用した。
初代セリカと同日に発売された兄弟車カリーナ



初代「カリーナ(A10型)」は、1970年12月に日本初のスペシャリティカー「セリカ」と同時に発売された。カリーナは、主要なシャシー部品やエンジンラインナップをセリカと共用化した兄弟車で、絶対的な性能ではセリカに一歩譲るものの、“足のいいやつ”のキャッチコピーが表すように軽快な走りが特徴のFRスポーティセダン、いわばセリカのセダン版といったところだ。

スタイリングは、丸型4灯式ヘッドライトの内側2個を分割したフロントグリルを装備した、当時流行のロングノーズ&ショートデッキからなるセミファストバックスタイルを採用した2ドア/4ドアセダンだった。
パワートレーンは、セリカと同じ最高出力86ps/最大トルク11.7kgmを発揮する1.4L 直4 SOHC、100ps/13.7kgmの1.6L 直4 SOHC、105ps/14.0kgmの同1.6Lツインキャブ仕様の3種エンジンと、2速/3速ATおよび3速/4速/5速MTの組み合わせ。
翌1971年4月には、2ドアセダンに115ps/14.5kgmの1.6L 直4 DOHCツインキャブエンジンを搭載したトップグレード「1600GT」を追加。1972年には、ハードトップも設定してスポーティさをアピールした。
セリカは、走り好きの若者から圧倒的な支持を受けて大ヒット。一方カリーナは特に派手さは好まないが、性能的にはレベル以上を求める一般ユーザーから高い人気を獲得した。
2代目、3代目でFRスポーティセダンは完成

1977年8月に登場した2代目カリーナ(A40型)は、キープコンセプトでより直線的でシャープなスタイリングとなったが、販売期間を通してちょうど昭和53年排ガス規制と重なったため、排ガス規制への対応が課題だった。

2代目は、EFI(電子制御噴射)化した新エンジンや三元触媒などの装備によって厳しい排ガス規制を乗り切ったが、その分性能的には突出したスペックではなかった。ただし、スタイリッシュでよく走るスポーティセダンの魅力は維持した。

1981年9月には、3代目(A60型)へとモデルチェンジした。直線基調のスタイリングはさらに強調され、排ガス規制から解放されたことで高性能化が進んだ。
3代目の最大の特徴と言えるのが、翌1982年10月に追加された最高出力160ps/最大トルク21.0kgmを発揮した日本初となる1.8L 直4 DOHCターボエンジン(3T-GTEU型)を搭載した「カリーナGT-T/TR」の登場だ。“鬼に金棒、ツインカムにターボ”というキャッチコピーが示す通り、カリーナのスポーティなイメージをさらに高めることに成功した。

3代目は、結果として最後のFRカリーナとなったこともあり、若者向けスポーティセダンというキャラクターが最も際立ったモデルとなった。
FF化で実用性も高めた4代目カリーナ

1984年5月のこの日、カリーナは4代目(T150型)にモデルチェンジした。最大の特徴は、「コロナ」と共有するプラットフォームを採用し、歴代カリーナで初めて横置きエンジンのFFレイアウトを採用したことだ。

ただし、4代目FFセダンと3代目FRモデルを併売しながら、徐々に車種を追加・交代する方法が取られ、そのため4代目は4ドアセダンのみがラインナップされた。
スタイリングは、従来の直線基調を踏襲しながらも、異型2灯式ヘッドライトを採用するなど、3代目よりもさらにモダンで洗練された。またFF化とボディの拡大によって、広い室内空間が実現され、実用性を高めた上級志向のスポーティセダンへと変貌した。

エンジンは、最高出力83ps/最大トルク12.0kgmの1.5L 直4(キャブ)、100ps/14.0kgmの1.6L 直4(EFI)、105ps/16.3kgmの1.8L 直4(セントラル噴射)SOHC、さらに73ps/13.5kgmの2.4L 直4 SOHCディーゼルの4種。トラスミッションは、4速/5速MTおよび3速/4速ATが組み合わされた。

注目されたのは、1600SGに日本初のリーンバーンエンジンが搭載され、燃費と排ガスの両立が図られたこと。また1985年8月には、「1600GT/GT-R」と「2000GT-R」が追加され、スポーティモデルのラインナップの充実も忘れてはいなかった。

車両価格は97.5万~157.7万円に設定。当時の大卒初任給は13.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約166万~269万円に相当する。
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1980年代は、広い室内空間を確保することを優先してFRからFFに変更するという大きな流れがあった。一方で、当時はまだFF技術が成熟していなかったので、FF化によってクルマのスポーツ性が損なわれる可能性があった。4代目カリーナは、そのようなFFのネガな部分を払拭しながら、新たに実用性も備えたスポーティセダンという路線を切り開いた、カリーナにとっては分岐点となったモデルだったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。




