国内最大のアメリカン・カスタムカルチャーの祭典

国内最大規模のアメリカン・カスタムカルチャーの祭典である『MOONEYES Street Car Nationals®』(以下、SCN)が今年も5月24日(日)に、東京都江東区の臨海副都心にある青海駐車場にて開催された。

38thSCNの会場となった臨海副都心にある青海駐車場。この広い会場に1300台のカスタムカーが集結した。なお、背景に写る等身大のRX-0ユニコーンガンダムは8月末で営業終了となるため、SCNの会場からガンダムを臨むのは今回が最後となる。

今回で38回目を数えるこのイベントは、毎年5月にMOON OF JAPANが主催するアメリカン・カスタムショーで、ノーマル車のエントリーを前提としたクラシックカー・ショーの代わりに誰でも気軽に参加できる間口の広いカスタムの祭典として、今から40年前に初開催された。

第1回目は大井競馬場を会場とし、その後は東京レールシティ汐留、レールシティ新鶴見ヨコハマ、横浜みなとみらい、東京ベイサイドスクエア、千葉ニュータウン、川崎の東扇島と場所を移しながら規模を拡大させて行き、2005年以降は現在の青海駐車場で行われている。

38thSCNののエントリー車両。

MOON OF JAPAN40周年を迎えた今年のSCNには、過去最高の1300台がエントリー。さらに数多くのスワップミート、ピンストライパー、ケータリング業者が出店した。来場者は1万人を大きく超え、過去最高レベルの賑わいを見せていた。

『第33回ヨコハマホットロッドカスタムショー』アワード受賞車や
さまざまなジャンルのカスタムカーがエントリー

2025年末にパシフィコ横浜で開催されたHCSで「Best of Show Automobile」を受賞した1940年型マーキュリー・エイト「BREEZEE」。

オールジャンル参加OKのカスタムカーイベントということで、会場に集まったマシンは多種多様。アメ車ベースのHOTROD(ホットロッド)、LOW RIDER(ローライダー)、TRUCKIN’(トラッキン)、STREET VAN(ストリートバン)から空冷VWベースのCAL LOOK(キャルルック)、欧州車ベースのEURO CUSTOM、日本車をベースにしたDOMESTIC CUSTOM(ドメスティックカスタム)まで、存在しないジャンルはないといっても過言ではないほどだ。

2025年末のHCSで「Wildman’s Pick」に選ばれた2011年型ホンダ・バモス。ダッジ A100風にフェイスコンバージョンし、鮮やかなパープルでペイント。ピンストとブラシアートで小さいながらもインパクトある仕上がりとなっている。

MOONEYESの本部テント前では、SCNでは毎回恒例となっている昨年末に開催された『第33回ヨコハマホットロッドカスタムショー』(以下、HCS)のアワード受賞車の展示が行なわれた。インドアショーのHCSとは異なり、「Best of Show Automobile」を受賞した1940年型マーキュリー・エイト「BREEZEE」をはじめとした受賞車両を陽の光の下で見るのはまた違った印象を受ける。

2011年型ホンダ・バモスのサイドビュー。ローダウンした足回りに組み合わされるのは、メッキ仕上げのディッシュホイール&ホワイトリボンタイヤ(スキニーリボンを使用)。マスコットのラットフィンクもパープルでペイントされている。
2011年型ホンダ・バモスのインテリア。ルーフもフロアもシートもエクステリアとカラーコーディネイトされたモケット貼りとなる。軽バンのインテリアとは思えないほどゴージャス。
参加台数クルマ250台&バイク500台!カスタムカルチャーの祭典『第33回ヨコハマホットロッドカスタムショー』を振り返る!! | Motor Fan|自動車情報のモーターファン

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『第33回ヨコハマホットロッドカスタムショー』イベントレポート

その隣にはMOONEYESの車両展示スペースがあり、1961年型ビュイック・ルセーバーや1969年型シボレー・カマロZ28などのアメリカ車と並びトヨタ・プリウスや日産NV350キャラバン 、NV200バネットなどのDOMESTIC CUSTOMも並ぶ。

2025年末のHCSで「Best Domestic」を受賞した1970年型トヨタ・クラウン・ピックアップ。心臓部は3S-GEに換装した上でチューンナップされている。

これらのマシンはよく見るとコーポレートカラーによるペイントを除けば、大掛かりな改造は施されておらず、ポイントを抑えたちょっとしたカスタムでここまでCOOLになるという見本のような仕上がりだ。

2025年末のHCSで「Best Volkswagen」に輝いた1957年型VWタイプI。

見慣れた現行型の日本車もMOONEYES流のカスタムを施すことで、こんなにもオシャレに変身するのだ。これらの車種に乗るオーナーにとっては、今後カスタムをする上で参考になるはずだ。

日産NV350をベースにMOONEYESがカスタマイズしたCoast Liner。コーポレートカラーであるイエローをベースとしたカスタムペイントを施し、ローダウンした足回りにはBABY MOONホイール&ヨコハマタイヤのPARADA PA03を組み合わせている。実用的な商用バンをMOONEYESのマジックでCOOLなカスタムバンに変身させた。

会場には滅多に出会えないレアなアメ車の姿も……
日本車をベースのDOMESTIC CUSTOMはカスタムの参考になる!

イベント当日の朝、どんよりと曇り空だった天気は、お昼頃にはすっかりと晴れ渡り、気温も上昇して会場をのんびりと散策しているだけで汗ばむほどの陽気となった。

スチュードベイカー最後の市販車として1963年に誕生したアバンティ。グリルレスの近未来的なスタイリングはコカ・コーラのボトルや日本専売公社(現・日本たばこ)のピースのパッケージデザインでお馴染みの工場デザイナー・レイモンド・ローウィの作。FRP製のボディを採用した先進的なクルマだった。

エントリー車が1300台にもなると1台ずつ見て行くだけでもなかなか大変だ。しかも、参加している車種やカスタムのレベルは良い意味で玉石混淆。日本のカスタムカルチャーのファン人口の多さと懐の深さを知るところになる。

スチュードベイカー・アバンティのリヤビュー。斬新なスタイリングと先進的な設計、高性能が話題となり、デビュー当初受注は好調だったが、FRPボディの生産体制が整わず、デリバリーが遅れに遅れ、キャンセルが続出。結果として4643台をラインオフしたところで生産は打ち切られた。その後、同車の権利を購入した企業によってアバンティIIとして生産が再開された。

アメリカ車をベースにしたHOTRODやLOW RIDERは、アワードに輝いたマシンはもちろんのこと惜しくも受賞を逃したクルマの中にも素晴らしいマシンが多く、本国のカーショーでも通用するレベルの高いマシンも散見された。

2002年のデトロイトショーでアンベールし、2005~2010年にかけて生産されたGMの2シーター・スポーツカーのポンティアック・ソルスティス。マツダ・ロードスターをベンチマークとして開発され、心臓部にはエコテック2.0L直列4気筒DOHCターボまたは2.4L直列4気筒DOHCを搭載し、駆動方式はFRを採用。写真のオープンモデルのほか、クーぺも存在した。なお、姉妹車にサターン・スカイがある。日本に正規輸入されることはなく、並行輸入で少数が上陸している。

さらには他のカーショーでは、なかなかお目に掛かれない珍しいアメリカ車のエントリーも少なくない。スチュードベーカー・アバンティやポンティアック・ソルスティス、「MOON GOOD」アワードを受賞した1974年型プリムス・ダスターのような希少な車両を前にすると筆者の足はついつい止まりがちとなり、じっくりと車両に見入ってしまう。

1974年型プリムス・ダスター。じつはこのクルマはアメリカンカルチャーやホットロッド、カスタムカーなどの情報を発信するフリーペーパー『IGNITE MAGAZINE』の石橋秀樹編集長の愛車。石橋氏はアワードのプレゼンターでもあるのだが、異例なことに「MOON GOOD」アワードを受賞した。けっして人気車種というわけではないが、1970年代の激シブなアメ車をカッコ良く乗りこなしているところは、さすがはアメ車の伝道師・石橋氏である。この受賞は誰もが納得したことだろう。

オーナーがいれば愛車についていろいろ話を聞くこともあって、9時から15時までの限られたイベントの時間はどんどん過ぎて行った。

「Lightning Magazine’s Pick」を受賞した1968年型ヴィネベーゴC16。同社はもともとキャンピングトレーラーを製造するメーカーだったが、1966年に自走式のモーターホームの販売を開始した。それまでにもオーダーメイドのモーターホームは存在したが、組み立てラインで量産したのは、ヴィネベーゴが世界初となる。
1968年型ヴィネベーゴC16のリヤビュー。食パンを思わせる真四角な個性的なデザインと約4.9mの短い全長による取り回しの良さ、キッチンやベッド、クローゼットなどアウトドアに必要な装備を持ちながら、ライバル他社の約半額という価格からたちまち人気車となった。

一方、軽自動車やコンパクトカーなど身近な日本車をベースにしたDOMESTIC CUSTOMは、MOONEYESのライセンスフレームやアイボールをつけただけのお手軽なカスタムを施しただけの車両も多いのだが、中にはオーナーのセンスとツボを抑えたカスタムでマイナー車をCOOLに変身させた見事なマシンも存在した。

1998年に登場したダイハツ・ストーリアをベースにカスタムペイントを施し、足回りを個性的なホイールキャップとホワイトリボンタイヤでドレスアップ。要所を抑えたカスタムによって、アメリカンな雰囲気を醸し出すとともに、もともと愛らしく美しいスタイリングを際立たせている。

アメリカンカスタムの真髄はパーツを足してゴテゴテさせるのではなく、ベース車が本来持っているフォルムの美しさを引き出すことにある。つまりは足し算だけでなく「引き算の美学」が重視される。そのクルマ本来の魅力やフォルムの美しさを見極め、エンブレムを取り外してスムージングしたり、大きすぎるドアミラーを小ぶりなものに交換したりして、シンプルですっきりしたアピアランスに仕上げる。

ダイハツ・ストーリアのリヤビュー。エンブレムなどをスムージングし、ワンポイントとしてリヤウインドウにはベティ・ブープが描いている。オーナーのセンスと要所を抑えたカスタムで、マイナー車のストーリアをここまでグッドルッキングに変身させる手腕は「お見事!」と賛辞を送るしかない。

何も大金を投じるだけがカスタムではない。ちょっぴりの工夫と持ち前のセンスで不人気のマイナー車も見違えるほどカッコ良くなるのだ。

1995年型日産プレーリー。半ば存在が忘れられた同車だが、「プレーリーってこんなにカッコ良かったっけ?」とついつい見惚れてしまった。ボディカラーの色使い、ワンポイントのピンストライプ、ローダウンした足回りに組み合わせたビレットホイールと、何もかもが素晴らしい。

今回会場で出会った2代目日産プレーリーやダイハツ・ストーリアは、そんなお手本のようなカスタムカーだった。残念ながらモーターファン.jpはアワードを出してはいないが、筆者がDOMESTIC CUSTOMの中からノミネートするとしたらこの2台のうち1台を選んだことだろう。

スワップミートにケータリング、ピンストやデントリペアの実演も!
カスタムカーの展示だけではないSCNの楽しみ方

日本人の体型でも着られるブラジリアン・ビキニを販売するJUBIのブースにいた健康的な褐色の肌がまぶしいセクシーなお姉さん。同社は2007年から水着の販売を手がけるほか、夏の間、逗子海水浴場に海の家を出店している。SCNではブラジリアン・ビキニの販売を行なっていた。

SCNの楽しみはカスタムカーの展示だけではない。100件以上のスワップミートでは、カーパーツやカーワックスなどのケミカル剤のほか、アパレルやアメリカン雑貨、ミニカーやプラモデルなどの様々なアイテムが販売されている。

JUBIのブラジリアン・ビキニ。セクシーでかわいい水着に女性の注目度は高かったようだ。

宝探し感覚で出店しているショップを見て回るだけでも楽しく、運が良ければ思いもしなかったユニークなアイテムと出会えたり、欲しかった逸品をGETできるチャンスでもあるのだ。

スワップミートではカーパーツやカーワックスなどのケミカル剤のほか、アパレルやアメリカン雑貨、ミニカーやプラモデルなどの様々なアイテムが販売される。中にはSCNの会場でしか買えない珍しいものやユニークなものもある。宝探し気分で出店を覗いてみれば思わぬ発見があるかも。

ピンストライパーの出展ブースでは、ヘルメットやスマホ、カーパーツへのピンストライプの実演のほか、オリジナルの作品が販売されていた。ほかにも今回のSCNでは茨城県日立市のデントリペア専門店『TOP TECH』が会場でカウルフード修理の様子を公開していた。

会場の中ほどにはピンストライパーの出店が並ぶエリアがある。そこには各アーティストの自慢の作品が並び、会場でピンストライプを施してもらうことも可能だ。
こちらは特殊なクレヨンを使って作品を仕上げるアーティスト。クリアで仕上げることでヘルメットなどにも作品を描くことが可能だ。
カウルフードにピンストライプを施すピンストライパー。名人によってSCNの開催時間中に素晴らしい作品が完成する。
こちらは茨城県日立市のデントリペア専門店『TOP TECH』によるデントリペアの実演風景。塗装を痛めることなくボディの凹みをキレイに修復する。

また、MOONEYESのブースではSCNの開催を記念して限定グッズが販売される。この会場でしか手に入らない記念Tシャツのほか、MOON OF JAPAN40周年の記念グッズなどが販売されていた。これらは数量限定なので早めに購入しないと買い逃してしまう恐れがある。欲しいアイテムを確実に入手するためには早めに並ぶことをオススメしたい。

会場はキッチンカーによるケータリングが従事している。タコスやキューバサンド、ハンバーガー、プルドポークなどのアメリカン・フードが多数出店しておりどれも旨い。だが、SCNのグルメで絶対に外せないのが崎陽軒の炒飯弁当だ。

ケータリングサービスが充実するSCNの会場にあって、長年不動の人気を保っているのが横浜名物のシウマイでお馴染みの崎陽軒だ。会場限定で販売される炒飯弁当はMOONEYESのピンストライパー・WILDMAN石井氏がデザインした特製掛け紙が施されることから大勢の来場者が買い求める。

シウマイでお馴染みの崎陽軒はMOONEYESと同じく横浜に拠点を置く食品企業だ。そんな地縁から毎回SCNではMOONEYESとのコラボによる炒飯弁当が販売されるのだ。弁当の中身は崎陽軒自慢のパラッとしたチャーハンにおなじみのシウマイ、鶏の唐揚げやチンジャオロースなどのおかずを詰め込んだもので、一般販売されるものと変わりはないのだが、SCNの会場で限定販売される弁当には、MOONEYESのピンストライパー・WILDMAN石井氏がデザインした特製掛け紙が施されている。

今回のSCNで販売された炒飯弁当。掛け紙にはMOONEYESのCIとカスタムビートルが描かれている。弁当の中身は崎陽軒自慢のパラッとしたチャーハンにおなじみのシウマイ、鶏の唐揚げやチンジャオロースなどのおかずを詰め込んだもの。崎陽軒秘伝の調理技術により、チャーハンもおかずも冷めても美味しい。

パッケージのイラストは毎回変わるので、欠かさず購入して掛け紙をコレクションしている人も少なくない。昼頃には売り切れてしまうのでこちらも早めの購入を心がける必要がある。

このようにSCNはアメリカンカスタムに興味がある人はもちろんのこと、クルマにあまり興味がなく、クルマ好きの彼氏や旦那の付き添いできた家族や友人、恋人も楽しめるイベントとなっている。まだ参加したことがないという人は、ぜひ来年こそ会場を訪れてほしい。

MOON OF JAPAN代表のシゲ菅沼さんと同社名物広報の角さん。いつもお世話になっています!

なお、SCNの会場で注目すべきクルマは、次回以降に改めてピックアップして紹介したい。

『SCN』のエントリーカーをチェック!

オートラマ系例のディーラーで正規販売され、低価格戦略により日本でも人気となった4代目フォード・マスタング・コンバーチブル。筆者の記憶に間違いがなければ前期型のイエローは導入初年度のみの設定だったはず。ただし、正規輸入車に装着されていた日本仕様のみのフロントオーバーフェンダーがないことから、並行輸入車の可能性も考えられなくもないが、いずれにしても珍しい個体だ。カウルフードのスクープから302cu-in(5.0L)V型8気筒エンジン搭載車のようだ。
1978年型リンカーン・マークVのLOW RIDER。コンシールドヘッドランプに豪華なフロントグリルを組み合わせたど迫力のマスクに、クーペボディでありながら全長6m近い体躯はアメリカ車がもっとも巨大化した時代を代表するモデル。
元祖マッスルカーのポンティアックGTO。テンペストのオプションパッケージとして誕生したこのクルマは、インターミディエイト車のボディに、325hpを叩き出す389cu-in(6.5L)V型8気筒エンジンを搭載したことで、若者を虜にする恐るべき加速力を手に入れた。このクルマの成功がアメリカにマッスルカー人気に火をつけることになる。
1950年型シボレー・フリートライン。エアサスを用いてローダウンし、ホワイトリボンタイヤやバイザーなどを装備して、ストックの魅力をそのままに1950年代当時のテイストで仕上げている。
1932年型フォード・モデルB 5ウィンドウクーペ 。いわゆる1960年代の「TRADITIONALS」スタイルで仕上げられたDEUCEである。MOONEYESのイベントでは欠かすことのできないアメリカン・カスタムの王道中の王道だ。
シボレーC10と同3100。アメリカン・モーターカルチャーを語る上で欠かすことができないのがTRUCKIN’だ。仕事の道具だったピックアップを遊びに使うアメリカ人の自由な発想から生まれたカスタムジャンルで、日本でも根強い人気がある。
ドアハンドルやエンブレムなどをスムージングした車体に鮮やかなカスタムペイントを施し、車高を限界までローダウン。大径ホイールとファントムグリルで武装した初代トヨタ・エスティマ。1990年代にファミリーカーとして人気を博した国産ミニバンをCOOLにカスタムしたマシン。
ダットサン・トラック(D21)とマツダ・B2200(プロシードの輸出仕様)。1990年代の大黒埠頭で見られたオーディオカスタムを施したミニトラック。B2200はベッドが回転する。最近ではすっかり見なくなったカスタムだ。
ストックの雰囲気を維持したまま足回りをカスタムした日野コンテッサ。こうした珍しい旧車をベースにしたカスタムカーのエントリーも多い。
デコトラのキャリアカーにシボレーC1500を載せてエントリー。この絶妙なミスマッチ感覚がサイコーである。