タイヤのズレ防止だけじゃない!

ホイール専門店が提案する新サービス

創業からまもなく40年を迎えるシンボリ。アルミホイール装着率が高まり始めた1980年代後半からホイール修理・再生に特化し、日本におけるホイールリペアのパイオニアとして歩んできた老舗だ。

そんなシンボリが新たにスタートさせたのが『あとからローレット』。既存ホイールのリム内側へローレット加工を施すサービスである。

「出荷前のホイールを並べてある棚を見ていて、なんでローレット加工してあるホイールと、してないホイールがあるんだろうと思ったんですよ」と語るのは、創業者である竹内俊夫会長。

モータースポーツの世界では昔から当たり前だったローレット加工。しかし市販ホイールではスポーツモデル向けの一部製品に限られ、純正ホイールを含めると施工例は決して多くない。

ローレット加工の主な目的は、ホイールとタイヤのズレ防止だ。リム内側に細かな凹凸を形成することでビード部との摩擦力を高め、大パワー車の加速時やサーキット走行時の強烈なブレーキングでもタイヤが回転方向へズレることを防ぐ。

実際、富士スピードウェイを走るポルシェ911では、1コーナーのハードブレーキングによってホイールとタイヤが半周近くズレた事例も確認されているという。

さらにシンボリが注目したのは、エア漏れ対策としての効果だ。特に近年増えている大径ホイールと低偏平タイヤの組み合わせでは、ビード部の微細な動きによって徐々に空気圧が低下するケースも少なくない。

「水槽に沈めても漏れないのに、実際に走らせるとエアが減る。そんなケースが重量級SUVや引っ張りタイヤでは意外と多いんです」と竹内会長。

シンボリで施されるローレット加工は全6種類。基本はストレート、斜め、綾目(クロス)の3種類で、それぞれに細目(右側の3本)と粗目(左側の3本)が用意される。タイヤを組み付けると見えなくなってしまうのが惜しい。

こうした経験をもとに開発されたのが『あとからローレット』だ。シンボリでは21インチ以上にも対応する新型修正機を開発する際、転造によるローレット加工機構も組み込み、後加工サービスとして実現させた。

ローレットは切削ではなく転造方式を採用。金属組織を切断せず圧縮成形するため強度低下の心配がなく、むしろ強度向上も期待できるという。

ホイールメーカーが市販品に施したローレット加工の一例。「後加工でなく、型で付けられたものがほとんどだね」と竹内会長。実際に触ってみると凹凸に乏しく、引っ掛かり感は『あとからローレット』の方がはるかに強い。また、輸入車の純正ホイールの中には、塗料にセラミックなどの粉体を混ぜてローレット加工に近い効果を狙ったものもあるが、熱や経年劣化による剥がれなど耐久性に「?」が付く。

本来、ローレット加工に求められるのはホイールとタイヤのズレを防ぐ機能性だが、シンボリではそのデザイン性にも着目。アタッチメントの向きを変えることでリム表面への施工も可能とし、これまでになかった付加価値をプラスする。

シンボリで再生されたホイールに貼られるステッカー。長期にわたって安全性を保証するもので、全てのホイールはデータとして管理される。もちろん、ローレット加工が施されたホイールも同様に扱われる。

スポーツカーだけでなくSUVやミニバンまで恩恵を受けられる可能性を秘めた『あとからローレット』。ホイールリペア業界の老舗が提案する新サービスは、今後のホイールカスタムの常識を変える存在になるかもしれない。

●取材協力:シンボリ 愛知県名古屋市北区新堀町68

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